築古や駅遠でも大丈夫。民泊物件を選ぶときの条件は、自分が住む部屋を探すときとは違うのだといいます。(写真:NORi/PIXTA)

国内的には物価が上がるけれど、海外と比べると相対的に物価は安くなっている「安いニッポン」。しかし、だからこそ、海外からの観光客は日本で沢山のお金を使い、豊かな自然を愛してバケーションで長期滞在します。インバウンドが戻ってきている今からが「民泊の黄金時代」。

Twitterで民泊情報を発信して注目されるぽんこつ鳩子さんは、週5日フルタイム勤務の会社員でありながら、18軒の民泊物件を運営し、年間2000万円超を稼ぎ出しています。

では、どうしたら副業で民泊を始めて、稼ぎを出していくことができるのか。今回はぽんこつ鳩子さんのノウハウを著した書籍『民泊1年生の教科書――未経験、副業でもできる!』から、物件選びのコツや1軒当たりの売上などについて、一部抜粋、編集してお伝えします。

自分が住む部屋探しとは違う

まず、大事なことは、自分の住む物件を探すときの感覚と、民泊物件を探すときの感覚は違う、ということを理解しておくことです。

みなさん、自分が住む物件を探す場合は、なるべく築浅で駅近、風呂とトイレは別で、閑静な場所……といった条件になることが多いと思います。

ですが、住む家として人気が高い物件は、民泊には回ってきません。なので、たとえば狙いどころとしては、次のような物件がアリでしょう。

・築古で5階建てなのにエレベーターがない
・トイレが和式
・風呂・トイレ・洗面所が一緒になっている3点ユニットバス
・バスタブがない
・最寄り駅から徒歩15分程度はかかる(ただし、道順はシンプル)
・繁華街に近く騒音が気になる
・日当たりがよくない


「暮らすように泊まれる」と人気の民泊ですが、何年もそこに住むわけではありません。

内装がこぎれいで清潔感があることは予約増につながるのでとても大事ですが、外装が古めかしいかどうかは、海外からの観光客はほとんど気にしていないのが実情です。

エレベーターがない、最寄り駅から徒歩15分ほどかかる、繁華街が近い、といった条件も、そこに定住するわけではないのでさほど問題にはなりませんし、日当たりがよくないことも、ゲストは昼間は外で観光をしているので、マイナスにはなりません。

3点ユニットバスやバスタブなし物件についても、海外の人は湯船に入らずシャワーだけが基本なので、ここでゲストにソッポを向かれることもほぼありません。

また、トイレが和式であっても、上から簡易的な洋式便座をかぶせてセットできるような商品もあるので、リカバリーすることは可能です。

ですから、自分の住まい探しなら難色を示したくなるような条件も、民泊ではネガティブに考えなくていいのです。

むしろ、一番ハードルが高いのは「集客が見込めるエリアで、自分の手が届く範囲の家賃の物件を見つけること」ですから、それ以外は折り合いをつけることも大切です。

民泊の初期費用として、家賃が占める割合はかなり高いものがあります。

家賃をもとにして敷金・礼金・管理費なども加算されますから、ここをなるべく抑えられる物件を見つけることができれば、初期費用をぐーんと下げられます。

そういった意味からも、民泊ならではのワケあり物件を狙うのがオススメなのです。

どれぐらいの広さがいい?


「どれぐらいの広さの部屋を借りればいいですか?」

こう聞かれたとき、私は25平方メートル以上、できれば30平方メートル超の部屋をオススメしています。

稼げる部屋は、ずばりベッドの数、つまり収容可能人数で決まります。MAX2〜3人の部屋より、4〜5人泊まれる部屋のほうが当然稼げるわけです。

ただし、部屋を広くすればするほど立ち上げるまでの初期費用はかかりますし、当然賃料も上がります。そのあたりのバランスは本当に難しいところです。

私は現在、35平方メートル以下の物件は新たにやらないと決めています。小さくても35平方メートル以上で4〜5人は泊まれるような部屋を作ります。

とはいえ、実はコロナ禍前には20平方メートル以下の小さな物件をやっていたこともありました。そこを決めた理由は、都内で駅近、観光スポットも目の前で、とにかく立地がよかったからです。

ですが、ダブルベッドを1台置いたら部屋がいっぱいになってしまい、予約が入ったのはおひとり様のビジネスマンと、ときどきカップル。結局、月に数万円しか利益が出ませんでした。

この物件を続けていても爆発的に稼げるイメージが湧かず、結局3カ月でたたんでしまったのです。初期費用も回収できず、トータルでマイナス50万円ぐらいになってしまったと思います。

小さい部屋の弱点は、ビジネスホテルとの差別化があまりできないことです。

泊まるだけならビジネスホテルのほうがきれいだし、使い勝手もいい。だから、ビジネスホテルと競合してしまうと、民泊は負けてしまいます。

また、支出を引いて、通常の月は10万円、繁忙期は30万円ほど稼ぎたいところです。

そうなると、冒頭で言ったように30平方メートル以上はあったほうが、部屋のアレンジもきくし、収益も出しやすいでしょう。

でも、これも絶対の正解ではありません。

1軒目なら身の丈に合った金額ではじめるのがいいと思いますし、20平方メートルぐらいの部屋で、ビジネスホテルにはない凝ったインテリアにして予約率を上げている方もいます。要は、小さい部屋なら、ビジネスホテルと競合しない工夫をすればいいのです。

参考までに、私の大小2つの物件の収支表を大公開します!

これも、月によって差はありますが、収益のイメージがつくのではないでしょうか?


 
(画像:『民泊1年生の教科書――未経験、副業でもできる!』より)

副業民泊の利点は小さめのワンルームでも、1軒で年間100万〜150万円程度稼げるところです。

1軒やってコツがつかめれば3〜5軒ぐらいは1人で運営できますし、そこに少し大きめの部屋を加えれば、副業収入で年間1000万円超えも夢ではありません。

みなさんも、まずはおおよその収支表を作ってみるといいかもしれません。

(ぽんこつ鳩子)