赤ちゃんの成長に欠かせない「栄養」。“離乳食”ではどんな食べ物を選び、どう食べさせていけばいいのか、レシピもあわせて紹介します(写真:yuu/PIXTA)

一生のうちで最も目覚ましく成長する時期に、欠かせないのが「栄養」です。産後は授乳であり、生後5〜6カ月からは食べ物(離乳食)になっていきます。どんな食べ物を選び、どう食べさせていけばいいのでしょうか? 『成功する子は食べ物が9割 脳と体がすくすく育つ離乳食』より一部抜粋し再構成のうえ、大人の料理を“ゆる分け”するレシピもご紹介します。

母乳だけでは足りなくなる栄養を補うのが“離乳食”

離乳食を始めるタイミングは生後5〜6カ月。その主な理由は、成長に必要な栄養が、母乳やミルクだけでは足りなくなるからです。

生後間もない赤ちゃんにとって、母乳は最良の栄養源。でも、6カ月を過ぎるころには、たんぱく質やカルシウム、鉄などの栄養素が大幅に減ってしまいます。それは、「もう母乳だけでは栄養が足りないから、食べ物から栄養をとってね」という、おっぱいからのサインなのです。

5〜6カ月は1日1回、7カ月になったら2回食、9カ月で3回食へと進め、食事からの栄養をメインにしていきましょう。

食事からの栄養のとり方は、大人の考え方と同じ。3つの栄養源チームから食材を組み合わせると、バランスがととのいます。どのチームも体内でたいせつな役割をして、赤ちゃんの活動のエネルギーになり、体をつくる材料になります。だから“バランス食”が大事。

ただ、赤ちゃんは食べムラがあるし、好き嫌いがはげしい時期もあるので、1日3食で、または2〜3日の食事全体で、偏らないようにすればOK。

1品で簡単にすませるときにも、「ほうれんそうと豆腐のおじや」など、3つのチームの食材が1つずつ入っていれば合格です。


(図表:『成功する子は食べ物が9割 脳と体がすくすく育つ離乳食』)

個性に寄り添いながらその子のペースで大きくなる

離乳食を栄養たっぷりに作っても食べてくれず、親としては「どうしてうちの子は……」と悩むこともあるかもしれません。

でも、離乳食に「目安量」はあっても、赤ちゃんは食欲も、体格や運動量も個人差が大きいので、みんなが「同じ量を食べる」わけではありません。大人が心配するほど食べる子も、がっかりするほど小食の子もいます。どちらも、その子の個性です。

チェックしてほしいのは、食べる量よりも「体重のふえ方」。体重が、母子健康手帳の発育曲線の範囲内で、カーブに沿ってふえているならおおむね問題ありません。もっと食べたい子はおかわりしてよいし、小食の子は無理なく食べられる量でOKです。

目安量よりたくさん食べる子は、野菜やおかゆをふやしてみてください。野菜を少し大きめ・かためにして、かみごたえを出すと、早食いも防げます。

たんぱく質は、成長期の体をつくる材料になるので、積極的に食べさせたい一方で、赤ちゃんはたんぱく質を消化することが苦手。いきなりたくさん食べると、食物アレルギーの症状が重く出てしまうことや、腎臓に負担をかけることが心配なので、適量にします。

小食の場合は、離乳食が進まずに体重がふえないと、必要な栄養素が不足しやすいです。食事からの栄養がメインになるように、食事の回数と量をふやしていきましょう。


(図表:『成功する子は食べ物が9割 脳と体がすくすく育つ離乳食』)

カミカミ期(9〜11カ月ごろ)大人ごはんと同時に作る調理のコツ


(写真:『成功する子は食べ物が9割 脳と体がすくすく育つ離乳食』)

やわらか鶏つくね献立

■鶏つくね
材料(作りやすい分量・赤ちゃんは1人分)
鶏ひき肉…150g
絹ごし豆腐…150g
米油…小さじ1
A:しょうゆ、みりん、水…各大さじ1
A:かたくり粉…小さじ1

■蒸し野菜…適量

■ごはん…茶わん1杯分

■5倍がゆ…90g
(または軟飯80g)

【作り方】
1、ひき肉と豆腐はポリ袋に入れ、もみまぜる。15等分して楕円形にまとめる。
2、フライパンに米油を熱し、1の両面を焼いて火を通す。赤ちゃん用に、1つは器に盛る(いくつかとり分けて冷凍しても)。
3、残りの2にAをまぜ合わせて加え、とろみがつくまで煮からめる。大人用を器に盛り、好みでいり白ごまを振る。
4、それぞれに蒸し野菜を添え、赤ちゃん用は手づかみしやすい大きさに切る。おかゆ、ごはんを盛り、大人は好みで赤じそふりかけを振る。

【ゆる分けMemo】
肉だんご汁にアレンジも!
肉だねに苦手な野菜やきのこを刻んで入れてもOK。丸めて汁に入れれば、肉だんご汁や肉だんごシチューにもできます。

パクパク期(1才〜1才6カ月ごろ)大人ごはんと同時に作る調理のコツ


(写真:『成功する子は食べ物が9割 脳と体がすくすく育つ離乳食』)

辛くない麻婆豆腐献立

■辛くない麻婆豆腐
材料(作りやすい分量・赤ちゃんは1人分)
木綿豆腐…150g
豚ひき肉…50g
にんじん···1/5本
なす…1/2本
しいたけ…1枚
かつおだし…200ml
米油…小さじ1
水どきかたくり粉…適量
しょうゆ…大さじ1/2
ごま油…少々

■ごはん…どんぶり1杯分

■軟飯…90g(またはごはん80g)

■キウイ(半月切り)…2枚

【作り方】
1、豆腐は1cm角に切る。にんじん、なす、しいたけはみじん切りにする。
2、フライパンに米油を熱し、ひき肉をいため、火が通ったら野菜を加えてさっといためる。かつおだしを加え、ふたをして5分煮る。
3、豆腐を加え、水どきかたくり粉でとろみをつける。
4、赤ちゃん用の器に軟飯を盛り、3を1/6量のせる。
5、残りの大人用はしょうゆ、ごま油で調味し、器にごはんを盛り、適量をのせる。

【ゆる分けPoint】
とろみをつけてからとり分ける
煮汁に水どきかたくり粉を加え、まぜてとろみをつけます。肉がポロポロしにくい!


(細川 モモ : 予防医療コンサルタント、一般社団法人ラブテリ代表理事)