「女性管理職の比率が高い」企業ランキング

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(写真:YUJI/PIXTA)

企業による人的資本関連の情報開示に関心が高まるなか、とりわけ注目されているのが女性活躍についての項目だ。女性管理職比率は、2023年3月期以降の有価証券報告書から開示必須項目となっている。

今回は、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版掲載データを基に、女性管理職比率上位100社のランキングを紹介する。

対象は同誌掲載企業1702社のうち、女性管理職人数が5人以上かつ同比率を開示している979社。管理職の定義は、部下を持つ、または部下を持たなくとも同等の地位にあることとしている。なお、『CSR企業白書』2023年版には、同ランキング上位400社を掲載している。

5年連続1位はABC Cooking Studio

5年連続1位となったのは東京を中心に国内外で料理教室を展開するABC Cooking Studioで97.3%(女性管理職143人、以下同)。次いで、ビジネスホテルを国内外に展開する東横インが95.9%(233人)で2位。昨年に引き続き、3位に子供写真館最大手のスタジオアリスが86.0%(37人)でランクイン。

女性管理職比率ランキングのトップにランクインする企業は、そもそも全従業員数に占める女性の割合が非常に高いという特徴がある。女性管理職を育成する土壌があるからこそ、その結果がわかりやすく表れているのだろう。

次に、女性管理職比率の業種別平均を紹介する。同比率が高い業種トップ5は、1位保険業(平均女性管理職比率27.8%、以下同)、2位サービス業(19.4%)、3位銀行業(19.2%)、4位その他金融業(18.5%)、5位空運業(15.7%)だ。全体平均は9.3%で、平均を上回る業種は12位の繊維製品業(10.4%)までとなる。

トップ5の各業種における1位の企業は、保険業・住友生命保険(47.3%)、サービス業・ABC Cooking Studio(97.3%)、銀行業・北國フィナンシャルホールディングス(33.4%)、その他金融業・ジャックス(29.6%)、空運業・日本航空(21.9%)となる。


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『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版の掲載情報によると、住友生命保険は2025年度末までに女性管理職比率50%、北國フィナンシャルホールディングスは2025年3月に40%、ジャックスは2024年度までに35%、日本航空も2025年度までに30%を目標に掲げる。各社、明確な数値目標を掲げ、現状ではそれに近い数字に到達してきているようだ。

一方で、平均比率が低い業種は、そもそも女性従業員比率が低い傾向にある。このような場合、まずは女性従業員の割合を増やすといった、育成するための土壌から作る必要がある。

そのうえで女性管理職を育成する策を講じなければならない。業種の特徴もあって、女性従業員比率の増加に課題を持つ企業も少なくないため、あらゆる企業に対して女性管理職比率の向上を一律に求めるのは難しい側面もある。

女性役員比率30%以上が数値目標

2023年6月に内閣府から「女性版骨太の方針2023」が公表され、プライム市場上場企業を対象に2030年までに女性役員比率30%以上を目指す数値目標などが設定された。女性役員となる人材を育成するという面でも、女性管理職比率は注目すべき指標だ。

さらに、今後は単なる女性管理職比率の向上だけでなく、比率が向上した結果、何が変わったのかという行動や実績まで求められてくるだろう。

今回ご紹介した内容は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版に掲載しているごく一部だ。「東洋経済CSRデータ」でもさまざまなデータを提供している。




(伊東 優 : 東洋経済『CSR企業総覧』編集部)