コロナ禍で激減も…復活の兆し? 新社会人が押さえておくべき「名刺交換」8つのポイント、マナーコンサルタントが解説
コロナ禍によって激減した、対面での「名刺交換」の機会。しかし、コロナが落ち着いてきたとともに、「久しぶりに名刺交換をした」という人も増えつつあるのではないでしょうか。この春から社会に出た「新社会人」にも、遅かれ早かれ名刺交換の機会が訪れます。社会人らしく立ち振る舞うためにも、正しく身に付けておきたいビジネスマナーの一つです。
そこで、新社会人が早めに押さえておくべき「名刺交換のマナー」について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事でマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。
名刺は「大切な分身」
Q.新社会人にとって、「名刺交換」はどのような意味を持つ行為・機会だと思われますか。
西出さん「まず、『名刺はその人の分身である』という考え方があります。従って、他者と自分の分身である名刺を丁重に取り扱う気持ち、姿勢が大切です。
次に、名刺にはメールアドレスや電話番号など貴重な情報が記載されています。その情報を渡し、頂けることに感謝するのも大事ですね。
これらを踏まえた上で、“ビジネスカード”といわれる名刺を交換することは、今後のビジネス構築や発展の第一歩となる行為です。人によっては、『初対面ですぐに名刺を渡さない』という人もいます。名刺を頂けることは当たり前と考えず、『交換してもらえたということは、ビジネスチャンスのチケットを頂いたありがたいこと』だと考えましょう」
Q.新社会人がなるべく早く身に付けておきたい「名刺交換」の基本的なマナーを教えてください。
西出さん「マナーは、気持ちを“カタチ”で表し、伝えていくものです。名刺交換の基本的なマナーは、先述の通り、感謝の気持ちを丁重に取り扱う“カタチ”として表現しましょう。その際、次の8つのポイントを意識してみてください」
【名刺入れ】
海外では、日本ほど名刺入れにこだわりはない傾向にありますが、『大切な分身』として考える名刺は、名刺入れに入れて携帯しましょう。名刺入れは、中が2段になっている形状のものをお勧めします。手前の段には頂いた名刺を、奥には自分の名刺を入れておくと、うっかり他者の名刺を自分の名刺と間違えてお渡しするというミスを防ぐことができます。頂いた名刺を手前に入れるのは、自分の名刺よりも上に位置するからです。
【胸の高さで持つ】
相手にお渡しする名刺などの物は、基本、胸の高さで持ち、その位置で授受をするといわれています。相手や物に対する敬意の表れとなります。
【訪問者から名乗る】
名刺交換を行うときは、基本的に、訪問した人から名乗ります。上司と同行した場合は、上司が名刺交換をした後に行います。
【同時交換は片手で】
同時に名刺交換を行うときは、利き手に名刺を、一方には名刺入れを胸の高さで持ち、社名と名前を名乗り、自分の名刺を相手の名刺入れの上に置き、相手の名刺は自分の名刺入れの上に置いてもらいます。このように同時に交換をするときは、片手で渡して構いません。
なお、互いに両手で受け渡しをすると、複数の場合はそれに割く時間を多く費やすことになります。ビジネスマナーでは丁寧さも大切ですが、時間と効率を考えての行動、所作も必要です。
【目上の人の名刺の上に重ねない】
複数の人と名刺交換を行う場合、目上の方から順に交換をしていきます。従って、既に頂いた名刺の上に、次に交換した人の名刺を置かないよう気を付けましょう。役職の高い人の名刺の下に差し込み、自分の名刺も同様に、他者の名刺の下に差し込みます。
【相手の名刺を受け取ったら】
自分の名刺を相手の名刺入れの上に置き、自分の名刺入れの上で相手の名刺を受け取ったら、両手で持ち、「頂戴いたします」と言って、押し頂きます。
【商談中】
テーブルの上に名刺入れを置き、その上に、頂いた名刺を置きます。複数名の場合は、最も役職の高い人の名刺を名刺入れの上に置き、その他の人の名刺は、テーブルの上に置きます。名前と顔が一致するよう、座っている順に名刺を対に置くと、間違いを避けることができます。
【名刺をしまうタイミング】
同行している上司がいる場合は、上司がしまい始めたら、それに続きます。1人の場合は、「それではよろしくお願い申し上げます」など、商談などの話を終えてあいさつをしたら、名刺入れの上に頂いた名刺を置いたまま持ち上げ、感謝の気持ちを込めて押し頂き、名刺入れの中にしまって、それをかばんにしまいます。
社会人としてデビューした初期の段階で、名刺交換の基本を習得しておけば、自信をもって堂々と振る舞うことができますね。
Q.新社会人にとって、名刺交換の場は緊張を伴うと思われます。どのような意識・姿勢をもって名刺交換に臨むとよいでしょうか。
西出さん「初めは誰もが緊張すると思います。とはいえ名刺は、今後、相手とコミュニケーションを取るための情報が記載されている貴重なものです。それを頂けるわけですから、『ありがたい』『チャンス』だという前向きな気持ちで交換しましょう。
社会という場では、誰かのおかげで引き上げていただけることもありますが、その第一歩は自分を名乗り、相手の情報を得る名刺交換からスタートします。ぜひ、前向きな気持ちで敬意と感謝、そして向上心を持って名刺交換を行ってみてください」