手指の「ささくれ」が痛い…なぜできる? 早く治すには? 皮膚科医に聞いた
乾燥する冬の時期はもちろんのこと、季節を問わず気になる手の指先の「ささくれ」。たとえ小さなささくれでも、「手を洗うたびにしみる」「洋服に引っかかる」などで不快な痛みが続きやすく、なかなか治らないことも少なくありません。
なぜ、「ささくれ」ができてしまうのでしょうか。アヴェニュー表参道クリニック院長で、皮膚科医・形成外科医の佐藤卓士さんに聞きました。
偏った食生活が原因となることも
Q.そもそも、「ささくれ」とは何ですか。
佐藤さん「ささくれとは、爪の周りの皮膚が部分的にむけて、剥がれている状態を指す言葉で、『さかむけ』ともいいます。
爪が伸びるとき、通常は爪の根元や周りの皮膚も一緒に引っ張られます。しかし、皮膚が乾燥していると伸びにくくなるため、爪が伸びる力に耐えられなくなって皮膚が引き裂かれ、ささくれとなるのです。ささくれができても、すぐに痛みを感じることはほとんどありませんが、そのまま放置していると、むけた皮膚が衣服などに引っかかって傷口が広がり、痛みを感じます」
Q.ささくれは、なぜできてしまうのですか。
佐藤さん「指先や爪周りの皮膚の水分、皮脂の不足による乾燥です。乾燥すると皮膚が硬くなって細かいひび割れが起きやすくなり、そこから皮膚が剥がれてささくれになります。
皮膚が乾燥する原因としては、寒い季節などの空気の乾燥、手洗いや消毒、水仕事や洗剤などによる刺激、指の血行不良などが考えられます。また、偏った食生活などで栄養不足になると、皮膚の新陳代謝が損なわれるため、これもささくれの原因になります」
Q.ささくれができやすい人の特徴はありますか。
佐藤さん「先述の通り、ささくれの原因は皮膚の乾燥です。そのため、指先が乾燥しやすい体質・肌質の人はなりやすいといえます。年齢を経るにつれ、皮膚の皮脂や水分量が減ってきて乾燥しやすいため、若年層よりも壮年層や高齢層に起こりやすいといえます。
また、男性よりも女性の方が、皮膚が薄く、冷え性の人も多いこと、水仕事をする機会が多いことなどから、ささくれになりやすい傾向はあると思います。男女問わず、水に触れる機会が多かったり、化学薬品を使用したりする職業の人は、ささくれができやすいかもしれません」
Q.ささくれをなるべく早く治すための方法や、予防するためのポイントとは。
佐藤さん「ささくれを無理にむしると傷が深くなったり、出血したりするためNGです。一方で、ささくれを放置していると皮むけの状態が悪化し、痛みが出てくる可能性があるため、小まめにセルフケアを行いましょう。
ケアの際は爪切りや小さいはさみを使い、ささくれを根元からカットすると、引っかかりがなくなり、傷が深くなることを防げます。傷ができている場合は傷薬を塗り、ばんそうこうで保護した方がよいです。
予防方法は、しっかりと保湿をすることです。通常のハンドクリームでもいいのですが、血行促進効果のあるビタミンEやヘパリン類似物質、角質をやわらかくする尿素などが含まれる市販薬は保湿効果が高く、お勧めです。また、ハンドマッサージをして血行をよくしましょう。ハンドクリームを手と指全体になじませて、指を1本ずつ丁寧にもみほぐしてください。就寝時など、手を使わないときはハンドクリームを塗ってから、綿の手袋をして手を保護すると保湿効果が高まります。
水仕事のときはゴム手袋などを着用し、水や洗剤に直接手が触れないようにすることです。手洗いには低刺激タイプのせっけんを使い、ぬるめの湯で洗いましょう。手が濡れたらそのままにせず、すぐに清潔なハンカチやタオルで優しく押さえるようにして水分を拭き取ってください。また、冬場の外出時は手袋をして、寒気から手を守りましょう」