豆腐の“透明な液体”、なぜ入れる? 飲んでも大丈夫? タカノフーズに聞く
市販の豆腐の中には、“透明な液体”に浸した状態で売られている商品もあります。この液体にはどのような役割があるのでしょうか。また、飲んでも問題ないのでしょうか。「おかめ豆腐」「絹美人」などを販売する、タカノフーズ(茨城県小美玉市)の営業推進部門 豆腐・惣菜営業推進の平田剛士マネジャーに聞きました。
緩衝材、劣化防止の役目
Q.そもそも、市販の豆腐には、にがりのような透明な液体に浸した状態で販売されている商品と、豆腐がそのまま入った商品があります。両者は何が違うのでしょうか。
平田さん「透明な液体の正体は、一般的な『水』であり、にがりではありません。パックの隙間を埋める水なので、『パック水』と呼ばれることが多いようですが、『封入水』と呼ばれることもあります。一方、容器に水が入っていない商品は『充填(じゅうてん)豆腐』と言います。
パック水が入っている商品と充填豆腐の違いについて説明します。従来は、『木綿豆腐』『絹豆腐』(これらは『カット豆腐』と呼ばれることが多い)しかありませんでしたが、技術向上により、容器に直接、豆乳とにがりを注入して固める充填豆腐が誕生しました。
充填豆腐は、木綿豆腐や絹豆腐と比較し、工程がシンプルで人の手を介することも少ないため、衛生面で優れており、賞味期限が長いのが一般的です」
Q.なぜパック水を入れて豆腐を販売するのでしょうか。理由について、教えてください。
平田さん「パック水を入れる理由は、2つあります。
(1)緩衝材の役目
豆腐は、柔らかく衝撃に弱い食材です。そのため、容器のクッション性を高めるために、パック水を入れています。
(2)空気を遮断する役目
パック水を入れるもう1つの理由は、空気を遮断することで、豆腐の品質を維持するためです。食品は『温度・湿度・空気』の3つの条件がそろうと、劣化(腐敗)の進行が速くなります。この条件をできるだけ取り除くことで、劣化の進行を抑えることができます。
パック水は、空気を遮断することで劣化の原因となる微生物の増殖を防ぐ役割を担っています」
Q.パック水は、飲んでも問題ないのでしょうか。それとも、開封時に捨てた方がよいのでしょうか。
平田さん「豆腐の賞味期限内であれば、飲んでも問題ないと思われます。パック水も含めた全体で賞味期限を担保しているからです」
Q.ちなみに、パック水に栄養素は含まれているのでしょうか。
平田さん「パック水は水なので、特筆すべき栄養素はありませんが、時間の経過とともに、豆腐から溶け出した成分がごく微量ですが、存在するようになります。具体的には、たんぱく質や糖類などですが、飲んで何か効果があると言えるような量ではないため、当社では開封と同時に捨てている人が多いと認知しています」