道路のひし形、6割が「意味知らない」!? 一方で取締り件数は増加! きちんと知っておきたい横断歩道の交通ルール

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5年間で取り締まり件数は倍増

 道路をクルマで走っていると、路面にひし形が書かれていることがあります。意味を忘れてしまった人も多いとされるこの道路標示を認識したら、ドライバーはどうすれば良いのでしょうか。

道路の「ひし形」標示

 2020年に山梨県警が免許更新などで県内の警察署を訪れた男女約2600人にアンケートを実施したところ、道路のひし形の意味を「知らない」と回答した人や、間違った回答をした人の割合が6割超に上ったといいます。

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 このひし形は「横断歩道または自転車横断帯あり」を示す道路標示で、「道路標識、区画線および道路標示に関する命令」に規定されています。

 ひし形の先に横断歩道や自転車横断帯(以下、横断歩道等)があることをドライバーに伝えています。

 しかしこの標示は、すべての横断歩道等の手前に書かれているわけではありません。

 対象となるのは、原則として「横断歩道等の設置場所に信号機が設置されていない道路」「道路または交通の状況により、横断歩道等の存在がその手前から十分に認識できない道路」といった、前方に横断歩道等があることをあらかじめ示す必要がある地点に設置されます。

 そして標示の様式は「原則として横断歩道等から約30m手前の地点に1個、さらに10〜20mの間隔をおいて1個ないし2個を設置する。なお、片側2車線以上の道路において設置する場合は、原則として各車線ごとに設置するものとする」とされています。

 JAF(日本自動車連盟)は毎年、「信号機のない横断歩道」における歩行者優先についての実態調査を実施しています。

 それによると、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしていたときに一時停止したクルマは増加傾向にあり、2022年の調査では39.8%で過去最高だったといいます。

 しかしこれは裏返すといまだ6割近くのクルマがそのまま通過していたということです。

 そもそも、信号のない横断歩道等に歩行者や自転車が横断待ちをしていた場合、自動車は必ず一時停止をして歩行者や自転車の通行を妨げないと、道路交通法で定められています。

 また、「横断歩道等の手前30mは追い越し禁止」というルールもあります。

 警察庁によると、2017年から2021年までの過去5年間で、クルマと歩行者が衝突した交通死亡事故は5052件発生しており、約7割の3588件は歩行者が横断中の事故でした。

 こういった事故を減らそうと警察庁は取り締まりを強化しており、2021年の横断歩行者等妨害等違反の取り締まり件数は2017年の約2.2倍となる32万5796件に上ります。

 また、ポスターやチラシなど配布したり、一部ではひし形とは別に横断歩道を予告する道路標識の設置を進めたりと取り組みを進めている地域もあります。

 しかしすべての横断歩道等に予告の標示や標識があるとは限りません。そのため運転する際は歩行者優先の原則を今一度認識し、安全運転と法令順守を心掛ける必要があります。