2022年シーズンのJ1リーグも残り2節。優勝争いも、残留争いも白熱した状況にあるが、より熾烈を極めているのは、残留争いだ。勝ち点39の12位コンサドーレ札幌はほぼ残留確定と見ていいが、13位の湘南ベルマーレ(勝ち点35)から18位のジュビロ磐田(勝ち点29)までの6チームの行方はどうなるのか、まったくわからない。そこで今回、この6チームのうち、最終的にJ2降格の可能性が高いチームはどこか、Jリーグに精通する識者2人に予想してもらった――。

◆第32節終了時点の順位
13位=湘南ベルマーレ 勝ち点35 得失点差−12
14位=京都サンガ   勝ち点34 得失点差−8
15位=アビスパ福岡  勝ち点34 得失点差−10
16位=清水エスパルス 勝ち点33 得失点差−8
17位=ガンバ大阪   勝ち点33 得失点差−13
18位=ジュビロ磐田  勝ち点29 得失点差−23
※17位、18位は自動降格。16位はプレーオフへ。


熾烈なJ1残留争いの渦中にある16位清水エスパルスと18位ジュビロ磐田

熾烈極める争いは勝ち点36を巡る攻防
チーム力が一枚落ちる磐田は一歩届かずか

杉山茂樹氏(スポーツライター)

◆最終順位予想
13位=湘南ベルマーレ
14位=ガンバ大阪
15位=清水エスパルス
16位=アビスパ福岡
17位=京都サンガ
18位=ジュビロ磐田
※識者の予想順位については、最終的に12位以上になるチームもあるかもしれないが、13位までの順位としてもらった(以下同)。

 J1残留への争いは、勝ち点36を巡る攻防と見る。該当チームの対戦相手は以下のとおりだ。

・湘南=第33節vsサガン鳥栖、第34節vs柏レイソル
・京都=第33節vsセレッソ大阪、第34節vs磐田
・福岡=第33節vs柏、第34節vs浦和レッズ
・清水=第33節vs鹿島アントラーズ、第34節vsコンサドーレ札幌
・G大阪=第33節vs磐田、第34節vs鹿島
・磐田=第33節vsG大阪、第34節vs京都

 このなかで直接対決があるのは、G大阪vs磐田と磐田vs京都だ。もし磐田が2連勝しても勝ち点は35。得失点差も残留争いをしているこの6チームのなかで断トツに悪い。一歩届かずに終わると見る。

 何よりチーム力が一枚落ちる。いただけなかったのは、引き分け(1−1)に終わった前節の戦い。清水相手に絶対に勝たなければならない試合であったはずなのに、引いて守った。消極的な戦い方をした。あるいは、それしかできなかったのか。

 終了間際、同点に追いついたが、そこまでが精一杯だった。火事場の馬鹿力が働きにくいサッカー。二匹目のドジョウはないと見る。

 一般的に、直接対決を残しているチームは不利。星の潰し合いになると考えられるが、残り2戦、虫の息にある磐田は草刈場となる可能性さえある。

 残る5チームにおいては、対戦相手のなかで明らかに調子が悪いチームの存在が目に止まる。鹿島と柏だ。柏は直近8戦が5分け3敗。鹿島に至っては、第20節以降の13試合で1勝しかしていない。

 つまり、瀕死の磐田に、絶不調の鹿島、柏を加えた3チームとの対戦を残しているチームは"ラッキー"と言いたいところだが、5チームいずれも同3チームとの対戦を残しており、湘南、京都、福岡、清水が各1試合、G大阪が2試合、ある。

 それでも、5チームのなかで一番順位が劣るG大阪が2試合を残し、対戦相手に最も恵まれているのは確か。混戦必至である。勝ち点上位の湘南はすんなり通過するだろうが、京都、福岡、清水、G大阪の4チームはほぼ横一線だ。

 地力で勝るのは清水。組み合わせに若干恵まれているのがG大阪。福岡か京都の争いで言えば、最近元気がない浦和との対戦を残している福岡がわずかに優利と言えるのかもしれない。

 今回のJ1残留争い。ここ何年かの間で最も熾烈を極めていることは間違いない。

現実的な残留争いは14位から17位の4チーム
嫌な雰囲気を感じるのは京都と清水

浅田真樹氏(スポーツライター)

◆最終順位予想
13位=湘南ベルマーレ
14位=アビスパ福岡
15位=ガンバ大阪
16位=清水エスパルス
17位=京都サンガ
18位=ジュビロ磐田

 まず、誰がどう見ても苦しい状況に立たされているのが、18位の磐田。13位の湘南から17位のG大阪までが勝ち点2差にひしめくなか、磐田だけが17位と勝ち点4差もあるうえに得失点差も大きく、完全に水をあけられている。せめてもの救いは、残り2試合がいずれも残留争いの直接対決(vsG大阪、vs京都)であることだが、それでも状況はかなり厳しい。

 一方、勝ち点のうえで残留争いを一歩リードしている13位の湘南は、ジワジワと順位を上げてきた。シーズンを通して下位にいながら、一喜一憂せずに戦ってこられたメンタリティは土壇場で武器となるはずで、降格圏へ逆戻りするとは考えにくい。

 つまり、現実的な残留争いは、14位の京都から17位のG大阪までの4クラブに絞られたと見ている。

 最終の順位予想は前述のとおりだが、なかでも嫌な雰囲気を感じるのは、京都と清水だ。

 京都はシーズン序盤の躍進がありながら、次第にジリ貧状態に陥り、清水は一時の低迷から完全に抜け出したかに思われながら、再び降格圏へ逆戻り。いずれも残留争いへの耐性という点で、湘南とは対照的な危うさを覚える。

 また、今後の展開を見通すうえで図らずもカギを握っていそうなのが、16位の清水、17位のG大阪との対戦を残している鹿島アントラーズである。

 現在6位の鹿島は本来、残留争いの渦中にあるクラブにとっては実力上位の厳しい相手。ところが、リーグ戦直近5試合で勝利がなく(1敗4分け)、その間には京都、磐田とも引き分けている。

 鹿島が易々と勝ち点を献上してしまうのか否か。それによって、残留争いの展開は大きく変わってくるのではないだろうか。