三浦孝太選手インタビュー 後編

(中編:父・カズのジャージを着た理由は「安心材料」。プロ2戦目の「怖さ」とイメージ通りの一本勝ち>>)

 三浦孝太がプロ2戦目に勝利し、リング上で「これからも勝ち進んで、格闘界の若きキングになる」と宣言した『超RIZIN』。メインのフロイド・メイウェザーvs朝倉未来という大きな話題を集めた試合を会場で見ていたという三浦は、格闘家として新たな感情が芽生えたという。

 今後の目標はどこにあるのか。さまざまな格闘家から対戦を熱望する声も上がっているが、それをどう受け止めているかも併せて聞いた。


プロ3戦目が注目される三浦孝太

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――次のプロ3戦目は、さらに注目度が上がると思います。闘いたい選手や、見せたいファイトスタイルなどはありますか?

「今後は自分の好きな金太郎選手みたいに、次から次に攻撃するスタイルを見せたいですね。ただ、そんなに先は考えず、1試合1試合を大切にしていくことは変わらずにやっていきます。対戦相手に関しては、総合格闘技が専門の選手とできたらいいなと思っています」

――逆に「三浦選手と戦いたい」という選手も出てきましたね。

「自分は"三浦知良の次男"といった肩書も含めて名前が先行している感じなので、みんなが乗っかりたいというか、『楽に勝てて名前が売れる』と思っているのかもしれませんね。そこで気分が悪くなることはなくて、『名前を出してもらえるんだ』ってビックリしてます。

 現段階で、自分より有名で強い選手はたくさんいます。でも、自分とやりたいってことは、楽に勝って名前を売りたいということなのかなと。言い方は悪いですけど"売名"としか思えません。格闘家だったら、自分より強い相手とやって勝ちたいと思うのが普通なんじゃないかと思うので。

 例えば朝倉未来選手だったら、『三浦孝太とやりたい』なんて絶対言わないだろうし、『話にならない』という感じでしょうから。自分は希望する対戦相手もいないですし、組まれた選手と試合して昇っていくだけだと思っています。だから、今の自分と『試合をしたい』という選手たちには、あまり魅力を感じません」

――「試合をしたい」という言葉の真意が透けて見えてしまう、ということですね。

「そうですね。それよりも逆に名前すら出してくれない選手のほうが『闘いたい。目指したい』と思います。自分もキャリアを重ねていく中で、そういう選手に名前を出してもらえるようになりたいです」

――そういった意味でも、『超RIZIN』でのメイウェザー選手と朝倉選手の試合には刺激を受けたんじゃないですか?

「シンプルに、朝倉選手がメイウェザー選手と闘うまでいったことがすごいですし、メイウェザー選手が日本に来てくれたことも奇跡みたいなもの。朝倉選手にとっては今回の経験が、今後のキャリアにすごい大きな意味を持つものになるんでしょうね。

試合内容も、総合格闘技の選手が、ボクシングのレジェンドと2ラウンドの終盤まで闘うだけでもすごい。さすがにボクシングでは差がありましたが、同じリングに上がった勇気、朝倉選手の"大きなものを引き寄せる力"は尊敬しかありません」

――自分の試合後ということで、いろいろと感じるものもあったでしょうね。

「入場シーンはお客さん目線で見入ってたんですけど、だんだん試合が進むうちに『自分は、このままじゃダメだな』と思うようになりました。いつまでもビッグマッチを見てる側じゃなくて、メイウェザー選手レベルのスーパースターを日本に呼べるような力を持ちたい。そういった嫉妬みたいな感情が少しずつ出てきました」

――同じように注目された試合でいうと、6月19日に東京ドームで行なわれた天心選手と武尊選手の試合も、三浦選手は会場で見ていたそうですね。その試合の感想は?

「天心選手には、RIZINに出る前からお世話になっていたんですが、『やっぱりすごい。思ってた通り強いな』と思いました。しっかり勝ち切って、長きに渡る武尊選手との物語を完結させるあたりは流石でしたね。

 同時に、K-1を代表する選手として、いろんなものを背負っていた武尊選手のかっこよさにも気づきました。自分は縁があった天心選手を応援してたんですけど、試合が終わった時には少し寂しさもあった。そこから、また前を向いて頑張っている武尊選手がかっこよくて、心を掴まれてファンになりました」

――2つのビッグマッチを目の当たりにして、練習のモチベーションも変わりましたか?

「そうですね。朝倉選手、天心選手、武尊選手が日本の格闘技界を引っ張ってくれたように、自分も含めて『若い世代で時代を作らなきゃいけないな』という気持ちが強くなりました」

――昨年10月、『RIZIN.31』のリングに登場して「誰もが憧れるこの舞台で、大晦日デビューさせてもらえることを嬉しく思い感謝しています。大晦日まで準備して素晴らしい試合を届けるので、よろしくお願いします」と発表してから1年が経ちました。この1年をひと言で表すならどんな言葉になるでしょうか。

「この1年を表すなら......"人生のスタート"ですかね。デビューする前は19歳でしたが、その19年間の集大成が1年に詰まっていたような感覚です。その集大成からまた新たな人生がスタートして、またどこかで分岐点に直面するんだろうと思います。この1年は、自分が年齢を重ねて人生を振り返った時に、最も強く思い出す1年になるでしょうね」

――この1年で一番のハイライトシーンを選ぶなら?

「やっぱり昨年の大晦日のプロデビュー戦になると思います。ただ、これからは毎年のように人生を変えていくような1年を過ごしたいですね。この1年を超えるような充実した1年を、常に更新していけるように格闘技と向き合っていきたいです」

(取材協力:用賀ボクシングジム グローブス、BRAVE GYM)

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