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「mixi」(ミクシィ)は、日本でかつて大流行した。SNSの走り的な存在だが、日本No.1の座をその後、Facebookを中心としたアメリカ発のサービスに奪われた。しかし、そのFacebookも初めてアクティブユーザー数が減少し岐路を迎えている。Facebookもmixi化するのか。

■2022年2月3日に起きた「Facebookショック」

2022年2月3日のアメリカの株式市場に、Facebookを展開するMeta Platforms(※2021年10月に「Facebook」から社名変更)の株価が約26%も下落した。時価総額で世界TOP10に入る企業の株価が1日でここまで下落するのは、極めて珍しい。

まさに「Facebookショック」とも言える状況で、その後、株価は急落の反動ですぐに回復に向かうという楽観的な見通しもあったが、ずるずると株価を下げていった。アメリカにおける大手IT企業群を示す「GAFAM」の一角を担うMeta Platformsに何が起きたのか。

2022年2月2日の株式市場が閉まったあと、Meta Platformsは2021年第4四半期(2021年10〜12月)の決算発表を行い、この決算発表で1日のアクティブユーザー数(DAU)が初めて減少に転じたことが判明したのだ。

具体的には、2021年第3四半期のDAUは19億3,000万人だったが、2021年第4四半期のDAUは19億2,900万人となり、100万人減った。このような数字により悲観的になり、Meta Platformsの株式が売りに売られる結果となった。

■mixiを連想させるが、mixiはその後にV字回復

Facebookの初のアクティブユーザー数の減少は、かつてのmixiを連想させる。

mixiは2000年代に日本で若い世代に爆発的に広まったが、その後、mixiを使っている人は目に見えて減っていった。FacebookやTwitterの台頭、そしてLINEなどのコミュニケーションアプリの普及も痛手だった。

今のFacebookは当時のmixiの状況に似ていなくもない。Meta Platformsが以前買収した写真系SNSのInstagramやライバルである短文投稿型SNSのTwitter、そして動画SNSの中国系TikTokなどの人気が高まり、事業環境が急速に悪化している。

このうちInstagramはMeta Platformsの傘下にあるとはいえ、同社の看板サービスとも言えるFacebookの1日のアクティブユーザー数の落ち込みはMeta Platformsの今後の業績に暗い影を落とす。

■メタバースのビジネスを成功させられるかがカギ

だが、仮にFacebookの1日のアクティブユーザー数が今後も落ち込み続けたとしても、Meta Platformsの業績が再起不能な状態まで落ち込むとは限らない。

mixiの運営会社は、一度は業績が右肩下がりとなったが、その後、全盛期を軽く上回る売上高を叩き出すまでに復活した。このような復活を可能にしたのが、新たなビジネスの成功だ。SNSビジネスに固執せず、ソーシャルゲーム「モンスターストライク」を大ヒットさせた。

Meta Platformsに関しても、同じようなことがあるかもしれない。Facebookのアクティブユーザー数が減り続けても、ほかのビジネスで成功を果たせば、Facebookの業績が落ち込んだ分の穴埋めは十分に可能だ。

そしていま、Meta Platformsが新たに取り組んでいるのが「メタバース」のビジネスだ。米メディアの報道によれば、同社が2021年12月に正式公開したVRプラットフォーム「Horizon Worlds」の月間ユーザー数は、2021年12月から2022年2月ごろにかけ、10倍になっている。

■ザッカーバーグ氏の舵取りに注目

つまり、Facebookの1日のアクティブユーザー数が初めて減少したからと言って、Meta Platformsがお先真っ暗と判断するのは早計だ。今後、同社を率いるマーク・ザッカーバーグCEOがどのような舵取りをしていくのか、注目したい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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