夢のタッグチーム結成! 「Mac Studio」「Studio Display」実機レポート
アップルが、Macのファミリーに新しく加わるディスプレイなしのボックス型ハイエンドマシン「Mac Studio」と、本機にマッチする外部ディスプレイ「Apple Studio Display」を3月18日に発売します。ふたつのハイエンドマシンが夢のタッグチームを結成! 実機によるファーストインプレッションをレポートします。
Mac Studioは現状ファミリー内の最強マシン!
Mac Studioは、据え置き型マシンのハイエンド。アップルが独自に設計するシステムオンチップ「Apple M1」シリーズの最高峰である「M1 Max」や、2つのM1 Maxのシリコンダイを融合させて2倍以上の性能を引き出す新チップ「M1 Ultra」が搭載できます。本機が、M1 Ultraを初めて搭載するマシンになります。
アップルの新製品発表会では、現在の最高峰モデルであるMac Proの性能を、M1 Ultraを搭載するMac Studioが凌駕するという事実も発覚。プレゼンテーションを担当したAppleのJohn Ternus氏が「次世代のMac Proにも期待してね」的なフォローの手を差し伸べる一幕もありました。Mac Studioは、現行Macファミリーの中では紛れもなく、発表会のキーワードでもあった「最高峰を解禁。」したマシンなのです。
パフォーマンスだけでなく価格もスペシャルなMac Studioは、M1 Max搭載機が249,800円から、M1 Ultra搭載機は499,800円からです。
小さいのにパワフル、そして静か
設置に必要な専有面積(フットプリント)は、実は2020年に発売されたM1搭載Mac miniと一緒です。本体の縦横サイズは、ともに19.7cmの正方形。Mac Studioは高さが約2.6倍の9.5cmです。Studio Displayのデスクトップスタンドを標準的な「傾きを調整できるスタンド」に選択した場合、ディスプレイ下のスペースにMac Studioの背丈が心地よく収まります。
淡い輝きを放つマットシルバーのアルミニウムボディからは、ただ者ならぬ高貴な雰囲気が漂っています。そして、動作音は驚くほどに静かです。
Mac Studioは、コンパクトな筐体の中に新設計の排熱処理システムを搭載しています。左右対称に配置した空冷ファンにより、本体底部に設けたエアダクトから空気を取り込み、電源ユニットからチップの熱管理モジュールまで効率よく冷やすエアフローを生み出します。熱を帯びた空気は、2,000個以上の穴を設けた本体背面のパンチグリルから静かに排出。負荷の高いアプリケーションを複数立ち上げてみても、耳をそばだててようやく動作音が分かるほどの静音設計としています。
M1 Ultra搭載機は、チップのパフォーマンスに合わせて排熱処理システムを最適化しているため、筐体の質量がM1 Max機よりも900gほど重くなっています。
Macユーザーにうれしいインターフェース、あれやこれ
Mac Studioは、多種多様な入出力インターフェースを搭載しています。Thunderbolt 4に対応するUSB-C端子は本体の背面に4基。M1 Ultra機は、前面2基のUSB-CポートもThunderbolt 4対応です。前面にはSDXCカードスロットがあるので、日常の取材にデジタルカメラを多用する筆者は“変換アダプター要らず”なMac Studioが可愛く感じられて仕方がありません。
欲を言えば、3.5mmヘッドホンジャックも前面側に欲しかったところですが、これはHDMIやUSB-Aポートとともに背面に用意しています。インターネット接続は、10ギガビットイーサネットによる有線接続か、Wi-Fi 6対応の無線接続が選べます。
Mac Studioも本体にスピーカーを内蔵していますが、後述するStudio Displayの方がはるかにリッチなサウンドシステムを搭載しているので、エンタメ系コンテンツの視聴にはこちらを合わせるか、またはHomePod miniなどを活用するスタイルがおすすめです。Bluetoothスピーカーをペアリングしてもいいですね。
Mac Studioは、最新のmacOS 12.3 Montereyをインストールして出荷されます。最初はパブリックベータ版として実装する新機能「ユニバーサルコントロール」を使うと、Mac StudioとiPadOS 15.4以降を搭載するiPadをペアにして、1組のワイヤレスマウスとキーボードをふたつのデバイス間で使えるようになります。Mac Studioで画面いっぱいにAdobe Lightroomアプリケーションを展開しながらRAW現像に勤しむあいだ、ユニバーサルコントロールで接続したiPadでメールやメッセージを確認・返信する、といった使い方ができます。
すべてのMacユーザーにおすすめしたいStudio Display
Apple Studio Displayは、27インチの5K Retinaディスプレイを搭載する外付けディスプレイです。Mac Studioとの接続は、Thunderbolt対応のUSB-Cポート経由になります。背面に稲妻のアイコンがマークされているThunderbolt 3対応USB-Cポートは96Wのホスト充電に対応しているので、本機に接続したMacBookを充電しながら使えます。
筆者は、外に出かけて取材をしたり原稿を書くことが多い仕事をしているので、メインマシンはポータビリティに優れるMacBook Airを選んでいます。ところが、最近は在宅ワークの時間も長くなっているので、家では腰を落ち着けて大きな画面を見ながら仕事に打ち込める環境が欲しくなっています。Studio Displayがあれば、外出先での仕事を終えて、帰宅したあとはMacBook Airを接続するだけで、そのまま同じ環境で作業が続けられます。これは素晴らしく効率が良いワークフローだと思います。
Studio Displayには、過去にiPhone 11シリーズが搭載、現行モデルでは第9世代iPadが採用するアップルのシステムオンチップ「A13 Bionic」が搭載されています。これは、フロントパネルの上部中央に配置した12MP超広角カメラの画像信号処理をこなし、iPadが先行対応する「センターフレーム」の機能を制御する役割を担っています。また、スタジオグレードの3マイクアレイによる通話音声の集音や、本体に内蔵する6スピーカー構成のサウンドシステムの制御にもA13 Bionicチップが活躍します。つまり、Studio Displayがあればビデオカンファレンスの環境も強化されるということ。ますます物欲が刺激されます。
Studio Displayは、電源を入れて単体で動くデバイスではなく、MacやiPadをケーブルで接続して使う外部モニターです。単体でネットワークに接続する機能は持たないため、ファームウェアの更新にはホストとなるMacが必要です。
Mac Studio以外にStudio Displayが使えるMacやiPadは下記の通りです。
○◆macOS Monterey 12.3以降を搭載するMac
Mac Studio(2022)
16インチMacBook Pro(2019以降)
14インチMacBook Pro(2021)
13インチMacBook Pro(2016以降)
15インチMacBook Pro(2016以降)
MacBook Air(2018以降)
Mac mini(2018以降)
Mac Pro(2019以降)
24インチiMac(2021)
27インチiMac(2017以降)
21.5インチiMac(2017以降)
iMac Pro(2017)
○◆iPadOS 15.4以降を搭載するiPad
12.9インチiPad Pro(第3世代以降)
11インチiPad Pro(全世代)
iPad Air(第5世代)
iPadとStudio Displayも、Thunderboltケーブル1本でシンプルに接続ができました。
MacとiPad、あるいは複数のMacを同時にStudio Displayに接続して切り替えながら使うことはできません。ケーブルを抜き差しするか、またはユニバーサルコントロール機能により目的に近い使い方を工夫する必要があります。
画だけじゃない! 音も高品質
Apple Studio Displayは、エンターテインメント用途にも抜群に高い性能を発揮します。
HDR映像の表示については、上位のフラッグシップモデル「Pro Display XDR」に譲りますが、Display P3の広い色空間をカバーします。パネルの最高輝度は600nits。明るく自然な色合いが特徴です。単に解像度が高いだけでなく、液晶の粒子を感じさせない滑らかでユニフォーミティの高い映像にチューニングされているので、目が疲れにくい点も魅力的です。
4基のフォースキャンセリングウーファーと2基のトゥイーターユニットにより構成される6スピーカーシステムのサウンドは、とてもエネルギッシュ。24インチの5K Retinaディスプレイを搭載するiMacと同じシステム構成のスピーカーですが、Studio Displayの筐体に合わせてユニットのチューニングを最適化しています。人の声の帯域は明瞭度が高く、聞こえやすく感じます。低音再生は音像がだぶつくことなく、タイトでスピード感を感じます。スリムな本体なのに、とても力強くリアルなサウンドを再現できるディスプレイです。
Apple TV+で配信されているオリジナルコンテンツのなかには、アップル独自の空間オーディオに対応するドラマや映画が数多く揃っています。Studio Displayの6スピーカーシステムは空間オーディオの再生にも対応します。SFドラマ「インベージョン」のアクションシーンを再生すると、細かな音の粒に360度周囲をぐるりと包囲されるような臨場感に圧倒されました。本作でも、やはりタイトでパンチの効いた気持ちの良い低音再生が楽しめます。
Apple Musicで配信されているドルビーアトモスによる空間オーディオ対応の作品は、ミュージックアプリの設定から空間オーディオのオン・オフを切り替えながら聴くと、違いがとてもよく分かります。さらに、Studio Displayには最大96kHz/24bit対応のDAコンバーターが内蔵されているので、Macを接続して、Apple Musicのハイレゾロスレスコンテンツがシンプルに楽しめます。元のクオリティをダウンコンバートすることなく、高音質に再現できるハイレゾ対応のサウンドシステムとしても、Studio Displayは注目に値するデバイスです。
4Kテレビやゲームコントローラーにもつながる・広がる
Mac StudioはHDMI端子を搭載しているので、Apple TV+のコンテンツを大きな画面の4Kテレビに映して楽しむこともできます。仕事机からリビングルームのテレビサイドに移動させて、Apple TV 4K的な使い方もできるというわけです。Mac Studioのサウンドシステムではやや心許ない感じがするので、テレビのスピーカーから出力するか、またはHomePod miniを組み合わせるともっと良いでしょう。
Bluetooth対応のワイヤレスゲームコントローラーがあれば、Mac StudioとStudio Displayのタッグで、Apple Arcadeのゲームに思い切りのめり込めます。
ふだんの筆者の仕事は、あまりMacに重い負荷をかけるものではないので、今回のファーストインプレッションについてはここまでといたします。これから他にもいろいろな使い方を試してみて、Mac Studioの無尽蔵なパワーについて発見したことを報告してみたいと思います。
著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら
Mac Studioは、据え置き型マシンのハイエンド。アップルが独自に設計するシステムオンチップ「Apple M1」シリーズの最高峰である「M1 Max」や、2つのM1 Maxのシリコンダイを融合させて2倍以上の性能を引き出す新チップ「M1 Ultra」が搭載できます。本機が、M1 Ultraを初めて搭載するマシンになります。
アップルの新製品発表会では、現在の最高峰モデルであるMac Proの性能を、M1 Ultraを搭載するMac Studioが凌駕するという事実も発覚。プレゼンテーションを担当したAppleのJohn Ternus氏が「次世代のMac Proにも期待してね」的なフォローの手を差し伸べる一幕もありました。Mac Studioは、現行Macファミリーの中では紛れもなく、発表会のキーワードでもあった「最高峰を解禁。」したマシンなのです。
パフォーマンスだけでなく価格もスペシャルなMac Studioは、M1 Max搭載機が249,800円から、M1 Ultra搭載機は499,800円からです。
小さいのにパワフル、そして静か
設置に必要な専有面積(フットプリント)は、実は2020年に発売されたM1搭載Mac miniと一緒です。本体の縦横サイズは、ともに19.7cmの正方形。Mac Studioは高さが約2.6倍の9.5cmです。Studio Displayのデスクトップスタンドを標準的な「傾きを調整できるスタンド」に選択した場合、ディスプレイ下のスペースにMac Studioの背丈が心地よく収まります。
淡い輝きを放つマットシルバーのアルミニウムボディからは、ただ者ならぬ高貴な雰囲気が漂っています。そして、動作音は驚くほどに静かです。
Mac Studioは、コンパクトな筐体の中に新設計の排熱処理システムを搭載しています。左右対称に配置した空冷ファンにより、本体底部に設けたエアダクトから空気を取り込み、電源ユニットからチップの熱管理モジュールまで効率よく冷やすエアフローを生み出します。熱を帯びた空気は、2,000個以上の穴を設けた本体背面のパンチグリルから静かに排出。負荷の高いアプリケーションを複数立ち上げてみても、耳をそばだててようやく動作音が分かるほどの静音設計としています。
M1 Ultra搭載機は、チップのパフォーマンスに合わせて排熱処理システムを最適化しているため、筐体の質量がM1 Max機よりも900gほど重くなっています。
Macユーザーにうれしいインターフェース、あれやこれ
Mac Studioは、多種多様な入出力インターフェースを搭載しています。Thunderbolt 4に対応するUSB-C端子は本体の背面に4基。M1 Ultra機は、前面2基のUSB-CポートもThunderbolt 4対応です。前面にはSDXCカードスロットがあるので、日常の取材にデジタルカメラを多用する筆者は“変換アダプター要らず”なMac Studioが可愛く感じられて仕方がありません。
欲を言えば、3.5mmヘッドホンジャックも前面側に欲しかったところですが、これはHDMIやUSB-Aポートとともに背面に用意しています。インターネット接続は、10ギガビットイーサネットによる有線接続か、Wi-Fi 6対応の無線接続が選べます。
Mac Studioも本体にスピーカーを内蔵していますが、後述するStudio Displayの方がはるかにリッチなサウンドシステムを搭載しているので、エンタメ系コンテンツの視聴にはこちらを合わせるか、またはHomePod miniなどを活用するスタイルがおすすめです。Bluetoothスピーカーをペアリングしてもいいですね。
Mac Studioは、最新のmacOS 12.3 Montereyをインストールして出荷されます。最初はパブリックベータ版として実装する新機能「ユニバーサルコントロール」を使うと、Mac StudioとiPadOS 15.4以降を搭載するiPadをペアにして、1組のワイヤレスマウスとキーボードをふたつのデバイス間で使えるようになります。Mac Studioで画面いっぱいにAdobe Lightroomアプリケーションを展開しながらRAW現像に勤しむあいだ、ユニバーサルコントロールで接続したiPadでメールやメッセージを確認・返信する、といった使い方ができます。
すべてのMacユーザーにおすすめしたいStudio Display
Apple Studio Displayは、27インチの5K Retinaディスプレイを搭載する外付けディスプレイです。Mac Studioとの接続は、Thunderbolt対応のUSB-Cポート経由になります。背面に稲妻のアイコンがマークされているThunderbolt 3対応USB-Cポートは96Wのホスト充電に対応しているので、本機に接続したMacBookを充電しながら使えます。
筆者は、外に出かけて取材をしたり原稿を書くことが多い仕事をしているので、メインマシンはポータビリティに優れるMacBook Airを選んでいます。ところが、最近は在宅ワークの時間も長くなっているので、家では腰を落ち着けて大きな画面を見ながら仕事に打ち込める環境が欲しくなっています。Studio Displayがあれば、外出先での仕事を終えて、帰宅したあとはMacBook Airを接続するだけで、そのまま同じ環境で作業が続けられます。これは素晴らしく効率が良いワークフローだと思います。
Studio Displayには、過去にiPhone 11シリーズが搭載、現行モデルでは第9世代iPadが採用するアップルのシステムオンチップ「A13 Bionic」が搭載されています。これは、フロントパネルの上部中央に配置した12MP超広角カメラの画像信号処理をこなし、iPadが先行対応する「センターフレーム」の機能を制御する役割を担っています。また、スタジオグレードの3マイクアレイによる通話音声の集音や、本体に内蔵する6スピーカー構成のサウンドシステムの制御にもA13 Bionicチップが活躍します。つまり、Studio Displayがあればビデオカンファレンスの環境も強化されるということ。ますます物欲が刺激されます。
Studio Displayは、電源を入れて単体で動くデバイスではなく、MacやiPadをケーブルで接続して使う外部モニターです。単体でネットワークに接続する機能は持たないため、ファームウェアの更新にはホストとなるMacが必要です。
Mac Studio以外にStudio Displayが使えるMacやiPadは下記の通りです。
○◆macOS Monterey 12.3以降を搭載するMac
Mac Studio(2022)
16インチMacBook Pro(2019以降)
14インチMacBook Pro(2021)
13インチMacBook Pro(2016以降)
15インチMacBook Pro(2016以降)
MacBook Air(2018以降)
Mac mini(2018以降)
Mac Pro(2019以降)
24インチiMac(2021)
27インチiMac(2017以降)
21.5インチiMac(2017以降)
iMac Pro(2017)
○◆iPadOS 15.4以降を搭載するiPad
12.9インチiPad Pro(第3世代以降)
11インチiPad Pro(全世代)
iPad Air(第5世代)
iPadとStudio Displayも、Thunderboltケーブル1本でシンプルに接続ができました。
MacとiPad、あるいは複数のMacを同時にStudio Displayに接続して切り替えながら使うことはできません。ケーブルを抜き差しするか、またはユニバーサルコントロール機能により目的に近い使い方を工夫する必要があります。
画だけじゃない! 音も高品質
Apple Studio Displayは、エンターテインメント用途にも抜群に高い性能を発揮します。
HDR映像の表示については、上位のフラッグシップモデル「Pro Display XDR」に譲りますが、Display P3の広い色空間をカバーします。パネルの最高輝度は600nits。明るく自然な色合いが特徴です。単に解像度が高いだけでなく、液晶の粒子を感じさせない滑らかでユニフォーミティの高い映像にチューニングされているので、目が疲れにくい点も魅力的です。
4基のフォースキャンセリングウーファーと2基のトゥイーターユニットにより構成される6スピーカーシステムのサウンドは、とてもエネルギッシュ。24インチの5K Retinaディスプレイを搭載するiMacと同じシステム構成のスピーカーですが、Studio Displayの筐体に合わせてユニットのチューニングを最適化しています。人の声の帯域は明瞭度が高く、聞こえやすく感じます。低音再生は音像がだぶつくことなく、タイトでスピード感を感じます。スリムな本体なのに、とても力強くリアルなサウンドを再現できるディスプレイです。
Apple TV+で配信されているオリジナルコンテンツのなかには、アップル独自の空間オーディオに対応するドラマや映画が数多く揃っています。Studio Displayの6スピーカーシステムは空間オーディオの再生にも対応します。SFドラマ「インベージョン」のアクションシーンを再生すると、細かな音の粒に360度周囲をぐるりと包囲されるような臨場感に圧倒されました。本作でも、やはりタイトでパンチの効いた気持ちの良い低音再生が楽しめます。
Apple Musicで配信されているドルビーアトモスによる空間オーディオ対応の作品は、ミュージックアプリの設定から空間オーディオのオン・オフを切り替えながら聴くと、違いがとてもよく分かります。さらに、Studio Displayには最大96kHz/24bit対応のDAコンバーターが内蔵されているので、Macを接続して、Apple Musicのハイレゾロスレスコンテンツがシンプルに楽しめます。元のクオリティをダウンコンバートすることなく、高音質に再現できるハイレゾ対応のサウンドシステムとしても、Studio Displayは注目に値するデバイスです。
4Kテレビやゲームコントローラーにもつながる・広がる
Mac StudioはHDMI端子を搭載しているので、Apple TV+のコンテンツを大きな画面の4Kテレビに映して楽しむこともできます。仕事机からリビングルームのテレビサイドに移動させて、Apple TV 4K的な使い方もできるというわけです。Mac Studioのサウンドシステムではやや心許ない感じがするので、テレビのスピーカーから出力するか、またはHomePod miniを組み合わせるともっと良いでしょう。
Bluetooth対応のワイヤレスゲームコントローラーがあれば、Mac StudioとStudio Displayのタッグで、Apple Arcadeのゲームに思い切りのめり込めます。
ふだんの筆者の仕事は、あまりMacに重い負荷をかけるものではないので、今回のファーストインプレッションについてはここまでといたします。これから他にもいろいろな使い方を試してみて、Mac Studioの無尽蔵なパワーについて発見したことを報告してみたいと思います。
著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら