この記事をまとめると

■過去、高速道路の無料化について話が挙がったことがある

■しかし、実現は難しいと考えられる

■その理由について解説する

高速道路の無料化は現実的ではない!?

 高速道路料金についてのネット記事に対するコメントを見ていたら、「高速道路がタダになるなんて誰が言ったんだ!」とお怒りモードの投稿があった。雰囲気的にはそんな話は聞いたこともない的な感じだったが、若い人なのだろうか?

 年配の方なら、逆に無料になるって昔は言っていたのにと思うかもしれない。実際、バブルの前ぐらいまではそのうちなるハズ、という雰囲気はあった。せっせと乗るたびに支払っているし、日本の通行料は諸外国と比べても高いというのもその雰囲気を後押ししていた。

 少々前の民主党政権になったときも、ついに無料になるか!? という機運は高まったものの、結局はならなかった。ただ、現在も通行料金を徴収し続けて建設などで発生した借金を返済すれば無料になるのが建前にはなっている。借金は今だいたい30兆円ぐらいあって、これを完済するのは2060年を超えたあたりとされている。

 ここで無料になるかだが、新しい路線をさらに作れば変わってしまうし、無料にしてしまうと保守管理費が捻出できなくなってしまう。これについては税金などで賄う手もあるので、その時点での判断だろう。

無料化によって発生する問題も

 実際、現状では保守管理代はそれほど負担ではないと言われている。ただ、以前はなかったのに今やいろいろな路線で毎年恒例となった集中工事を見てもわかるように、今後どれぐらい朽ちてくるかわからない面もある。

 諸外国では無料のところもあるじゃないかと思うかもしれない。一番有名なのはアウトバーンで、実際に乗ったことがあるが、バイパスのような感じですぐに乗れるし、あちこちに出入り口があって非常に便利だ。

 ただ、出入り口があちこちにあるのは建設時に作ってしまったためというのがあるし、じつは最近になって無料ではなくなっている。正確には通行料金ではなく税金という形で徴収されていて、燃費や排気量に応じて金額が決まるのはドイツらしいが、以前から保守管理代が負担になっていると言われていただけに、この点を見ても無料は厳しいということがわかる。

 さらに、金勘定ではない面でも無料化は厳しい。2010年前後に休日の通行料金を一律1000円になったときには、当然のことながらドライブや旅行に出かけるクルマが急増して、渋滞量が約2倍になってしまい、毎週末がゴールデンウィークとまで言われたほど。九州のサービスエリアに入ったら、関東のナンバーがズラリ並んでいて驚いた覚えがある。

 日本人は行楽が大好きなので、なにかきっかけがあれば混むのは事実。毎日無料になればそこまで集中はしないかもれしないが、無料化することで発生する大きな問題であるのは確かだ。