堅調! エアバス、 コロナ禍2021年も「納入数目標達成」 活用された「斬新な納入法」
ベストセラー機のA320ファミリー、依然強い!
単通路機の納入が支える
ヨーロッパの航空機メーカ−、エアバスは、2021年度民間航空機部門納入数の目標を達成したと、現地時間2022年1月10日(火)に発表。同社民間機の納入機数は、新型コロナウイルス感染拡大直前、過去最高を記録した2019年度の863機にはまだ及ばないものの、2020年度より約8%増、機数にして45機プラスとなる611機で、納入された航空会社は88社にも上ります。
エアバスの旅客機(画像:エアバス)。
一方、アメリカ・ボーイングの民間航空機部門における2021年納入実績速報値は340機。つまり、エアバスの2021年納入実績は、ライバルに一層差をつけるものだったといえるでしょう。
エアバスにおけるモデル別の納入内訳は以下の通り。おもに客室の通路が一本で、比較的コンパクトな機体サイズの「単通路機」が、昨年度とくらべ一層好調な納入状況であったことがわかります。
・A220(単通路機)ファミリー:50機(昨年度より12機増)
・A320(単通路機)ファミリー:483機(昨年度より37機増)
・A330(複通路機)ファミリー:18機(昨年度より1機減)
・A350(複通路機)ファミリー:55機(昨年度より4機減)
・A380(総2階建て複通路機):5機(昨年度より1機増。2021年度で生産終了)
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また2021年度の納入の約25%は、2020年度に引き続き、コロナ禍で生まれた新しい旅客機の引き渡し方法「e-デリバリー」方式で実施されたといいます。
「e-デリバリー」方式とは? 新規受注も堅調?
e-デリバリー方式は、航空会社の代わりにエアバスが地上でのチェックや、テスト飛行をはじめとする納入前の各種最終チェックを実施したのち、これまで対面で実施していた署名の締結などをオンラインで実施。そのことで航空会社側は、ヨーロッパ現地での立ち会いを極力減らしつつ、旅客機を受領できるというものです。
シンガポール航空のA350Fのイメージ(画像:エアバス)。
一方、エアバスの2021年度における総受注数は771機。2020年度と比較して倍増したとのことで「幅広い市場から需要があり、さまざまな市場を網羅するエアバス製品の強みと市場の回復見込みの高さが証明された」としています。
とくに単通路機の需要は依然底堅い状況が続いているようで、A220は64機、A320ファミリーは661機もの新規受注を獲得しています。ワイドボディ機部門では、A330が30機、A350が16機の受注を獲得。A350は、2021年に本格始動となった貨物型「A350F」も含まれているとのことです。
これにより、エアバスの民間機における受注残は2021年末時点で合計7082機となりました。
エアバスのギヨム・フォーリ CEO(最高経営責任者)は「世界中の航空会社から多くの受注があったことは、新型コロナウイルス感染症の収束後の、航空輸送の持続可能な成長の高い可能性を示しています」とコメントしています。
※一部修正しました(1月14日9時08分)。