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アップルは6月の開発者会議WWDC 2021にて、iCloudの有料オプションを「iCloud+」という名称として、ストレージ以外の付加価値を提供すると発表しています。アップルのサブスクを1つにまとめたApple OneのユーザーもiCloud+の対象となり、同じ恩恵が受けられます。

iCloud+の価格は据え置き(50GBが130円/月、200GBが400円/月、2TBが1300円/月)ながらも多彩な機能が追加され、アップルも改めて公式にアップグレード専用ページを設けたことから注目が集まっている模様です。

では、iCloud+は無料バージョンに加えてどのような機能が「プラス」されるのか。ざっとおさらいしていきましょう。

iCloudプライベートリレー(ベータ版)

このオプションをオンにすると、iPhoneから送出されるトラフィックが暗号化され、2つの異なるインターネットリレー(アップルとサードパーティの2社)経由で送信されるようになります。これにより、Webサイト側からユーザーのIPアドレスと位置情報が見えなくなり、ネットワークプロバイダもブラウズアクティビティを収集できなくなります。

WWDCの基調講演では「VPNとは違う」ことや、よりセキュアかつブラウジング速度が落ちないことが強調されていました。プライバシー保護としては最強の「盾」となりそうな機能ではありますが、ソフトバンクは「動画SNS放題」が適用されない場合があると警告しており、使用の際にはご注意ください。

メールを非公開(Hide my email)

独自のランダムなメールアドレスを生成し、本来のアドレスに転送してもらえる機能です。俗にいう「捨てアド」であり、オンラインのニュースレターに登録したり、よく知らない相手との連絡で使い、要らなくなったらアドレスごと消してしまえばいいわけです。

本サービスはアップル標準メールアプリで管理できます。「Appleでサインイン」との違いは、あちらが特定サービス内に限られるのに対して、こちらはどのようなアプリやサイトでも使えるという点です。

HomeKit セキュアビデオのサポート

HomeKitセキュアビデオ対応のカメラが、プランに応じて1台〜無制限の台数まで見ることができ、過去10日分の活動を視聴できます。ビデオコンテンツはiCloudの容量制限には含まれず、他のファイルを圧迫する心配はありません。50 GBのiCloud+プランでは1台、200 GBのiCloud+プランでは最大5台、2 TBのiCloud+プランでは無制限の台数のカメラがサポートされます。

アカウント復旧機能

iCloudデータへのアクセス権限の復旧を、家族や友達にリクエストできるようになります。前もって登録した復旧用連絡先へ2要素認証が飛ぶかっこうであり(復旧の手伝いのみしてもらう)、自分のアカウントそのものにアクセスを許すものではありません。離れた場所に住む家族のサポートにも便利に使えそうです。

デジタル遺産

ユーザー本人が生前に後を託す「データ相続人」を指名し、アクセスの移行を可能にする機能です。WWDCでの発表当時は詳細は明らかにされていませんでしたが、すでにWebでのリクエスト窓口が設けられています。これにより写真ライブラリーなど、その人の生きた証が失われることなく、親しい人々に引き継ぐことが容易となりました。

以上の付加機能は「あれば便利」ということで日常的に必須ではないものの、「何かあったとき」の安心を強めるものであり、

人間に対するAppleCare+とも言えそうです。月々130円から手軽に利用できるため、興味のある方はお試しでサービスに加入し、またiCloudの有料プランを契約済みの人はどれかを使えばデジタル生活が少し豊かになるかもしれません。

Source:Apple