陸上男子110メートル障害で金メダルを獲得したハンスル・パーチメント 【写真:AP】

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五輪で起きていた金メダル選手の秘話、レース直前に会場を間違えたが…

 東京五輪で金メダルを獲得した選手を巡る奇跡的な秘話があった。陸上男子110メートル障害を制したのは、31歳のハンスル・パーチメント(ジャマイカ)。実は準決勝ではバスを間違えて競泳会場に行ってしまったが、日本人スタッフのおかげでレースに間に合ったという珍事があったという。自身のインスタグラムで“恩人”に感謝を伝える動画を公開すると、海外ファンから「美しい行動だね」「とても心温まる話だ」と反響を集めている。

 まさかのミスを犯したのは、4日の準決勝直前だった。選手村を出発したパーチメントは「音楽を聴いていたため、何も聞こえなかった」とバスを間違えたことに気づかず。到着したのは、陸上が行われる国立競技場とは反対方向の東京アクアティクスセンターだった。準決勝は午前11時17分開始。「選手村に戻って、正しいバスに乗ろうとしたらウォーミングアップをする時間がないかも」と考えたという。

 救世主となったのは、日本人の女性スタッフ。なんとタクシー代をくれたおかげで国立競技場にたどり着くことができた。「おかげさまで、ウォーミングアップをする十分な時間をつくることができた」と準決勝を組2着で突破。さらに5日の決勝は13秒04で金メダルを獲得した。

 インスタグラムに動画を公開し、一部始終を説明。「彼女を見つけて金メダルを見せるつもりだ」と、日を改めて再び競泳会場を訪れた。「俺のこと覚えている?」。女性に話しかけ、「見せたいものがあるんだ」と取り出したのは金メダル。「勝ったんだ。あなたが助けてくれたから。シャツもプレゼントするよ。サイズが合えば良いんだけど。そしてお金も返すよ」と感謝を伝え、2ショットを撮影した。

 この投稿には、海外ファンも「涙が止まらない」「美しい行動だね」「金メダルの裏にこんなストーリーがあったんだ」「神様は見ていたんだね」「とても心温まる話だ」「感動した」と称賛の声が殺到している。

 ジャマイカ紙「ザ・グリーナー」は公式ツイッターで「親切なボランティアに出会い、正しい場所を教えてもらった」などと報道。もし、彼女の助けがなければ結果は大きく変わっていたかもしれない。金メダリストの運命を変えた出来事だった。(THE ANSWER編集部)