バイトダンス(字節跳動)の張一鳴最高経営責任者(CEO、左)とアップルのティム・クックCEO。中国・北京のバイトダンス本社で。Imaginechina 提供(2018年10月11日撮影)。(c)Bytedance / Imaginechina / Imaginechina via AFP

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【AFP=時事】十代の間で動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」ブームを巻き起こした中国人富豪の張一鳴(Zhang Yiming)氏(37)はITの第一人者で、若い世代のトレンドを見極めて同アプリを世界的に大ヒットさせた。だが同氏の独創性は、ティックトックの運営企業を収益性の高い米市場で生き残らせるには十分ではないようだ。

 張氏は、世界に対してティックトックは安全保障上、何の問題もないアプリだと保証しようと努めながら、同時に、自国内では欧米諸国の要求に屈しているわけではないことをアピールして自らのイメージを守るという多大な圧力を受けている。

 同氏のスタートアップ企業、バイトダンス(ByteDance、字節跳動)がリリースしたティックトックのフィードには、髪染めのコツからダンスのステップ、日常の面白動画など、ありとあらゆる短編動画が万華鏡のように次々に現れる。

 元プログラマーの張氏はバイトダンスによってIT業界の多くの大物を追い越し、一躍、中国の最富裕層に仲間入りした。

 東京を拠点とする「秋田みちのくキャピタル(Akita Michinoku Capital)」のアナリストによると、バイトダンスは2019年の収益を前年の約74億ドル(約7800億円)から2倍以上に増やし、グーグル(Google)の親会社アルファベット(Alphabet)やフェイスブック(Facebook)に「太刀打ちできる競争相手」となった。

 国内外で一連の買収が続いたが、バイトダンスの飛躍のきっかけはティックトックだ。3年前にリリースされた同アプリはこれまでに世界で20億回以上ダウンロードされている。海外市場の二大トップシェアを占めていたのはインドと米国だ。

 バイトダンスは今や30か国で6万人以上の従業員を擁し、張氏は3月、さらに約4万人の増員計画を発表した。中国の電子商取引大手アリババ(Alibaba、阿里巴巴)の雇用数に迫る勢いだ。同社はさらに6日、欧州ユーザー向けでは初となるデータセンターをアイルランドに開設する計画を発表した。

■インドという巨大市場を失った次はトランプ大統領の標的に

 だがティックトックは今年になって、中国の対外関係が悪化したあおりを受け、快進撃に水を差された。

 インド政府は、国内北東部の国境地帯で同国軍と中国軍の間で死者を出す衝突が起きた後にティックトックの使用を禁止。バイトダンスはインドという巨大な市場を失った。さらに、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)と同じく、中国の情報機関にユーザー情報の共有を強要されている可能性があるとの懸念から、厳しい視線を注がれるようにもなった。

 バイトダンスは、中国政府にユーザー情報を提供したことは一切なく、たとえ依頼されても提供はしないと主張。だがドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は今月、ティックトックの米運営会社を6週間以内に米企業に売却しない限り、ティックトックの運営を停止すると発表した。

 こうした事態が他国でのティックトック事業にどのような影響を及ぼすのかは不明だ。だが米政府は、他国に強要してファーウェイと第5世代(5G)移動通信網を拒絶させることにおおむね成功している。

 張氏はたとえティックトックの売却に合意して巨額の富を手に入れたとしても、中国での批判は必至だ。国内の一部のナショナリストからは、もし張氏が売却に応じるなら、バイトダンスをボイコットしようとの呼び掛けが始まっている。

 米ペンシルベニア州にあるバックネル大学(Bucknell University)国際関係学部長のジクン・シュ(Zhiqun Zhu)教授は、「バイトダンスにとって難題なのは、その成長が米中の緊張激化と一致していることだ」と指摘する。「米中の技術競争の犠牲者になっている」

 米マイクロソフト(Microsoft)が、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにおけるティックトック事業の買収候補として浮上しているが、見通しはまだ立たない。

 いずれにせよ、ティックトックの運営企業はおとなしく引き下がるつもりはない。先週、「グローバル企業化」を改めて打ち出し、米国以外に本社を移転する計画を発表したばかりだ。

【翻訳編集】AFPBB News

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