日産新型「アリア」先行発表 ライバルはマツダ「MX-30」 電気SUV同士を比較!
アリアとMX-30、国産電気SUVの違いとは
2020年7月15日、日産は同社初の電気SUVとなる新型「アリア」を発表しました。一方マツダは、先行して同じ電気SUVとなる「MX-30」を欧州では先行予約を開始しています。おなじ電気自動車のEVですが、両車にはどのような違いがあるのでしょうか。
アリアとMX-30は、ともに東京モーターショー2019にて世界初公開されました。電気自動車、SUV、国産自動車メーカー、グローバルモデルなど共通点の多い両車です。
【画像】アリア&MX-30を比較! 実車を写真で見る(53枚)
新型アリアは、日産がこれまで「リーフ」などで培ってきた電気自動車のノウハウに、最新のコネクティッド技術を組み合わせたモデルとして登場しました。
プラットフォームには、新開発のEV専用プラットフォームを採用。バッテリーを車体中央に配置し、低重心かつ前後の重量配分バランスに優れた設計となっています。
電気自動車の宿命だった航続距離についても、高速巡航時の消費電力を低減した新開発のモーターを搭載することで、新型アリアは十分な距離を確保しました。
アリアの展開グレードは、2WDの「65kWhバッテリー搭載モデル」「90kWhバッテリー搭載モデル」。4WDの「e-4ORCE 65kWhバッテリー搭載モデル」「e-4ORCE 90kWhバッテリー搭載モデル」を設定しています。
そのなかで、もっとも航続距離の長い2WDの90kWhバッテリー搭載モデルでは、最大610km(WLTCモード、社内測定値)を実現しており、長距離移動でも余裕のあるドライブを実現。
さらに、もっとも高性能なe-4ORCE 90kWhバッテリー搭載モデルでは、最大システム出力290kW(約394馬力)、最大トルク600Nm、最高速度は200km/hとなり、0-100km/h加速のタイムは5.1秒を記録しています(社内測定値)。
アリアは、最大130kWの急速充電に対応し、水冷式のバッテリー温度調整システムを搭載することにより、30分の急速充電で最大375km分の充電が可能なほか、アクセルペダルの踏み加減で減速までコントロールできる「e-Pedal」をリーフから引き続き搭載。
また、日産のスーパースポーツ「GT-R」などで蓄積したノウハウを取り入れた4WDシステム「e-4ORCE」は、前後2基の電気モーターを制御することでトルクを個別にコントロールすることが可能。滑りやすい路面での高い駆動力を確保するだけでなく、減速時に前後モーターの回生量を調整することで、ブレーキ時にクルマの揺れを抑える制御も可能としています。
※ ※ ※
一方のMX-30は、マツダ新世代商品の第3弾となるモデルで、マツダとしては初となる量産ピュアEVです。
デザインは、マツダの「魂動(こどう)ーSOUL of MOTION」のもと、さらに芸術性を高めるとともに表現に広がりを持たせることに挑戦。
美しい造形とこだわりの造りこみを基礎としながら、将来に向けた価値観の変化や新しいライフスタイルに寄り添うことを目指したといいます。
デザインで目をひくのは、同社「RX-8」のような後席ドアが観音開きになる「フリースタイルドア」を採用している点で、前席ドアは前方に82度開き、後席ドアは80度まで後方に開くことで、開放的で広々とした室内空間を実現しました。
パワートレインには、マツダらしくEVでも変わることのない「人馬一体による走りの歓び」を追求し、新たに電動化技術「e-SKYACTIV」を採用。意のままの操作感となめらかな車両挙動を高次元に融合させ、ドライバーが自然に運転を楽しむことができる走りを実現したといいます。
e- SKYACTIVは、AC同期電動モーターと35.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。欧州仕様は最大システム出力105kW(143馬力)、最大トルク265Nmの前輪駆動で、最高速度は140km/hとなります。
消費電力は19KWh/100km(WLTPを組み合わせ)で、MX-30の航続距離は200km。ブレーキペダルを使用したときには、回生システムによって効率的に電力を回収する仕組みです。
ボディサイズや快適機能ではどうちがう?
アリアのボディサイズは全長4595mm×全幅1850mm×全高1655mm、ホイールベースは2775mm。外観デザインは、エンジンルームの冷却が不要な電気自動車の特徴を活かし、フロントグリルにあたる部分は日本の伝統的な組子パターンが立体的にデザインされたシールド(パネル)が組み込まれています。
内装ではダッシュボードに従来のような物理的なスイッチはなく、クルマの電源を入れることでアイコンが浮かびあがります。スイッチは運転中でも操作感が伝わるように振動するハプティクススイッチが採用されました。
電気自動車はもともと騒音が少ないですが、新型アリアでは多くの遮音材を使用することで、高い静粛性を実現。荷室容量は2WD車が466リッター、4WD車が408リッターです。
アリアには、先進的なパーソナルアシスタント技術も導入されました。「ハローニッサン」と呼びかけることでドライバーの操作をサポート。空調やカーナビを音声操作することが可能です。
また、アマゾンの音声サービス「アレクサ」も搭載され、音楽の再生や天気予報の確認、家族や友人との通話などが可能。ふたつの音声サービスが搭載されることで、車内外でユーザーにシームレスな体験を提供します。
さらに、新型アリアはニッサンとしてはじめてリモート・ソフトウェア・アップデートと呼ばれる、無線でクルマのソフトウェアをアップデートする機能が搭載。
また、2019年に「スカイライン」をマイナーチェンジした際に話題となった、道路やドライバーの状況に応じてハンズオフ走行を可能とする「プロパイロット2.0」をはじめとした各種先進運転支援技術も搭載されています。
一方、MX-30のボディフレームは、ボディ本体とは異なるダークまたはシルバーのメタリック塗装が施されているほか、ルーフをブラックとすることで重心の低さを強調しています。
ボディサイズ(欧州仕様)は、全長4395mm×全幅2035mm(ドアミラー含む)×全高1555mm、ホイールベースは2655mm、最低地上高は130mmです。
内装では、スタイリッシュで人間工学的に優れたドライバー中心のレイアウトを採用。前席には、シートバックを折り畳むと同時にシート全体を前方にスライドさせるワンタッチウォークインメカニズムが備わり、リアシートへスムーズな出入りが可能となります。
センターコンソールは、ダッシュボードや周囲の内部コンポーネントから独立しており、前席の乗員に追加の収納スペースを提供。また、コンソールには7インチタッチスクリーンエアコンコントロールパネルが組み込まれました。
マツダのインターフェイスの「マツダコネクトシステム」は、Apple CarPlayおよびAndroid Autoを標準サポートし、USB接続を介してスマートフォンと繋げることが可能です。
安全機能は、マツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を採用。また、万が一の事故時には衝突を感知して自動電源遮断システムを搭載しています。
※ ※ ※
両車の販売動向として、アリアはユーザーの実質購入価格を約500万円からと見込んでおり、日本での発売は2021年中頃を予定です。
MX-30は欧州で予約注文が開始され、ドイツでの車両価格は3万3490ユーロ(日本円で約395万円)から。日本での販売は早くても2021年後半から2022年になるのではないかといわれています。
海外のEV市場では、テスラをはじめ、メルセデス・ベンツやアウディ、ジャガー、ミニ、ヒュンダイなどのライバルが存在。現在の日本のEVでは、テスラとリーフが中心ですが、アリアやMX-30、ホンダ「Honda e」が登場することで、一気にEV化が加速するかもしれません。