木村拓哉『BG』に浜崎あゆみ『M』も、ドラマ現場の厳格ガイドラインとSNS監視
5月25日、政府が緊急事態宣言を全面解除したのを受け、休止していたドラマなどの撮影が6月に入って順次再開されている。
【写真】フェイスシールドに距離感、異様な光景のドラマ『M』ロケ現場
「多くのスタッフ、出演者が関わるドラマはクラスターになってはいけないと、各局がかなり細かい制作ガイドラインを作成していますね」(芸能プロ関係者)
特に『報道ステーション』の富川悠太アナウンサーや『魔進戦隊キラメイジャー』主演の小宮璃央など、番組関係者から複数の感染者が出てしまったテレビ朝日は他局以上に厳しいルールが設けられているようだ。同局の制作マニュアルによると、
《少しでも安全性が損なわれた撮影を行った場合、すぐにSNSなどで広まってしまい社会的な責任を問われる事態になります。一般視聴者からの視線を常に意識し、決して無理のない撮影を行うということを心がけてください》
《キャスト・エキストラを含めて1度に20名を超えるシーンの撮影は当面禁止する》
《メイク1名につき1日あたり担当するキャストは3名程度にする。極力キャスト毎に別々のものを使用すること》
など、具体的な人数を明記し、感染防止を優先することが記されていた。
『M』ロケ現場の奇妙な光景
そんなガイドラインを裏づけるように、6月3日に品川駅前の広場で行われていた同局で放送中のドラマ『M 愛すべき人がいて』の野外ロケでは、厳戒態勢の中で撮影が進められていた。
「リハーサル中は出演者全員がフェイスシールド着用で行っていたのが印象的でした。また交通整理の担当者を含めて、スタッフは全員マスク姿。ヘアメイクさんも出演者に触れたあとは毎回アルコール消毒する徹底ぶりでした」(目撃した飲食店スタッフ)
感染防止のためとはいえ、キャストも戸惑いは隠しきれないようだ。『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)で主演を務める木村拓哉もインスタグラムで、フェイスシールド姿の写真とともに、
《これが当たり前!! そう自分に言い聞かせて、作業しています……》
と投稿。新しい撮影様式に苦戦している様子がうかがえる。
SNSにも気を張る時代
慣れないのは、出演者だけでなくスタッフも同じ。彼らはキャスト以上に頭を抱えているようで、
「ガイドラインにも記されているように、今はSNSで情報が拡散する時代。撮影で使用したロケ先でクラスターが発生したとなると、大問題に発展します。そのため極力、局内や局が持っているスタジオで撮影をするように言われているのですが……。セットで撮影するのも限界があるのに、ロケ場所が確保できないため、みんな頭を抱えています」(ドラマ制作スタッフ)
例えば、これまでなら実在するカフェなどで行っていた食事のシーンは、セットを作ったり局の食堂などで対応しているという。
「換気の観点から密室になるセットは基本禁止になるなど、撮影できるアングルも限られてきます。年内はこのガイドラインに沿っての撮影になる見込みのため、“この場所、ほかの作品でも見たな……”ということが増えるかもしれません(苦笑)」(キー局ディレクター)
エキストラの応募者も減少
無償で参加するボランティアエキストラにも厳しい条件が加えられたため、エキストラ集めにも苦戦している。
「参加者は毎日、朝・昼・夜に検温し1週間の検温結果を提出するのが条件の作品もあります。感染者が出た場合の感染ルートを把握するという理由で、同じ現場にいた人とは連絡先を交換するように言われるし、現場では私語厳禁。ノーギャラでここまでやらなきゃいけないのかと、応募者が減っているとか。後ろにいるエキストラも同じ顔ぶれになりそうですね」(エキストラに参加した女性)
そんな厳しい条件でも、多くのドラマは短縮することなく、予定どおり進められる方向だと、前出の芸能プロ関係者は教えてくれた。
「本物の病院でロケが難しいためお蔵入りになるかと思われた、石原さとみさん主演の『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』も話数を減らすことなく進めると聞いています。薬剤師が主人公ということもあり、撮影場所が限られていることが功を奏したとか。『M 愛すべき人がいて』は、もともと全7話と少なく設定されているうえ、もし地上波で放送できなくなっても、共同制作であるネットテレビの『ABEMA』で放送できますからね」
厳しい条件の中でもあっと驚くアイデアや演技で、視聴者を楽しませてくれることに期待したい。