アユ役の安斉かれんとプロデューサー・マサ役の三浦翔平

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 浜崎あゆみの自伝的小説が原作のテレビ朝日×ABEMA初の共同制作ドラマ『M 愛すべき人がいて』。そのぶっ飛んだストーリーは中毒性が高いと今期ナンバーワンの話題を集めているが、ストーリー以外の違和感にツッコむ声も。

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《(第2話の)ニューヨークシーンのロケ先がどう考えても汐留のエリアなんですよね。わざとニューヨークじゃない感じのダサい設定にしている》

 東野幸治は、YouTubeで配信中の『東野幸治の幻ラジオ』の第28回放送でこう指摘。SNSでも、

≪NYという設定なのにロケ地が明らかに汐留なのも最高》

 といったツッコミツイートがいくつか見られた。そこで『M』の時代考証にまつわるツッコミポイントを調べてみると――。まず第1話からマサ(三浦翔平)のオフィスに登場している初代iMac。

「スケルトンのデザインが近未来的でオシャレだと人気を集めた初代iMacこと『iMac G3』が発売されたのは'98年8月。浜崎さんが歌手デビューした4か月後なので、彼女がデビューする前にオフィスにあるのは、本来おかしいですね」(ITライター)

 アユ(安斉かれん)の自宅にあるテーブルコンロを見逃さないマニアも!

「SNSでは、《Siセンサー搭載のコンロは当時発売していない》というツッコミツイートがバズっていました。Siセンサーとはバーナーで温度を感知して、ガスを自動的にストップさせる安全機能です。'08年4月製造分からすべての国内メーカーで搭載され、同年10月からSiセンサーがついていないコンロは販売が禁止になるなど法制化されています。ただ普通の視聴者ならまったく気にならない部分ですよね(笑)」(ネットニュース編集者)

 アユがもともと所属していた中谷プロ社長の中谷(高橋克典)と、アユが車の後部座席で会話するシーンで2人ともシートベルトをしていたが、少し違和感が。

「後部座席のシートベルト着用が義務化されたのは、道路交通法第71条の3が改正された'08年6月なので、このころはしなくても大丈夫な時代でした。コンプライアンスに関しては、現在のものが反映されていましたね」(一般紙記者)

 アユが使用している携帯も、‘96年ごろにはなかったモデルのような……。

「‘01年放送のテレ朝系『百獣戦隊ガオレンジャー』で同じモデルが登場していたのが確認されているので、'90年代後半から'00年代に発売されたものでしょうね。'00年には当時CMキャラクターを務めていたツーカーから、ヒョウ柄がインパクト大だった浜崎あゆみデザインモデルの『A MODEL』を発売しています。同じ時期の携帯を使用するのであれば、それを出すぐらいのツッコミポイントにしてほしかったですね(笑)」(前出・ネットニュース編集者)

もはやツッコミ待ちとしか思えない

 東野が指摘していたように、第2話でニューヨークのシーンとして登場したロケ地は、東京にある汐留イタリア街だという。

「外国の設定で国内ロケをすることはほかの作品でもありますが、ニューヨークの設定でイタリア街を使うのはツッコミ待ちとしか思えません(笑)。アユがジョギングしていたのは、日の出桟橋でしょう。風船を渡すシーンで使用された教会は千葉県香取市にある聖フランシスコ教会。よくロケ地に使用される教会で、最近の作品だとTBS系の『4分間のマリーゴールド』などで使われています」(テレビ誌編集者)

 ストーリー以外にも、ツッコミどころが満載の『M』。しかしエンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは、時代考証が甘いのはこの作品に限ったことではないと指摘する。 

「同じ'90年代が舞台で、広瀬すずさんらがコギャル役を演じた'18年公開の映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』も時代考証がめちゃくちゃだと、'90年代のカルチャー好きからさんざん指摘されました。でも『SUNNY』のようなフィクション作品だと、そもそも作られた世界観なので、時代考証が雑でも気にならないという人も多い。一方で『M』の場合は、浜崎あゆみさんの自伝的小説が原作になっているので、同じ時代を生きてきた人は時代考証の甘さがより気になるのかもしれませんね」

 また、ツッコミツイートの多さは、“SNS時代だからこそ話題になった『M』の楽しみ方”と分析する。 

「強烈なキャラクターが多かったり、昭和のドラマのような古くさい演出を多用していたり……と、劇中の違和感をSNSやLINEなどで誰かとツッコんだり、実況しながら盛り上がるタイプの作品ですよね。ニューヨークに行ったことがない人でも、あのシーンに違和感を感じた人は多かったはず。その違和感の理由が、ロケ地が汐留とわかるとモヤモヤが解消され、スッキリ感が得られる。そんな謎解き的な感じで、ツッコミポイントを探していた結果、“当時、このモデルの携帯は発売されてなかった!”といった細かい間違いにたどり着く人も多いのでしょう」(大塚さん) 

 そんな部分も含めて、2度3度楽しめるドラマだと大塚さんは続ける。 

「1回目は単純にそのぶっ飛んだストーリーを楽しみ、2回目は劇中の設定の雑さを探し出す。3回目はその答え合わせをする……というふうに、見るたびに違った楽しみ方ができる作品だと思います」 

 これから見る人、見返す人はそんな細かすぎるツッコミポイントもチェックしてみては?