【耐えられない!】クルマのダッシュボードがベタベタに 本当にアルコールで綺麗に? 試してみた
新車10年ちょっと ダッシュボードがベタベタにtext:Kumiko Kato(加藤久美子)
筆者のクルマは1998年型のアルファ・ロメオ・スパイダーである。2019年12月現在の走行距離は26万2000km。今年7月、10回目の車検をユーザー車検で通した。
ちょっと古い欧州車に起こりがちなダッシュボードのベタベタ症状が筆者のクルマにも出てきたのは2010年頃だったと思う。
エアコンやオーディオのスイッチ類がある部分が、外枠を含めて全体がベタベタしてきたのだ。
ウェットティッシュやお掃除シートのようなもので拭いてみたが、まったく変化なしというよりさらに悪化した。シートの繊維がベタベタにくっついて汚さも倍増した。
クルマの内装を綺麗にする専用洗剤を使ってみたりもしたが、まったく効果がなかった。
一体このベタベタの原因は何なのだろう。
当時お世話になっていた整備工場に相談してみたところ「これはゴム塗料の被膜が溶けだしたものなので、普通に掃除しても取れないですね」という。
「80〜90年代の欧州車によくある症状です。(業者が行う)清掃や補修できれいになる場合もあるようですが、確実ではないそうです」
「ベタベタの部分を丸ごと交換するのが安心かもしれないですね。その場合は新品で3万円位、中古パーツがあれば2万円でできるそうですよ」
整備工場のスタッフが内装クリーニングの専門業者に聞いた答えがこれだった。
専門業者がやっても清掃や補修では完璧な結果が望まれないとは。まるごと交換で3万円は高い……。
そして月日は流れ……
その後ベタベタ症状は悪化して、布製のカップホルダーにも黒い汚れ(?)が付くようになった。
ベタベタの上にホコリが積み重なっている状態で見た目にもかなり汚い。
少し値段が高いが、無水(水を加えていない。アルコール分99.5%)アルコールがベスト。さらに、溶けだした塗料(?)のようなものが手につく状態に……。
やはり交換するしかないのか、と思っていた時に、イタリア車に乗る友人が、「ベタベタは無水エタノールできれいになるよ!」と教えてくれた。
ドラッグストアなどで売っている、無水エタノールがベストらしい。
エタノールには、加水(「消毒用」と書いてあることも。アルコール分80%以下)と無水(水を加えていない。アルコール分99.5%)アルコールがある。
友人いわく、「加水は効果が落ちるし汚れが取れないこともあるので、少し値段が高いけど無水がベスト。濃度が高い方がいい」とのことだった。
そういえばうちに昔100円ショップで買った消毒用アルコールがあったはず。無水よりは濃度が落ちるけど、まずはこれで試してみるか。
そして、見つけ出した(多分10年くらい前に購入)消毒用エタノールを、車内を消毒するついでにティッシュペーパーに少し垂らして、恐る恐る、目立たない場所でベタベタを拭いてみた。
すると……。
長年の悩みがエタノールで解決!
ティッシュに黒い汚れ?(ゴム塗料の被膜?)がついてきた。
拭いた部分は、きれいになっている。触るとベタベタはなくなり、サラサラしている!
無水エタノールで拭いた部分は、触るとベタベタはなくなり、サラサラしている。ほんとにベタベタが落ちた!
他の部分も夢中になってティッシュで拭きまくってみたところ、15分程度ですべて綺麗になった。エタノールでベタベタが落ちるとは、本当だったのだ。
拭いて綺麗になった樹脂の表面は、白っぽくなったりムラになったりすることなく、まるで新車時のようにきれいになっていた。
長年(3年くらい)の悩みが100円の消毒用エタノールとティッシュを使って、わずか15分で解決した。
その後も「汚れたらまたアルコールで拭けばいい」という気軽な気持ちでいたのだが、あれから6年……。
クルマにはほぼ毎日乗っているが、実際、その後ベタベタが再発することもなかったので、6年以上アルコールの出番はなかった。
ホコリが溜まってきたらお掃除シートかウェットティッシュで軽く拭き取る程度だ。表面がさらさらしているので、ホコリもつかない感じ。
なお、純度ほぼ100%の無水アルコールの方が効果が高いと言われたが、筆者が使った濃度80%前後の「消毒用」アルコールでも十分綺麗になった。むしろ「落とし過ぎない」ジャストな濃度なのかも?
さらに、無水エタノールは、濃度の高さから一瞬で蒸発し、また手荒れなどの原因ともなるので、80%前後の消毒用の方がクルマにも手にも優しく、作業もしやすいかもしれない。
専門業者からの回答/ブログ体験談まとめ
ダッシュボードのベタベタ除去に関して、車内クリーニングや内装の補修を行う業者3社に聞いてみた。
エタノールを使って綺麗になるのかどうか?
回答が来た2社のコメントをまとめると以下。
・エタノールでベタベタが落ちる場合もあるが、業者が行う場合はその後、塗装をする。
・ダッシュボードの場所によって、また車種によって使われる素材が異なるので、すべてがアルコールで除去できるとは限らない。また濃度の見極めに注意が必要。
・清掃→再塗装の費用は2〜3万円。
「ダッシュボードのベタベタ除去とエタノール」について書いているブログなどを探してみると、結構な数がヒットした。
欧州車だけではなく、国産車でも同様の症状があるようだ。国産車はトヨタ・アルテッツァがダントツで、しかも後期型に集中していた。
中には「アルコールジェルでもきれいになった」というブログもあった。
ベタベタ除去に挑戦される方は以下の点に注意してほしい。
・汚れ落ちは無水アルコールの方が良いが、塗装まで完全に剥がしてしまう危険もある
・樹脂の素材によってはベタベタ除去のあとアーマオールなどの保護剤を塗布すべし
・ジェルタイプのアルコールでもきれいになるが、濃度が低いタイプがあるので、濃度80%前後を必ず確認のこと
家にエタノールがある場合、車内を消毒するついでに、DIYで試してみるのはいかがでしょう。