実録、職場のタバコ部屋 「あいつは私のおもちゃ」裏話に沸く一方、「すぐ戻ってこい!」呼び出し電話も
オフィスのタバコ部屋はサボリの楽園なのか、それともくたびれたオフィスワーカーたちが愚痴をこぼしあう場なのか、そんなことが知りたくて、非喫煙者であるにもかかわらず、あるオフィスビルの喫煙所に午後2時から1時間ほど身を置いてみた。(ライター・平塚太陽)
●「あの人はもともとヤンキーだったらしい」「あいつは私のおもちゃになってるから」。デキる先輩社員風の女性が、同僚の男性に対して、そんな言葉をこぼしているのが聞こえてきた。どうやら、後輩の男性社員をいじるのを楽しんでいて、誰かに話したくて仕方ないらしい。他にも恋愛話が次から次へと出てきた。2人は20分ぐらい会話を楽しんだ後、喫煙所をあとにした。
他の人たちの会話にも耳を傾けていると、「あの人はもともとヤンキーだったらしい」など、気になることが聞こえてくる。
全部で70人ほどが出入りした。ほとんどの人は2、3分で喫煙して、慌ただしく出ていく。1時間の滞在中、「お前どこにいるんだ!」という電話がかかっている光景を二度も目にした。
そんな中、唯一、30分もいた男性が1人だけいた。途中で喫煙も終わり、ひたすらタブレットをみてダラダラ過ごしている。「これぐらい緩くてもいいんだよね」とどこかホッとした反面、彼の立場が心配になってしまった。
こんな喫煙所の様子をどう考えればいいのだろうか。上林佑弁護士に聞いた。
●行動が目に余るような場合、職務専念義務違反もタバコ休憩は、休憩時間としてみなされるのか。
「休憩時間』とは、労働者が、労働から離れることを『権利として保障されている時間』を意味しており、その他の拘束時間は、労働時間として取り扱うこととされています。
タバコ休憩については、労働者が一服から戻ってくるまでは、特に業務上の指示等を受けることがなく、労働からの解放が保障されている場合、『休憩時間』に該当すると評価し得ます」
今回のウォッチでは、ほとんどの人が2、3分で出て行ったが、問題はないのか。
「会社がこのような細切れの時間を休憩時間であると考え、労働時間の管理を行うことは、大変な手間となります。そのため、現実にはこのような労働時間の管理は、多くの場合行われていないものと考えられます。
ただ、喫煙するために無断で職場を離れることが多いとか、職場に戻ってくるように上司から電話がかかってきているにも関わらず職場に戻らないといった場合など、その行動が目に余るような場合には、職務専念義務違反を問われるでしょう。会社から注意・指導がなされたり、懲戒処分を受ける可能性もあります」
【取材協力弁護士】
上林 佑(かみばやし・ゆう)弁護士
仙台弁護士会所属。労働問題を中心に、その他企業法務一般、交通事故、知的財産権等、広く取り扱っている。
事務所名:三島法律事務所