「声」の文化館として再活用する方針の旧花蓮港放送局

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(花蓮 30日 中央社)日本統治時代末期に東部・花蓮で放送が開始されたラジオ局を「声」の文化館として再活用する計画が進められている。当時から現在まで、台湾のラジオの変遷を見守ってきた同局。周辺にはこの他にも日本統治時代の施設が複数残されており、花蓮県文化局文化資産科の黄用斌科長は、周辺一帯に発展ももたらせればと地域活性化に期待を寄せる。

日本統治下の台湾で放送事業を運営した台湾放送協会は1944(昭和19)年、花蓮港放送局を設立、放送を開始した。戦後は中華民国政府に接収され、放送施設と送信設備は中央広播事業管理処(現・中広)に引き継がれた。

日本統治時代から残る同建物は、れんがと木材を使用した平屋建てで、2015年に同県文化局により歴史建築に指定された。2017年、ラジオ局の機能が別の場所に移され、建物は文化局の所有に。文化資産として活用しようと調査などが行われており、26日に初の説明会が開かれた。

黄科長によれば、電波塔や収録設備のほか、ミニディスク(MD)やテレビ・ラジオ賞「ゴールデン・ベル・アワード」(金鐘奨)の歴代トロフィー、メダルなどが保存されている。同局は「山と海の間に響き渡る、母語の声の記憶」をコンセプトに、「声の芸術文化館」として整備する考えを示している。来年、全エリアの修復が開始され、同年末には完了する見通し。

付近には1921(大正10)年竣工の米崙淨水場を活性化させた文化エリア「美崙自来水園区」や対船舶通信を行った海岸局(現・中華電信)、1942(昭和17)年に建てられた軍事施設、兵事部(現・松園別館)などがあり、観光地としての潜在価値が期待されている。

(李先鳳/編集:楊千慧)