スマホアプリで好きな料理を選んで注文すれば、すぐに自分のもとに届けてくれる便利なデリバリーサービス「UberEats(ウーバーイーツ)」。使ったことはないけれど、街中で派手な緑色のバッグを見かけたことがある人もいるのではないでしょうか?

しかし、ウーバーイーツで実際に働いている配達員の人はレストランに料理を受け取りに行ったり、それをお客さんのもとへキレイな状態で届けたりと、何だか大変そう…。

とてもじゃないけれど楽な仕事には見えないし、彼らは果たして労働に見合った給料はもらえているのか…!?

そこで今回は、ウーバーイーツが日本に上陸してから今までの2年間、ずっと配達員をやっているというベテラン配達員さんに実際の給料事情や、配達員に登録して仕事をするまでの流れ、配達トラブルへの対処法について聞いてきました。

ウーバーイーツで稼いでみたい方、必見です!

〈聞き手:いしかわゆき(新R25編集部)〉

ウーバーイーツ配達員は意外に稼げる!?

あらためてウーバーイーツとは、配車サービス「Uber」を展開する、アメリカのウーバーテクノロジーズが運営する料理宅配サービス。

日本では2016年9月にサービスを開始し、約2年間で配達可能エリアは全国10都市、提携店舗は4000以上にまで拡大。それに伴って配達員も大幅に増え、オフィスでのランチやホームパーティーなどさまざまな場面で利用されています。

尾崎さん:
こんにちは!今日はよろしくお願いいたします。


今回取材をさせていただいた、ベテラン配達員の尾崎さん。かぶっている”Uberニット帽”は優秀な配達員に贈られるそうです。 ※ニット帽を見せる都合上、ヘルメットを取り静止状態で撮影しております。

いしかわ:
あれ、バッグの色が緑じゃない!?



尾崎さん:
はい、実はウーバーイーツが始まった当初はバッグの色は緑ではなく、グレーだったんですよ。僕はウーバーイーツが日本に上陸した1週間後に登録したので(笑)。

いしかわ:
大ベテランの証じゃないですか…

尾崎さんはどうしてウーバーイーツの配達員を始めたんですか?

尾崎さん:
もともとはテレビの制作会社でADをやっていたんですけど、会社が潰れてしまいまして。

それで、何か新しい仕事を始めようと資格の勉強をしていたとき、たまたまインターネットの広告を見て登録してみたんですよ。

いしかわ:
へぇ、未経験でもできるものなんですね。

尾崎さん:
はい。18歳以上で、自転車などの乗り物とスマホさえ持っていれば、誰でも始められます。

自転車を持っていなければ、自転車シェアリングサービスを利用するのも手です。大体300円くらいで借りられますし。

いしかわ:
でも、バイトをするのに300円かけるのって、ちょっともったいなくないですか…?

尾崎さん:
全然。余裕で元取れます。

誤解されがちですが、僕はウーバーイーツって結構稼げると思うんですよ。


そうなの!?

尾崎さん:
ウーバーイーツはGPSで移動距離を計測し、その距離に見合った分の配達料を支払ってくれる仕組みになっています。

僕の場合は20分で700円くらいは普通に稼いでますね。

いしかわ:
それって単純に時給換算すると…1時間2100円!? めちゃくちゃ割の良いバイトじゃないですか! 私が働いていたカフェは一生懸命働いても時給900円でしたよ。

尾崎さん:
しかも、曜日や時間帯などによってはボーナスが発生する仕組みがあります。

たとえば、お昼だとランチの注文が集中するので「ブースト」といって報酬が増えるんですよ!

いしかわ:
えぇ、じゃあさらなる高収入も夢じゃないってこと!? おいしすぎませんか…

尾崎さん:
あとは、雨の日は配達員が少ないのに対し、注文をしたいお客さんが多いのでインセンティブがついたりもします。

お支払いの仕組み (Uber パートナー向け) | Uber
https://www.uber.com/ja-JP/drive/tokyo/resources/how-does-payment-work/
配達員への支払いの詳細はこちら

いしかわ:
へぇ、なんだかゲームみたいですね。

ウーバーイーツ配達員の最大のメリットは、自由な時間に働けるところ

尾崎さん:
いしかわさんがおっしゃってる通り、僕は「働く」というよりも、ゲーム感覚で楽しみながら稼いでいます。だから長続きしてるんですよ。

いしかわ:
どういうことですか?

尾崎さん:
ウーバーイーツは専用のアプリをオンライン状態にしておくと、通知が来て仕事が入ります。一方でオンライン状態にしなければ仕事は絶対に入ってこない。

だから、やりたいときに集中して働けるんですよ。



尾崎さん:
そんな仕事ってなかなかないですよね? 

いくら休憩を取っても、何日間休んでも誰にも迷惑がかからないし、店長や上司に怒られることもありません。

いしかわ:
たしかに…! 「好きなときだけ働ける仕事」って最高ですね。

尾崎さん:
現在は10都市で対応しているので、働く場所も自由になってきましたしね。時間も場所も縛られないので楽しく働けます。


配達エリア

東京都23区:ほぼ全域/埼玉県さいたま市(大宮区・浦和区・中央区)/千葉県市川市・船橋市:ほぼ全域/神奈川県横浜市(西区・南区中区・保土ヶ谷区・神奈川区・港北区・磯子区・鶴見区)/神奈川県川崎市(中原区・川崎区・幸区・高津区)/大阪府大阪市24区:ほぼ全域/京都府京都市(中京区・下京区・東山区・左京区・北区・右京区・南区)/兵庫県神戸市(中央区・兵庫区・灘区・長田区・須磨区・東灘区)/愛知県名古屋市(中区・中村区・西区・北区・中川区・東区)/福岡県福岡市(博多区・中央区・南区・城南区)

ウーバーイーツの配達員になる方法は?



いしかわ:
ウーバーイーツの配達員って、どうやったらなれるんですか?

尾崎さん:
まず、日本各所で開催される登録説明会に行き、プロフィールなどを登録します。

そのあとに配達アプリの使い方や困ったときのトラブル対処法など、基本的な説明を受けるのですが、そこで配達バッグをもらったらもう、その日の帰り道からでも仕事を始められます。

いしかわ:
えっ、それだけ!?

尾崎さん:
はい、面接などもないし、自転車とスマホさえあればできちゃいます。

借りるバッグについては、登録時に料金を支払う必要はないのですが、4週間かけて給与から8000円が引かれます。そして、配達員を辞めるときにバッグを返すことでお金が返ってくる仕組みなんです。

いしかわ:
なるほど、紛失の対策ということなんでしょうね。

もしなんらかの原因でバッグが壊れてしまったらどうなるんですか?

尾崎さん:
もし壊れてしまっても無料で交換してもらえますよ。だから移動手段さえあれば、追加で道具の費用はかからず、配達員を始めるのは実質タダです。

ウーバーイーツ配達員の仕事の流れ

いしかわ:
ウーバーイーツの配達員はどのような流れで仕事をしていくんですか?

尾崎さん:
だいたいこのような流れになってます。


1. まず、アプリ上でオンライン状態にすると、案件が入ります

2. 自分がいる近辺のお店の情報が表示されるので、そこに行って商品を受け取ります

3. 受け取ったら、次に表示される住所へ届けに行きます

4. 無事に配達を終えると、報酬が発生します

尾崎さん:
お金はお客さんから現金で受け取るのではなく、アプリの中に貯まっていき、週に一度、まとめて自分の口座に振り込まれます。

いしかわ:
なるほど。じゃあそこまで遠いところには呼ばれないんですね。

尾崎さん:
はい。また、そんなに急がなくても届けられる範囲で依頼してくれるので、そこは安心して良いと思います。

配達時のトラブルに関するQ&A

いしかわ:
配達中のトラブル対処法なども、詳しくお聞きしたいです!

Q1: スマホの充電が切れてしまったらどうする?



いしかわ:
アプリでやりとりをするということはスマホが欠かせないと思うんですけど、万が一バッテリーが切れたらどうするんですか?

尾崎さん:
基本的にはそうならないように、予備バッテリーを2つくらい持っておくと安心ですね。

万が一切れてしまった場合は申し訳ないですが、配達員からは対処できません。

お客さんから担当の配達員に電話をかけることができるのですが、それでつながらなかったら、ウーバーへ問い合わせてくれるはずです。その場合は代わりの配達員が届けにいくケースが多いです。

いしかわ:
なるほど。仮にその後バッテリーを買って充電が復活したらどうなるんですか…?

尾崎さん:
しばらく経って充電が復活しても、アプリでほかの人が配達している旨を確認できるので、被ることは防げます。


尾崎さん「配達中、手持ちスマホは危ないのでハンドルに付けられるスマホケースを必ず買いましょう!」

Q2: 大きいバッグのなかで料理がグチャグチャにならないようにするには?

いしかわ:
ウーバーイーツのバッグって大きめじゃないですか。

もし「ジュース1つ」みたいな小さめな注文が来たら、バッグの中で倒れてしまいそうな気がするのですがどうしてるんですか?


バッグの中身。仕切りも意外と大きめサイズ

尾崎さん:
そうですね。たしかにデフォルトのままだとこぼれてしまうこともあると思います。

なので、新品のタオルを買って敷き詰めたり、仕切りボックスを用意して固定したりしています。

いしかわ:
なるほど。バッグもカスタムしながら使ってるんですね。

飲食店のバイトもお皿の持ち方などを工夫したりしますし、そういったところはどんな仕事でも同じなんですね…!

Q3:配達依頼が来ないことってある?

いしかわ:
「仕事がしたい!」とオンライン状態にしても、配達依頼が来ないことってあるんですか?

尾崎さん:
僕が始めた当初は、ユーザーが少なかったので、そういったこともありましたね。だから配達をしていくなかで「こうやってまわれば稼げる」といった戦略を立ててやっていました。

ただ、今は需要が高まっていて、基本的に配達依頼は途切れず来ます。誰でも稼げるチャンスだと思いますよ!


聞きましたか、みなさん!

Q4:ウーバーイーツの営業時間は何時まで? 深夜も働けるの?

いしかわ:
先ほど「好きなときに好きな時間だけ働ける」と言っていましたが、営業時間は決まってるんですか?

尾崎さん:
今は朝の9時から夜の24時まで働けます。基本的にはレストランが閉店したらおしまいですね。需要と供給が一致すれば、今後営業時間が拡大する可能性は大いにあると思います。

いしかわ:
なるほど。仮にめちゃくちゃ稼ぎたいとして、9時から24時まで15時間あるじゃないですか。さすがにぶっ通しで働いたら事故やミスなどのリスクも出てきそうですよね。

尾崎さん:
実は、アプリには12時間以上働くと自動的にオフラインになり、その後は6時間オンラインにできない機能が付いているんですよ。

無茶をして長時間働く配達員が出ないように配慮されています。

いしかわ:
そうなんですね。よくできた仕組みだなぁ…!

Q5: 変なお客さんに当たってトラブルになることはないの?

いしかわ:
いろんな場所に運ぶということは、変なお客さんに当たってしまうこともあるのでは?

尾崎さん:
僕の経験ではウーバーイーツの客層はセレブが多い印象です。


配達先もタワマンが多いそう

尾崎さん:
だから、そこまで変なお客さんにはお会いしたことはないですね。それにアプリ内にある評価制度もトラブル防止に効いてます。

いしかわ:
評価制度?

尾崎さん:
お客さんと配達員が相互に評価できるんです。

たとえば配達者の“バッド評価”が多めになるとウーバー側からコーションがあったり、クレームがあまりにも多いとアカウント停止などの措置が取られます。


“グッド100%”は最高評価の証

いしかわ:
配達員の評価が見られるのは、注文する側としては安心ですね。

尾崎さん:
はい。配達員とお客さん両方にとっての安全性を考慮した仕組みがあるからこそ、安心して働けるというのがありますね。

ウーバーイーツ配達員としての「新しい働き方」を広めていきたい

いしかわ:
ウーバーイーツ配達員の働き方は大分理解できんたですけど、会社での仕事と違って、最初から1人でやるというのは結構勇気がいりそうだなぁ、と感じました。

尾崎さん:
そうなんですよね。実は僕も登録したてのとき、怖くて配達ができなかったんですよ。その経験があったので、今はウーバーイーツの配達員をまとめるグループを運営しています。



尾崎さん:
ウーバーイーツ配達員は自由なところが魅力なんですけど、まだ日本に上陸して間もない「新しい働き方」でもあります。だから、自由なぶん、自分たちで考えて仕組みを作らないといけないと思っています。

現在運営している「ウーバーイーツ配達員グループ」は、Twitterの名前の後に「@UberEats配達員」とつけるだけで、すぐに相互フォロワー同士になれるくらいには浸透してきています。

出典 https://null
尾崎さんのウーバーイーツ専用アカウント

尾崎さん:
配達をするときは1人だけど、このつながりがあることでウーバーイーツ自体をみんなで盛り上げながら動いている感覚ですね。

いしかわ:
なるほど、これは心強いコミュニティですね。

これから『ウーバーイーツ』の配達員として、やっていきたいことはありますか?

尾崎さん:
やっぱり「ウーバーイーツ配達員」という自由な働き方を広めたい、という想いが強いです。

僕自身、ウーバーイーツに登録したきっかけも会社が潰れたからですし、そうやって会社に振り回されたり縛られたりするのがすごくしんどかった経験があるので。



尾崎さん:
でも、ウーバーイーツは時間や場所にとらわれることなく働けて、特別なスキルもいらない。ユーザーに料理を届けて、「ありがとうございましたー!」と言って帰るだけ。

僕がストレスに感じていた会社のしがらみを、ウーバーイーツは解き放ってくれたんです。

いしかわ:
そういう働き方であれば、他にチャレンジしたいこととの両立もできそうですね。

尾崎さん:
実は配達員のなかには、起業家を目指している人が多いんですよ。配達員として必要なお金だけ稼いで、それ以外は一番やりたいことに時間を割く。

学生でも社会人でも、興味があれば気軽にやってみてほしいです。やめたくなったらいつだってやめればいい。なんたって“自由”ですからね!



取材を終えたあと、たまたま休職中の友人から「ウーバーイーツ配達員始めたよ!」というメッセージが来て、あまりのタイムリーさに驚きました。

実は、激務で体調を崩してしまい、働くことに前向きになれなかった友人。それが今は、都内を楽しく自転車で走り回っているとのこと。

ウーバーイーツ配達員のなかには、「引きこもりがちな自分を変えたい」「ダイエットがしたい」など、外に出るきっかけを作るために登録する人も多いのだとか。

動機はいろいろあれど、自由度の高いウーバーイーツの働き方は、今後ますます広がっていきそうです。興味のある方はぜひ、気軽に登録してみてはいかがでしょうか?

Sign up to drive with Uber
https://www.uber.com/a/signup/drive/deliver

〈取材・文・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉