新海誠が新作『天気の子』着想やテーマ、キャスティングについて言及「下からは見えない“雲の平原”で…」
新海誠監督の最新作『天気の子』製作発表記者会見が13日、都内・帝国ホテル内にて行われ、新海誠(監督)、醍醐虎汰朗(声の出演)、森七菜(声の出演)、川村元気(プロデューサー)、川口典孝(プロデューサー/コミックス・ウェーブ・フィルム)が出席した。
前作『君の名は。』(2016年)から約3年ぶりとなる待望の最新作。キャラクターデザインを務めるのは、『君の名は。』に引き続き、今や日本を代表するアニメーターとなった田中将賀。作画監督は、スタジオジブリの作品に多く携わり、『猫の恩返し』『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』などを手がけてきた田村篤。美術監督には『言の葉の庭』で繊細かつドラマチックな背景を生み出した滝口比呂志。日本最高峰のスタッフが新海誠監督のもとに集結した。声の出演として、醍醐虎汰朗、森七菜が大抜擢。新進気鋭の2人は、オーディションでその役を射止めた。
新作『天気の子』は、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。東京にやってきた家出少年・帆高が出会った、不思議な力を持つ少女・陽菜。ふたりの恋の物語は、美しく、切なく、新たな時代を迎えるあらゆる世代、そして全世界へのメッセージとして描かれる。
国内興行収入250億円の歴史的大ヒットを記録した前作『君の名は。』。新海監督は「『君の名は。』から得た経験は大きなものでした。正直に言うと、すごくプロモーションが辛かった(笑)暑いし、沢山のところに行ったり、街を歩いていると『君の名は。』の良い話や悪い話が聞こえてきて…すごく大きな作品になったことを街中でも実感できるほど」と当時を振り返る。
新作『天気の子』への着想について「そんな中で空を見上げることが多かったんです。成長しきった積乱雲は広い平原のように見えて、下からは見えない“雲の平原”で『ゆっくりできたら良いなぁ』なんて思ったのが始まりです(笑)それがこの絵につながっています」と明かした。
続けて、『君の名は。』での大反響を受け「映画の持つ力を実感することができた」と語り、タイトルにもある“天気”について「映画の初日の天気や、学校・仕事に行くときの天気…“天気”というのは通りすがる出来事なのに心配事として受け止めている私たち。誰もが『これは自分の話なんじゃないのか』と思えるものを一つテーマに持ってこれたらと考えた時に、それは“天気”なのではないかと思ったんです」とコメントした。
川村プロデューサーは「完成前から全世界から配給のオファーが来ています。間違いなく全世界で上映されると思います。前回があまりにも大きな成功だった。ですが、今回は“新しいチャレンジ”を視野に入れて取り組んでいます」とコメント。続けて、「物語・テーマの部分で世界に受け入れられるような内容を含んでいます」と明かした。
新海監督は、そんな今作『天気の子』について「主人公の少年は家出をしてしまうように、模範的な少年ではない。人はこうあるべきだ、社会とかこうあるべきだ、ということとは全然違うものを語っている映画です。それは心配している要素でもあり、でも今みなさんが観たいのは、すごく正しい人よりも、正しくあろうとしているんだけれども、どうしても自分の気持ちがあるし、規範通りに行動できない主人公。そんな主人公が何かに必死に手を伸ばすような映画」と話す。
「“ドエンタメ映画”になっています。笑えるし泣ける、ワクワクするし、知的好奇心を刺激されるでしょうし…とにかく劇場に来てくれた人に『面白かった!』と言ってもらえる映画になるよう、全員で目指しています!」とメッセージを贈った。
会見では、離島から東京へ家出してきた高校生・森嶋帆高の声を醍醐虎汰朗が、祈ることで天候を“晴れ”にできる不思議な力を持った少女・天野陽菜の声を森七菜が演じることが発表された。
新海監督は「『君の名は。』の時は神木隆之介くんと上白石萌音ちゃんが本当に素晴らしい仕事をしてくださった。次の人をどうやって選ぶか、非常に迷いました」と言い、キャスティングについて「オーディションで2000人以上の中から2人を選びました。たくさんの声を聞かせていただきましたが、2人で良かったと確信しています」と自信をのぞかせた。
映画『天気の子』は2019年7月19日(金)より全国東宝系にて公開
(C)2019「天気の子」製作委員会
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