映画『春待つ僕ら』稲葉友インタビュー

稲葉友

『ROOKIES-卒業-』の平川雄一朗監督と人気キャストで贈る青春映画『春待つ僕ら』。ひとりの女の子と彼女を囲む個性溢れる花形バスケ部の青春を描いた今作で、可愛い弟キャラでムードメーカー的存在の宮本瑠衣役を演じるのは、映画やドラマ、舞台など幅広い作品で活躍中の稲葉友。若手人気俳優が集結した今作の現場で感じたことや役について、更に“自分を強くしてくれる大事な物”などを稲葉に聞いた。

──弟キャラでムードメーカー的な存在の瑠衣をどんな風に捉えて演じましたか?

稲葉友

稲葉:4人の中で一番曖昧なキャラクターで、キーワードと言えば“可愛い”という抽象的なものだけだったんです(笑)。原作では“腹黒い”部分もありますけど、映画版の瑠衣はそうではないので原作のキャラクターとのバランスを考えるのが難しかったです。あとは4人一緒のシーンでは瑠衣と杉野(遥亮)くん演じる竜二が“どういう空気に引っ張るか”というシーンの立ち上げを担っていたので、例えばト書きに“帰り道、2人がふざけている”と書いてあると監督が「何かやってみて」とおっしゃるんです。それで杉野くんに「僕が何か投げるから返してね」と伝えてテストや本番でアドリブを入れたお芝居をしていました。

──そんなお2人の後ろを北村匠海さん演じる永久と磯村勇斗さん演じる恭介が落ち着いた様子で歩いていて(笑)。

稲葉友

稲葉:そうですね(笑)。ただ、2人ともただワチャワチャしてるわけじゃなくて、繊細な空気を察していたりもするんです。瑠衣は大事な時に美月ちゃんの背中を押したりしますし、バランサーという役割も担っていますしね。

──瑠衣はバランサーではあっても自分の感情は素直に表に出しているように見えました。

稲葉:彼は好きな人に好きと言えたり、良いと思えるものに対して良いと言える正直で誠実な人だと思います。素直に気持ちを伝えられない永久、好きな気持ちに突っ走る竜二、4人の絆をしっかり支える恭介という本当に良いメンバーだなと思いましたし、匠海くん、杉野くん、磯村くんとも気持ちよくお芝居できたので楽しい撮影でした。

──画面からも4人の仲の良さが伝わってきましたし、ずっとこの4人を見ていたいと思いました。バスケの練習もみなさん一緒にされたのですか?

稲葉:みんなで練習しました。劇中の4人はとにかくバスケが上手くて真剣に打ち込んでいるので、そこに関してはみんな命がけだったというか。1人でも練習中に手を抜こうものならしばき合うぐらいの勢いで取り組んでいましたし、時にはお互いにサポートしながらまるで本当の部活動のように懸命に練習していたと思います。

──具体的にはどんな練習をされたのですか?

稲葉友

稲葉:4人ともバスケ経験者だったので、まずバスケをやっていた頃の感覚を取り戻すことから初めて、そこから改めて「正しいフォームってどうだっけ?」とか「どういうフォームが映像としてカッコいいんだろう?」とみんなで確認し合ったり。型を覚えるという意味では殺陣に近かったです。“こういうプレーをするならこのスキルをあげないといけない”ということもそれぞれが考えてきて撮影に挑んでいました。練習はハードでしたけど、久々に体育館でバスケを思いっきりやれたのは楽しかったです。

──4人以外にも有名高校バスケ選手の亜哉役を演じた小関裕太さんやヒロイン・美月役の土屋太鳳さんなど人気と実力を兼ね備えたキャストが集結しているので刺激になることも多かったのではありませんか?

稲葉友

稲葉:このタイミングでみんなと共演できたのはすごく良かったと思います。泊まりのロケ撮影もあったんですけど、夜になると匠海くん、杉野くん、磯村くんが何故か僕の部屋に集まってきてワイワイ盛り上がってました(笑)。くだらない話が9割で、残りの1割は真面目な話もしたりしてどんどん仲が深まっていったように思います。ちゃんと関係性が作れたおかげで俯瞰で物事を見れる自分もいれば、ドップリと中に入って身を任せている自分もいて、ちょっと不思議な感覚だったというか。

──“ドップリと中に入って”というのはこの映画の世界観に入りこんでいたということでしょうか?

稲葉友

稲葉:ドップリとのめり込まないと高校生の持つ青春のエネルギーは出せないような気がしたんです。もちろん大人の本気も学生の本気には負けてないと思うんですけど、高校野球を見たりすると単純にもの凄く感動するじゃないですか。ああいう熱量や刹那的なものを3ヶ月ちょっとで準備して作っていかなければいけなかったので少し大変でした。

──今作では恋愛や友情といった青春だけじゃなく、美月が幼い頃のトラウマを克服して成長する姿も描かれていますね。

稲葉:確かに美月ちゃんがトラウマを克服していく姿には勇気づけられますけど、僕はトラウマ自体あまり否定できなくて、例えば“この人のおかげでいまだに自分のトラウマが抑えられているんだな”と人によってはそんな風に思うこともあるかもしれない。そう考えると必ずしもトラウマを克服しなければいけないわけじゃないんじゃないかなと思うんです。

──トラウマを抱えている人が魅力的に見えたりすることもありますしね。

稲葉友

稲葉:ありますね。でも僕は何かのタイミングでトラウマを抱えていることをコッソリ友達が話してくれるのは嬉しいですけど、“トラウマがあってさ〜”とこれ見よがしに言う人はちょっと嫌です(笑)。

──同感です(笑)。話は変わりますが、劇中に “大事なものがあれば強くなれる”という台詞が出てきますが、稲葉さんにとって自分を強くさせる大事なものはなんですか?

稲葉友

稲葉:例えば今作で共演した方と別の作品で再会できたら嬉しいですし、自分が進んできた道が全て今に繋がってたんだなとハッとする瞬間があるとそれがモチベーションになります。そういう精神的なご褒美が僕にとって大事で、中には“うわ〜繋がっちゃったよ”と怖くなる事もあるんですけど(笑)、やっぱり人との繋がりが大事だし自分を強くしてくれていると思います。

──今年もあと僅かで終わりますが、2018年を振り返ってみて何か印象に残った言葉があれば教えて頂けますか。

稲葉友

稲葉:匠海くんから「稲葉くんは人に気を遣いすぎてるからそのうちしんどくなるよ」と言われたのは心に刺さりました。というのも、キャストやエキストラさんのテンションを盛り上げたり現場の空気を作るのは全部自分が引き受けるぐらいの気持ちでやっていたんです。そしたらある日、匠海くんが“稲葉くん、背中が張りすぎてるよ”って教えてくれて(笑)。やった後は毎回めちゃくちゃ反省するんですけど、ラジオをやらせて頂いてることもあって「稲葉くんって面白いね」と言ってもらえる自信があるんです。そんな感じで僕にできることがあれば出し惜しみせずにやろうというスタンスなので、匠海くんの言葉はかなり響きました。

──では最後の質問になりますが、来年はどんな年になりそうですか?

稲葉友

稲葉:今年感じた悔しい気持ちを来年は全部クリアにできたらと思っています。他人関係なく自分に対して悔しいと思うことが多かったですし、きっと来年はまた新たな“悔しい”を感じると思うんですけど、そのひとつひとつをちゃんと自分の中で消化というか、昇華させることができたらいいなと思っています。

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映画『春待つ僕ら』は12月14日(金)より全国公開

(C)あなしん/講談社 (C)2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会

取材:奥村百恵/撮影:ナカムラヨシノーブ

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