コッペパンの「コッペ」って何?
多くの方は学校の給食でコッペパンを一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。ここ数年、専門店ができたり、コンビニでも商品が増えたりと、コッペパン人気はじわじわと広がっていますが、今回はAさんからこんな疑問が寄せられました。「コッペパンの『コッペ』って何?」
今回の回答者
「コッペパンの"コッペ"って何?」というキニナルについて、一般社団法人 日本パンコーディネーター協会代表の稲垣智子さんに尋ねました。
パンのソムリエ資格である「パンコーディネーター」を認定し、パンの良さや魅力を伝えています。現在1000人以上のパンコーディネーターを世の中に輩出しています。
コッペパンの「コッペ」
早速本題の「コッペパンの"コッペ"って何?」について聞いてみました。
稲垣さん「コッペパンのコッペの語源には諸説ありますが、まずコッペという言葉自体は日本でできた造語です。ラグビーボールのような、フランスパンの一種『クッペ』に似ていることからコッペとなったという説や、フランスパンの切れ目のことをクープと言うのですが、それが転じてコッペになったのではという説もあります。」
ふたつの説とも、フランスパンに関連しているのは間違いなさそうです。
コッペパンの歴史
コッペパンについて尋ねる前に、そもそもパン自体がいつできたものなのか聞いてみました。
稲垣さん「パン自体が日本に入ってきたのは、1500年代の南蛮文化が入ってきたタイミングだとされています。
パン文化はヨーロッパで普及していたので、キリスト教が入ってくるとともに日本でもキリシタンや外国人を中心に食べられていました。
しかし、江戸時代に入り鎖国が始まったことで、パンを作ることが禁止になりました。
開国したことでパンは復活し、徐々に作られるようになりましたが、2度の大きな戦争で一度落ち込み、一般家庭でパンが楽しまれるようになったのは戦後からです」
では、コッペパンはいつ頃できたのでしょうか?
稲垣「まず、コッペパンは日本で作られるようになった日本生まれのパンです。歴史を振り返ると、戦後に学校給食が始まり、牛乳とコッペパンで当時の成人に必要な栄養を補えるようにしようということで、作り始められたのがコッペパンとされています。
ですので、1950年頃からコッペパンはありました。
また、岩手県の盛岡には老舗のコッペパン専門店があり、70周年を最近迎えました。そのことからも、コッペパンが出来てからおよそ70年ほどが経っていることがわかります。」
コッペパンができた背景には学校給食があったようです。
今ほどモノや食べ物が少ない時代に、コッペパンが果たした役割は実は大きいのかもしれません。
ホットドッグのパンはコッペパンじゃない!
そもそもですが、コッペパンってどんなパンのことを指すのでしょう?
稲垣さん「まずコッペパンの特徴として、楕円形で横に太い点があげられます。
コッペパンに似たパンで、パンの上から切れ目が入っており、ホットドッグなどに用いられる細長いパンがあるのですが、これは『ドックパン』と呼ばれており、コッペパンとは全くの別物のアメリカ生まれのパンです。ドックパンは具を入れると横に広がりますが、コッペパンは横には広がりません。
この違いはパンを作られている方の中でもよく間違われることがあるので、覚えておくと面白いかもしれません。」
形が似ているドックパンとコッペパンですが、実はルーツも形も違ってるんですね。パンの奥深さがわかります。
最近のコッペパン人気
ここ数年、専門店が話題になるなど、コッペパンの人気が上昇しています。人気の理由を稲垣さんはこのように分析しています。
稲垣さん「コッペパンが人気になってきたのは、ここ3年くらいですが、人気に火についた理由としては、中に何でも挟める楽しみがあることや、その場で自分のコッペパンができていく様子を見ることができるエンタメ性が大きいのではないかと思います」
稲垣さんいわく、「おにぎり屋さん」と同じような、楽しみ方ができるからなのでは?とのことでした。
おいしいコッペパンを求めて専門店に足を運んでみませんか?
(おきな)