米Kodak、カラーポジフィルム「エクタクローム」再発売。写真用35mmを出荷開始、8mmは10月1日より

米Kodakが、写真・映画用リバーサルフィルム「Ektachrome」を再発売しました。135形式36枚撮りカートリッジのEktachrome E100フィルムはすでに出荷を開始、映像用8mmフィルムのKodak Ektachrome 7294 フィルムは10月1日より出荷します。さらにKodakは今年後半に16mmフォーマットのフィルムも再び発売することを明らかにしています。従来、Ektachromeは世界中で写真家やインディーズの映画製作者から高い評価を得ていました。しかし市場でのデジタルカメラへの移行が進むにつれてKodakの業績が悪化し、2012年には経営が破綻、全フィルム製品の販売を終了していました。

しかし、その後アナログ写真の人気の高まり、特にプロ用写真フィルムの販売が増加してきたこともあり、Kodak Alarisが2017年初頭のCES 2017でEktachromeの再発売を発表する流れとなっていました。

また、近年は映画撮影でもアナログフィルムが復権しつつあり、2016年には『ラ・ラ・ランド』『ジェイソン・ボーン』『マグニフィセント・セブン』『沈黙-サイレンス-』といった映画がコダックのフィルムで撮影され、収益改善の一助となっています。

Kodakは、Ektachromeの再販売を発表した当初は2017年第4四半期の発売を計画していたものの、その後予定は遅れました。また2018年のはじめから春にかけてはKodakがBitcoinマイニングへ参入したり、ブロックチェーン技術を組み込んだ独自の暗号通貨KODAKCoinを使って画像著作権管理をするプラットフォームを開発すると発表したりと、予想外の展開に不安を覚えたひともいたかと思われます。

そんななかでようやくの再発売実現は、アナログを愛するカメラマン諸氏にとって、喜びと安堵の両方を感じる出来事かもしれません。

イーストマン・コダックの映画・エンターテインメント部門を率いるスティーブ・ベラミー氏は発表に際し「トニー・スコット監督の『ドミノ』や、スパイク・リー監督の『インサイド・マン』といった個性的で他に類を見ない映像はEktachromeなしには作ることができませんでした。我々は、これを愛する人々、そして新たな世代の映像アーティストに再びこのフィルムを紹介できることを非常に喜ばしく思っています」と語っています。