自分の時間を取り戻す方法を伝授します(写真:RyanKing999/iStock)

日本人は断るのがとても苦手です。「相手の気分を害したくないので断れません」「断るくらいなら、つい受けてしまいます」という人は多いのではないでしょうか。

拙著『学びを結果に変える アウトプット大全』でも詳しく解説していますが、きちんと「断る」ということをしないと、貴重な時間は、「残業」「休日出勤」「行きたくもない飲み会」によって、無限に侵食されていきます。

「本当にやりたいこと」を優先するために

「断らない人」は、自分が本当にやりたいことに対して、エネルギーと時間をふり向けることができなくなっていきます。休息や睡眠、家族と過ごす時間も削られます。

つまり、「断らない人」は、確実に「不幸な人生」を歩むのです。死ぬほど忙しくて睡眠がとれなくなったり、健康を害したりして初めて「断る」わけですが、それだったら最初から断るべきなのです。

「上司からの“残業のお願い”を断ると昇進に響く」と考える人もいるかもしれませんが、あなたの会社では、「上司のお願い」を断らない便利屋のような人が本当に昇進していますか? 多分、「仕事ができる人」が普通に昇進しているはずです。

個人でビジネスをしている人は、「仕事を断ると仕事が減る、 次の仕事がこなくなる」と思っている人が多いですが、「仕事を断るほど、仕事は増える」という法則があります。「引き受けられないほど仕事が殺到している」ということは「人気がある」ことの証明だからです。

人気のレストランに電話し3カ月先まで予約がいっぱいだったら、「そこまで予約いっぱいなら、相当いい店に違いない」とさらに行きたくなる。そんな心理と同じです。ですから、きちんと「断る」ことをしていると、仕事は増えます。

「断る」ことによって、特にデメリットは生じません。断ってみればわかりますが、むしろ、「断る」ことでたくさんのメリットが得られるのです。

上手に断るためにはどうすればいいでしょう。それは、自分の人生の中での「優先順位」を決めておくことです。

「家族」が大切と思う人は、「土日は家族と過ごす時間」というルールを決めます。「どうしても急な仕事が入ったので、日曜日に出勤してくれないかな」と言われたら、「申し訳ありませんが、土日は家族と過ごす時間なので」と断ります。

ルールにそぐわない仕事の場合は、0.1秒で断るだけ。たとえ、高額な仕事であってもです。

また断る場合は、「迷わず断る」ことが重要です。「えー、そうですね……」と迷った素振りを見せると、「なんとか頼むよ」と付け入られてしまいます。迷うということは、「断る明確な理由がない」ということを相手に伝えているのと同じです。迷わずにすぐに断ることで、自分の意思の固さ、自分のポリシーの固さが相手に伝わります。

また、ケース・バイ・ケースで判断するのもよくありません。「断る」判断は、「優先順位」に照らし合わせて、つねに同じ基準で断ってください。「今回だけ特別に頼むよ」という言葉には決して乗らないこと。「今回だけ」が永久に続くことになります。

また、ケース・バイ・ケースで判断すると、「Aさんの頼みは聞くのに、なぜ俺の頼みは聞かないんだ」と、トラブルの原因になります。つねに同じ基準で公平に断っていくかぎり、大きなトラブルが起きることはないでしょう。

人間関係を悪化させない、誠意が伝わる「断り方」

とはいえ、「断ると角が立つので断りづらい」と思っている人がほとんど。そこで、「断りの公式」を使うと、角が立たずに断ることができます。


断りの公式は、「謝罪(感謝)+理由+断り+代替案」です。

たとえば残業を頼まれた場合、「すみません(謝罪)。選んでいただいて大変ありがとうございます(感謝)。本日、子どもの塾の送迎があるため(理由)、残念ながらお引き受けできません(断り)。明日の午前中でしたら終わらせることができるのですがいかがでしょうか(代替案)」

まず、謝罪(感謝)のクッション言葉をはさみ、理由を先に述べて、「結論」である「断り」はできるだけ最後に述べるといいでしょう。同じ断るにしても、「断りの公式」を活用すると、誠意のある断り方ができます。