西野監督率いる日本代表は、コロンビア戦でどのような戦いを見せるのか【写真:Getty Images】

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コロンビア戦に向けて西野監督「隠している部分もある」

 日本代表は19日、ロシア・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦のコロンビア戦に臨む。

 西野朗監督はこれまで「全てはコロンビア戦に向けて、オープンにできる部分と、出したくない部分というのはある」と語っており、スタメン11人も新しい組み合わせで送り出す可能性も十分ある。

 W杯直前のラストマッチとなった国際親善試合パラグアイ戦(4-2)後、西野監督は「全く出していないものも当然ある。こういう厳しいゲームのなかで、トライしたい部分、リスタートを含めて隠している部分もある」と口にしており、暗に“秘策”を匂わせていた。

 西野監督と言えば、長年率いたガンバ大阪時代の攻撃サッカーが代名詞だが、その一方でリアリストの一面も覗かせる。“打ち合い上等”という部分は残しつつも、相手の良さを消す巧みな戦術で流れを引き寄せ、数々のタイトルを手にしてきた。

 4月にバヒド・ハリルホジッチ監督が電撃解任され、後任として指揮を執る西野監督は、これまで3バックや4バックをベースに様々な選手の組み合わせをテストしてきた。そのなかで最大の注目を浴びたのが、トップ下でプレーした本田圭佑香川真司の争いだ。


W杯初戦、牽制し合う展開で香川は“消える”可能性も…

 西野体制の初陣となった国際親善試合ガーナ戦(0-2)、続くスイス戦(0-2)で先発した本田は結果を残せず、パラグアイ戦で先発した香川は1ゴール2アシストと明暗が分かれた。相手が異なるため条件は一緒とは言えないが、それでも香川がトップ下争いを制した形となっている。

 もっとも、だからと言って西野監督がコロンビア戦で先発に香川を100%送り込むとは言えない。それは、西野監督が“スーパーサブ・香川”の秘策を練っているかもしれないからだ。

 W杯初戦という舞台を考えれば、お互いに様子を見ながら慎重な立ち上がりになることが予想される。それは言い換えれば、互いに組織が安定したなかで牽制し合う展開だ。当然スペースはなく、相手のギャップ間で最も輝きを放つようなタイプの香川にとっては“消える”可能性が高くなる。

 それでもこじ開ける力を香川が秘めている一方、西野監督が後半勝負と割り切る戦い方をするならば、「先発・本田、後半の勝負所で香川」の使い分けは十分にあるだろう。トップギアで走れるところまで本田を起用し、相手に多少の疲労が見えたところで香川を投入すれば、前半よりも相手の組織は崩れやすくなっており、活用できるスペースも生まれているはずだ。


武藤との同時投入でガラッと変化も 本田は“捨て駒”扱い? 

 また、機動力とクイックネスを兼備した武藤との同時投入なども一案で、チームの戦い方もガラッと変わり、相手に戸惑いを与えつつ、日本の持ち味を生かす状況が整う。結果的に本田は“捨て駒”の扱いとなるが、勝負師・西野監督が心に決めたら躊躇はしないだろう。

「自分たちからアクションを起こしたなかで、ゲームをコントロールしたいという考えはありますが、それ以上にコロンビアのハメス(・ロドリゲス)を中心とした攻撃の展開力やフィニッシュというところで、そういうリズムを止めていきたい」

 序盤は守備に軸足を置き、攻撃の比重は小さくするとも取れる発言をしている。本心をつかませず、勝利の可能性を探る“策士”は、果たしてどのような手を打つのだろうか。


(大木 勇(Football ZONE web編集部) / Isamu Oki)