大谷翔平はゲームのキャラのように強くなり、どこまでバージョンアップするか想像がつかない…。

写真拡大

前人未到、メジャーリーグでの二刀流挑戦で開幕からファンの期待以上の活躍を見せているエンゼルス大谷翔平

野球人としてのポテンシャルもさることながら、あらためてその内面の奥深さや強さにも注目が集まっている。彼の人間性や思考はいかに育まれてきたのか? 

高校時代から大谷の取材を続け、この春、『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社)を上梓(じょうし)したスポーツライターの佐々木 亨(ささき・とうる)氏に話を聞いた。

* * *

―開幕から約1ヵ月余り、大谷選手の活躍をどのようにご覧になってますか?

佐々木 オープン戦では結果が出ませんでしたが、あの時期はあくまで調整、試す期間なので心配はしていませんでした。シーズンが始まればやってくれるだろうと。とはいっても3試合連続ホームランには驚かされましたし、投打とも、こんなに早くから結果が出るとは思いませんでした。

―岩手・花巻東高校1年生のときから大谷選手の取材をされているそうですが、当時の第一印象は?

佐々木 今よりもひょろっとしていましたが、動きを見ただけで、これはスゴイと思いました。身長はすでに190cm近くあって、そういう選手は普通、投げ方とかもちょっと不器用に見えるのですが、大谷選手の動きには一切、そんなところがなくて、しなやかでしたね。

―打って、投げてが注目されますが、走っても速かったそうですね。

佐々木 あるスカウトは、もし大谷選手が陸上選手になっていたら日本で最初に100m走で10秒台を切ったのは彼だったのではないかと話していました。どの競技をやっていても、金メダル級の身体能力の持ち主といえるかもしれません。

―高校時代から大谷選手をご覧になっていて、その成長曲線をどう見ていますか?

佐々木 彼は昔から宿題を与えられると、アイテムを与えられたゲームのキャラクターのようにどんどん強くなっていく。今後、どこまでバージョンアップしていくのか、まったく想像がつかない。本当にスゴイと思います。

―その一方で、「『大谷翔平』という軸は決してブレない」と綴(つづ)られていますが、どういうことなのでしょうか?

佐々木 彼はどんなときも自分の現在地を的確に把握しています。その上で未来の自分をイメージ、期待して、そのための努力を惜しまない。本人からしたら「努力」という感覚すらなくて、好奇心の赴くままに、やりたいことを楽しんでやっているだけなのかもしれません。

―子供の頃から今に至るまで、とにかく頭の中は野球のことばかりだとよく言われていますね。

佐々木 オフの時間は野球選手の映像を見るのが好きで、そこで何か気づいたことがあったら、5分でも10分でもいいからすぐに試すというんです。日本ハム時代、鎌ケ谷(かまがや、千葉県)の寮にいたときは、思い立ったら深夜でもすぐに室内練習場に行ってたとか。そうした閃(ひらめ)きが形になる、ならないは重要ではなく、それをすること自体が楽しくて仕方ないのだと思います。

◆二刀流は大谷翔平を守る術――この続きは『週刊プレイボーイ』21号(5月7日発売)「大谷翔平の素顔」にてお読みください!

(取材・構成/中村 計)

●佐々木 亨(ささき・とうる)

1974年生まれ、岩手県出身。スポーツライター。主に野球をフィールドに活動するなかで、大谷翔平の取材を彼が15歳の頃から続ける。著書に『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボール・マガジン社)などがある。