最後の紅白出演となった'03年。'10年からは、ほぼ地上波のテレビ番組には出演していない

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 9月20日、歌姫・安室奈美恵が突然の引退を表明し、日本中に激震が走った。

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「故郷の沖縄で凱旋公演を成功させたばかりで、16日はデビュー25周年。まったく予兆はありませんでした。発表当日は彼女の40歳の誕生日で、まだまだ若いんですけどね」(スポーツ紙記者)

 1年後の9月16日を引退の日と決め、ライブ活動やアルバムの発売を続けるという。

 ファンの中でもショックで会社を休むなど“アムロス”も指摘された。

「ゲイの世界でも安室ちゃん人気はスゴイの。新宿二丁目ではひと晩中、彼女の曲を流すオールナイトイベントがよく行われていて、去年は安室ちゃん本人も来たんです。引退発表当日の二丁目は、まるでお通夜テンションだったわ……」(ゲイバーの常連客)

 広い層から愛された安室は、まさに国民的歌姫。'91年に14歳で結成したSUPER MONKEY'Sから芸能活動をスタートさせた。

「当初はヒット作に恵まれなかったんですが、'95年1月に現レコード会社の社長である松浦勝人氏がプロデュースしたシングル『TRY ME~私を信じて~』が73・3万枚の大ヒット。その後、小室哲哉さんのプロデュースで代表曲『CAN YOU CELEBRATE?』などのミリオンヒットを飛ばしました」(レコード会社関係者)

 歌だけでなく、彼女のファッションも注目を集めた。

「ミニスカートやショートパンツに厚底ブーツ、茶髪のロングヘアに細眉という彼女のスタイルをお手本にした“アムラー”が街にあふれました。まさに社会現象でしたね」(前出・スポーツ紙記者)

 人気絶頂の'98年3月、安室は1年間の休業に入る。

「TRFのSAMさんとの結婚と妊娠を発表したんです。今でいうデキ婚のハシリでしょうか」(芸能プロ関係者)

 結婚すると人気が衰えるものだが、産休を終えた彼女をファンは温かく迎え入れた。

「'02年には離婚してシングルマザーとなりますが、彼女の自分を貫く生き方に共感する女性の間に支持が広がりました」(音楽ライター)

 ライブパフォーマンスには定評があり、アリーナクラスの会場はいつも満員。チケットはFC会員も入手困難で、関係者でも簡単には手に入れられなかった。しかし、一昨年ごろから異変が起きる。

安室が受け入れがたかったこと

「アリーナの動員を確保するのが難しくなったため、コンサート会場の規模をホールクラスに変更したんです」(コンサートプロモーター)

 という見方もあったが、あるテレビ局関係者は、

「ホールツアーにした理由は動員数の問題ではなく、ファンとの距離を縮めるためだったと聞いています。ツアーは前年の15都市から40都市に増え地元に安室さんが来たファンは大喜びしたそうですよ」

 と反論する。業界的には十分な動員力だったが、安室には受け入れがたかった。

「ファン層=彼女と同世代は、結婚・出産・子育てなどに追われてライブに足を運ぶ余裕がありません。

 仕方のないことですが、本人にとってはフラストレーションになっていたようです」(ヘアメイク)

 昨今では音楽業界が軒並み、CDセールスが落ちたことも悩みのタネだったそう。

「売れない時代だということはわかっていても、過去の実績がある安室さんは“なぜ売れないのだろう”と悩んでいたといいます。

 シャイな彼女ですが、新曲はこんな衣装で、コンセプトは……と、ビジョンを語るときは雄弁。でも、それがファンに届いている実感を持てなくなっていたんです」(レコード会社関係者)

 '15年には事務所移籍の騒動があり媒体への露出が激減。孤高の女王は苦悩した。

「安室さんはテレビでも“口パクで歌いたくない”“できればフルコーラスを歌いたい”と要望を伝えていたそうですが、叶うことは少なかったんです」(前出・ヘアメイク)

減っていくテレビ露出

 安室の“いいパフォーマンスを見せたい”という信念がアダとなりテレビへの露出が減った。それゆえ10代、20代の新規ファン層を獲得できなかったことも、ライブ会場縮少の一因となったようだ。

 昨年の秋、安室は知人に相談を持ちかけていたという。

「今後について“どう思う?”と尋ねたそう。自分の意思で決められる状況になり、引退を含めて将来を相談したのでしょう」(スタイリスト)

 14歳から芸能活動を続け、燃え尽きてしまったとしても不思議ではない。

「年齢的にパフォーマンスやモチベーション維持が難しくなってきたのは確か。息子さんは来年成人を迎えますから、人生の節目でもあります。ピースをつなぎ合わせると、引退は必然だったとも言えるでしょう」(前出・ヘアメイク)

 なぜ引退する日を1年後と決めたのか。そこには孤高の女王の決意があるようだ。

「ファンへのお礼の気持ちを伝えたいというのが大前提。ヒット曲を授けてくれた松浦氏をはじめ引退宣言を受け入れてくれたスタッフへの“恩返し”をするつもりなのではないでしょうか」(前出・レコード会社関係者)

 これから1年、集大成となる熱いステージを見せてくれるに違いない。