最近、行きつけのスナックが、なぜか急に時間制に変更になり、「延長する?」って聞かれ、
カッコつけて「帰る」と言い出さなくて大枚取られた、コラムニストの中丸謙一朗です。

さて、スナックネーミング研究も宴たけなわ。
今回は少しスナックから離れ、その存在のおもしろみがじんわりと伝わってくる、
そんな全国のお店(の名前)にスポットを当てていきたいと思います。

題して「じわじわくる迷店」。本日も、「全国スナック名称研究会」(全ス研)の提供でお送りいたします! (パチパチパチパチ)

看板チェックは煩悩チェック、入店ないので、チャージフリー。

コスパ最強、誰でも楽しめる、街角「哀愁」物語。

では、今週もじっくりとお楽しみください。

【第1発目】「気合いと気合いの紋所」(採取地・山形)



とんかつ自体が気合いを入れたりガッツリいきたいと思ったときの食い物である。で、さらなる圧がこれ、「水戸黄門」。ダイエット心に根性焼きを食らわせるかの主張。「この油ものは目に入らぬか」。

【第2発目】「集まっている種族が見えない館」(採取地・鳥取)



大正琴の店なのにブーメラン。店じゃなく館。まるで生態が読めない場所。

【第3発目】「古き良きカーチャン遺跡」(採取地・沖縄)



シブい、シブすぎる。現在はオープンしていないみたいだ。「カーチャン」屋だと惣菜だと思うのは素人。鮮魚店だ。で、魚屋かと思ったら、肉も冷凍食品もある。こういうデタラメな感じがますますカーチャン。「其の他」を感じで書くのも、昭和なカーチャン。

【第4発目】「総理大臣を生まない定食屋」(採取地・甲府)



ふつうの定食屋さんだけど、妙なエリート感が漂う。歴代の総理大臣は誰も食べに来ていない、たぶん。ここでカツ丼食べたからって総理への近道かというと、そんなことはない。むしろ、こういうところでビールを飲みながらレバニラ定食を食らうような輩になってこそ、総理大臣を批判する権利が生まれる、そんな店だ。

【第5発目】「狼なんか怖くない」(採取地・岩手)



広島風ではない。あくまでも広島流だ。流派こだわりオヤジか。眉間の皺のよったオヤジの風貌が感じられて、じわじわくる。間違って「ここは広島風ですね」なんて、口を滑らせようもんなら、たいへんなことになる。「他流に用はない。帰ってくれ」。そんな広島流お好み焼き。

ということで、「じわじわくる迷店」、いかがでしたか?

みなさんも、この企画が続くように、ぜひ街の珍名さんを投稿してください。

それでは、ハバ・ナイススナック!

*注 この企画はあくまでも公に公開されている風景としての、飲食店の看板および名前を味わうための企画です。採取した時期もさまざまですので、現在も存在しているかどうかは不明です。また、実際のお店の状況には責任を負いませんので、個人の責任にてお楽しみください。

全国スナック名称研究会では、読者のみなさんが発見した「珍名スナック」などの看板画像を募集しています。寄稿フォームかメール(toko@j-town.net)で、ペンネームと発見場所、あなたの年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。ツイッターのハッシュタグ「#全ス研」でも受け付けます。なお、いただいた投稿の一部を改変・編集する場合があります。あらかじめご了承ください。

今回の筆者:中丸謙一朗(なかまる・けんいちろう)コラムニスト。1963年生。横浜市出身。『POPEYE』『BRUTUS』誌でエディターを務めた後、独立。フリー編集者として、雑誌の創刊や書籍の編集に関わる。現在は、新聞、雑誌等に、昭和の風俗や観光に関するコラムを寄稿している。主な著書に『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社、扶桑社文庫)、『車輪の上』(耷出版)、『大物講座』(講談社)など。好きなアーティストはジム・モリスンと宮史郎。座右の銘は「物見遊山」。全国スナック名称研究会代表。日本民俗学会会員。

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