コム デ ギャルソンやシュウ ウエムラとの
コラボで注目される
大山エンリコイサム個展「Windowsill」開催

2017.06.20


©Enrico Isamu Ōyama

「NEWoMan」(ニュウマン)内文化交流 施設「LUMINE 0(ルミネゼロ)」と、H.P.FRANCE N.Y. Inc.との協業にょり、大山エンリコイサム個展「Windowsill」が開催される。

「JAPAN CREATIVE TERMINAL」をコンセプトとするLUMINE0では、「アートを通じた世界と日本の文化交流」をテーマとしたエキシビジョンなど開催している。今回コム デ ギャルソンやシュウ ウエムラとのコラボレーションなど幅広い活動で注目される、NY在住の日本人アーティスト・大山エンリコイサム氏の個展を開催。この企画のために来日し新作を発表する。

■大山エンリコイサム「Windowsill」について
Windowsillは、観葉植物などが置かれる窓際のスペース、いわゆる窓台を指す言葉です。ルネッサンス期の建築家アルベルティの提唱以来、絵画は長らく窓のメタファーで語られてきました。それを踏まえながら大山は、窓台のイメージをそこに組み込むことで、より複雑な空間を考えたいと言います。一般に、窓から見える風景は現実に繁茂する連続性をもった自然です。それは窓枠に区切られることで、ひとつのピクチャーとして与えられます。手前の窓台に置かれる観葉植物は、鉢に収められることで切り取られ、造形物として個体化した自然です。この二種の自然が窓を介して重なるとき、連続する空間を背景に、複数の個体が林立するような多層的な感覚が生起します。同じ自然として緩やかにつながる二つのレイヤーは、相互に溶け合いながら浮き沈みするプッシュ・アンド・プルの運動も織り上げていきます。こうした様子は、本展に出品予定の作品に通じていると大山は述べます。背景の躍動感あふれる描線は、身体運動の直接的な転写であり、生み出される空間は枠を超えて自然発生的に広がります。そのうえに、大山の主要なモチーフであるクイック・ターン・ストラクチャーが、描線のつらなりを端正に構造化した図像として配置されています。二つのレイヤーは、自然の線と構造の線として相互に編み合いながら、視覚的なダイナミズムが形成されていきます。
いくつかの作品では、底部に帯状の黒い面が見られます。本展出品作は、木枠にストレッチせず、キャンバスを壁にピン留めして制作されましたが、作品によっては底部が床にはみ出されていました。作家はそこに立ち作業をしたため、足跡が痕跡として画面に映り、また塗料のドリップが底に溜まることで黒い面が生じています。この黒い面は、それ自体が窓台のメタファーです。こうして異なる位相に属する空間が束ねられることで、画面はいっそう豊かなものになります。
大型作品を一挙に展示する日本では貴重な機会の個展となります。この機会にぜひご高覧下さい。(Text:TOKYOWISE編集部)

<開催概要>
大山エンリコイサム個展「Windowsill」
会期:2017年6月29日(木)~7月4日(火)
会場:LUMINE 0(ルミネゼロ)
*時間:11:00 ~ 19:00
*会場:「LUMINE 0」
東京都渋谷区千駄ヶ谷五丁目24番55号
*URL:http://www.lumine.ne.jp/luminezero/event/
*入場料:無料
*主催:株式会社ルミネ
*協力:Takuro Someya Contemporary Art, hpgrp GALLERY

大山エンリコイサム
アーティスト。1983年、イタリア人の父と日本人の母のもと東京に生まれる。グラフィティ文化の視覚言語を翻案したモチーフ「クイック・ターン・ストラクチャー(Quick Turn Structure)」をベースに壁画やペインティングを発表し、注目を集める。コム デ ギャルソンやシュウ ウエムラとのコラボレーション、著書『アゲインス ト・リテラシー─グラフィティ文化論』(LIXIL出版)の刊行など広く活動している。現在ニューヨーク在住。
http://www.enricoisamuoyama.net

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