静岡vs不来方
静岡vs不来方
結果は12失点で完敗に終わった不来方。しかし1回表に4番・小比類巻 圭汰主将が(3年)がセンターオーバーのタイムリー二塁打を放って先制するなど、秋の東海王者・静岡相手に大健闘のゲームを見せた。
試合後のお立ち台で、「甲子園で試合をして、やっぱり特別な場所だなと思いました」と感想を語った小比類巻。エースとしては好調時より球威が落ち、苦しいピッチングとなった。その理由の一つが右肘を痛めてしまったこと。キャッチャーの菊池 康太(3年)がその時の状況を明かす。「愛知合宿(2月)で投げ込んだ後、3月の埼玉遠征で練習試合が始まった時に肘が痛いと言いだしました。それからセーブをして調整をした。今日は直球が120キロ台。(好調時に比べて)球が走ってまいせんでした」。
思い返せば、昨年の21世紀枠で出場した長田のエース・園田 涼輔(大学進学予定)も似たようなことがあった。選抜出場により、例年とは違う形で2月に調整をした難しさを感じる。
そんな苦しい状況でもエース兼主将は痛い素振りを試合で見せることはない。苦しいなりに考えたピッチング。静岡打線に先発全員安打を浴びたが、要所要所でバックがしっかり守った。自らのバント処理ミスを含めて失策は2つ出てしまったが、好プレーで球場が何度も沸いた。「ほとんどのアウトを(野手で)取ってもらった。感謝です」と小比類巻は話した。
昨年12月16日、不来方が21世紀枠の東北地区候補になった時の推薦理由説明書にこんな記述がある。
新チーム発足時、少人数のため走者をつけて守備練習や走塁練習など実戦を想定した練習は困難であった。指導者と選手でチームの方向性と練習内容を熟考し練習メニューの取捨選択を決断。過去の敗戦から、勝つためには『打力の向上』が不可欠であること、一人あたりの練習量を大幅に増やすことを決めた。これにより一人あたりの打撃練習が10分程度から1時間ほどに増えた。守備練習は連係プレーより、単純な失策を防ぐための練習を増やし、個人ノックの量は大幅に増えた。走塁練習は練習試合のみ行い、その内容も常に次の塁を狙う積極性を重視した。
この日の静岡戦を見ると、推薦理由説明書にある通りのゲーム内容だったように感じる。打力の向上という点では8回に2点を返した攻撃は見事だった。ダブルプレーをとれない場面もあったが、個人ノックの量を増やして鍛えた守備の成果は見られた。
まだ試合が始まったばかりの春先である。これから暖かくなって本格的に試合数を重ねていって、成長していく過程が楽しみなチームである。
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