逆境を味方に!強力打線に生まれ変わった名護商工が初戦突破

ホームランを放つ名護商工・幸地飛勇磨

「実は冬から校舎改築でグラウンドが使えない状態でした。」試合後に、名護商工安富監督はそう語った。紅白で実戦を意識したくてもただでさえ16名しかいない部員に、さらに逆境がのしかかる。「それを言い訳にしないでやっていくぞ!と部員には言ってました。」守備練習が出来ないなら、打撃を伸ばす。先制、中押し、ダメ押し。振り込んできた結果の全てが、この試合で見せられたと言ってもいいだろう。

 1回、名護商工は3番幸地飛勇磨が挨拶がわりの一発を放つと、3回にも二塁に走者を置いて再び幸地がレフト前へ運び得点を重ねていく。詰め寄られた5回には、渡具知武史の二塁打と大城秋平のヒット(プラス盗塁で)二・三塁。二死となったが4番島袋隼人のセンター前タイムリーで再び突き放した。6回には二死二塁から渡具知のタイムリー三塁打と、幸地、島袋の連続タイムリーで4点。この日渡具知、幸地、島袋の3人で9安打9打点の大当たりだった。

 8対2とされた具志川ナインだったが、悲壮感は漂わせない。主将久野辰吏が「まだ終わってない!一つずつ、1点ずつ。いいな!いくぞ!」目を輝かせて激励したキャプテンの思いが爆発。6回裏、変わった田港朝希から先頭打者がフルカウントから四球を選ぶと8,9番の連打でまず1点。3回にレフトスタンドへアーチを掛けた山内隆雅が、逆らわずライト前へ運び1点を取ると流れが一気に傾く。2,3番も連続四球で押し出し。たまらず名護商工ベンチは先発の島袋を再びマウンドへ上げるが、勢いは消せない。4番仲松大路がライト前へ引っ張り二者が生還。続く與古田敦暉にもタイムリーが生まれ、試合を振り出しに戻したのだ。

 犠打でニ・三塁としたが、名護商工にとってはこれが一つ目のアウトだった。しかし「あの流れで追い越せなかったのが痛かった」とは具志川の宮里監督。「あそこで同点のまま終われたのが大きかった」と、名護商工安富監督。両指揮官が感じた通り、終盤は渡具知のタイムリー三塁打が飛び出すなど名護商工はリードを広げ、対する具志川は再び追い付くことは叶わなかった。しかし、両軍合わせて30安打の攻防は見応えのあるゲーム。逆境を跳ね返す打撃力を身につけた名護商工が僅かに上回り、2時間40分の死闘を制した。

(文・写真=當山 雅通)

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