新たな現代病「スマホ老眼」急増中。これからのスマホレイアウトに必要な「文字の感覚」とは?
2016年7月26日 TEXT:編集部
近年、新たな現代病とも言われる「スマホ老眼」という言葉を耳にする機会が増えてきた。若年性老眼ともいえるこの症状は、デジタル家電の普及、特にスマートフォン・タブレットの一般化が一因として考えられている。この状況を鑑み、デザインにも変化を持たせる必要性が出てきたのではないだろうかと考える。
■スマホの普及率・利用時間の増加の現状
総務省が発表した「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 調査趣旨・概要統計」によると、2014年から2016年にかけて、調査対象の10代から60代まで全年代を通してスマホの普及率が上昇傾向にあることが確認された(表1)。
また年々、使用頻度も使用時間も増加傾向にあり。2016年の1日平均利用時間は「約70分」(表2)。24時間のうち1時間はスマホを見ている計算になる。もちろんこれは年代を問わず全ユーザー数に対する平均値なので、若年層はもっとスマホを利用している計算になるだろう。
主な用途はSNS、インターネット、ゲームといった利用方法で、平均して小さな画面を長時間見ている、というよりは1日に何度も通知をチェックすることやソーシャルゲームのような短時間で集中してプレイを行うゲームの普及により、現代人は常時「スマホを持つ手元に目のピントが合い続ける」状態で、目を酷使する生活が浸透してきたと言えそうだ。
(表1)
(表2)
■新たな現代病、「スマホ老眼」とは?
このようなスマホの利用時間の増加、用途の変化に比例して、最近注目されるようになったのが「スマホ老眼」という現象だ。本来、「老眼」は加齢により水晶体の弾力がなくなる40代前後から近くのものに対するピントが合いにくくなる、遠くから近くのものにピントを合わせるのに時間がかかる、といった症状である。
しかし、20代〜30代の年代層でも、目を酷使することにより「老眼のように近くのものが見づらくなる」現象、「若年性老眼」が確認されている。早い人では10代でも似たような症状を訴えることもあるという。加齢性の老眼と違い、水晶体の弾力ではなく、水晶体を伸縮させる毛様体筋の緊張が原因と考えられているので、緊張を緩めることができれば症状の軽減は可能であるとも考えられている。
(ただし、スマホが普及・浸透し始めてから歴史が浅く、テレビやPC、デジタル家電などの他にも目を酷使する要因も現代では広まっていることも手伝って、スマホだけの因果関係を立証できるエビデンスがあるとは言い切れない。とはいえ、スマホを利用することが一因を担っているのは明らかである)
■若年層向けサイトこそ、文字サイズの可変が必要ではないか?
そんな「若年性老眼」を気にしつつもスマホを手放せない年代層にとってこそ、視認性に配慮したサイト構築は離脱率の低い、定期的にチェックされるサイトの一つの要因にはならないだろうか。
もちろんスマホの機能などで標準表示の文字サイズそのものを、大きく変化させることは可能ではある。とはいえ、これでは常時文字が大きくなってしまう。もちろんスワイプで一部分を拡大表示することは可能だが、そのような状態で例えばニュースサイトを閲覧することは現実的ではない。
上記画像はXperiaZ4 (SO-03G)の中サイズと特大サイズの比較画面である。中サイズ設定のアイコン表記は14〜16px程度、特大サイズ設定で28〜32px程度に設定されていると推測できる。また、特大サイズ設定にて一般的な見出しサイズを確認した場合は48〜50px程度で表示されるようである。
この設定でいくつかのニュースサイト、ニュースアプリなどを閲覧すると、確かにタイトルは1.5倍程度の大きな文字に自動変更されるものの、本文はアプリやサイト側の仕様が優先されるケースが多く、フォントの倍率が変わった場合にはレイアウトの崩れができてしまった。
(なお、サイト側の設定は標準表示のフォントサイズを14〜16px程度に設定しているケースが大半である。)
これでは、スマホで文字サイズを変更できるメリットが少ないように感じる。中サイズ程度から、特大サイズのどのサイズで表示しても、表示崩れの少ないデザインを念頭に置くことが必要不可欠であり、欲をいえばCSSなどによる表示フォントサイズの切り替えを行うことで、ユーザーに優しいサイトの構築を心がける必要があるのではないだろうか。
もちろんフォント自体の視認性も無関係とはいえない。Android端末はメーカーが独自のフォントを導入しており、ユーザーが自分でフォントをダウンロードする可能性もPCと比較すると格段に高い傾向にある。とはいえ、iPhoneの標準フォントであるヒラギノ角ゴやヒラギノ明朝体、Android4.0以降のモトヤフォントである程度レイアウトの可変性を考慮することは有益であると言えそうだ。
近年、新たな現代病とも言われる「スマホ老眼」という言葉を耳にする機会が増えてきた。若年性老眼ともいえるこの症状は、デジタル家電の普及、特にスマートフォン・タブレットの一般化が一因として考えられている。この状況を鑑み、デザインにも変化を持たせる必要性が出てきたのではないだろうかと考える。
■スマホの普及率・利用時間の増加の現状
総務省が発表した「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 調査趣旨・概要統計」によると、2014年から2016年にかけて、調査対象の10代から60代まで全年代を通してスマホの普及率が上昇傾向にあることが確認された(表1)。
主な用途はSNS、インターネット、ゲームといった利用方法で、平均して小さな画面を長時間見ている、というよりは1日に何度も通知をチェックすることやソーシャルゲームのような短時間で集中してプレイを行うゲームの普及により、現代人は常時「スマホを持つ手元に目のピントが合い続ける」状態で、目を酷使する生活が浸透してきたと言えそうだ。
(表1)
(表2)
■新たな現代病、「スマホ老眼」とは?
このようなスマホの利用時間の増加、用途の変化に比例して、最近注目されるようになったのが「スマホ老眼」という現象だ。本来、「老眼」は加齢により水晶体の弾力がなくなる40代前後から近くのものに対するピントが合いにくくなる、遠くから近くのものにピントを合わせるのに時間がかかる、といった症状である。
しかし、20代〜30代の年代層でも、目を酷使することにより「老眼のように近くのものが見づらくなる」現象、「若年性老眼」が確認されている。早い人では10代でも似たような症状を訴えることもあるという。加齢性の老眼と違い、水晶体の弾力ではなく、水晶体を伸縮させる毛様体筋の緊張が原因と考えられているので、緊張を緩めることができれば症状の軽減は可能であるとも考えられている。
(ただし、スマホが普及・浸透し始めてから歴史が浅く、テレビやPC、デジタル家電などの他にも目を酷使する要因も現代では広まっていることも手伝って、スマホだけの因果関係を立証できるエビデンスがあるとは言い切れない。とはいえ、スマホを利用することが一因を担っているのは明らかである)
■若年層向けサイトこそ、文字サイズの可変が必要ではないか?
そんな「若年性老眼」を気にしつつもスマホを手放せない年代層にとってこそ、視認性に配慮したサイト構築は離脱率の低い、定期的にチェックされるサイトの一つの要因にはならないだろうか。
もちろんスマホの機能などで標準表示の文字サイズそのものを、大きく変化させることは可能ではある。とはいえ、これでは常時文字が大きくなってしまう。もちろんスワイプで一部分を拡大表示することは可能だが、そのような状態で例えばニュースサイトを閲覧することは現実的ではない。
上記画像はXperiaZ4 (SO-03G)の中サイズと特大サイズの比較画面である。中サイズ設定のアイコン表記は14〜16px程度、特大サイズ設定で28〜32px程度に設定されていると推測できる。また、特大サイズ設定にて一般的な見出しサイズを確認した場合は48〜50px程度で表示されるようである。
この設定でいくつかのニュースサイト、ニュースアプリなどを閲覧すると、確かにタイトルは1.5倍程度の大きな文字に自動変更されるものの、本文はアプリやサイト側の仕様が優先されるケースが多く、フォントの倍率が変わった場合にはレイアウトの崩れができてしまった。
(なお、サイト側の設定は標準表示のフォントサイズを14〜16px程度に設定しているケースが大半である。)
これでは、スマホで文字サイズを変更できるメリットが少ないように感じる。中サイズ程度から、特大サイズのどのサイズで表示しても、表示崩れの少ないデザインを念頭に置くことが必要不可欠であり、欲をいえばCSSなどによる表示フォントサイズの切り替えを行うことで、ユーザーに優しいサイトの構築を心がける必要があるのではないだろうか。
もちろんフォント自体の視認性も無関係とはいえない。Android端末はメーカーが独自のフォントを導入しており、ユーザーが自分でフォントをダウンロードする可能性もPCと比較すると格段に高い傾向にある。とはいえ、iPhoneの標準フォントであるヒラギノ角ゴやヒラギノ明朝体、Android4.0以降のモトヤフォントである程度レイアウトの可変性を考慮することは有益であると言えそうだ。