「臆病だし、弱いし、何かにすがりたい」―― 斎藤 工が明かす胸の内
身長184センチ。肉体美。甘い低音ボイス。ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)で注目されて以降、“艶のある俳優”として世の女性を虜にする俳優の斎藤 工。同名人気コミックの実写映画『高台家の人々』では、人の心が読める“テレパス”のイケメンエリートを演じる。この“まさに王子様!”な役柄も違和感なくハマるが、斎藤本人は至って冷静。「こういう役を頂けるのは最後だなと思う」と落ち着いた口調で語り出した。
撮影/平岩 亨 取材・文/新田理恵 制作/iD inc.
――斎藤さん演じる光正(みつまさ)は、“理想の王子様”的な男性ですが、演じられた感想は?
これまでもこういう役をよくやっていたイメージがあると言われるのですが、自分の経験のなかでは、実はほとんどないんですよ。殺すか、殺されるか、不貞に走るかみたいな三択でやってきた感じなので(笑)、すごく貴重な経験になるなとは思っていました。
――言われてみればそうですね…。では、これまでにない経験をするチャンスだったんですね。
いい機会をもらったとは思いました。少女マンガを映画で実写にするフォーマットがここ数年確立されつつあって、それがひとつの日本映画のジャンルになっていると思うんです。その方程式の中がどうなっているんだろう? ということは、外から見ているだけではわからないものもあるので。映画が完成して公開に至るまでの宣伝の打ち出し方、関わり方も含めて、自分が普段立ち入れない領域のお仕事なんじゃないかなと。貴重な経験をさせてもらっています。
――光正は、綾瀬はるかさん演じる“妄想”が趣味のOL・木絵と付き合い始めますが、木絵と一緒にいたいと思った彼の気持ちをどう分析しますか?
光正は決して余裕があるわけじゃなくて、諦めていたんですよね、すべてにおいて。(人の心が読めてしまうがゆえに)能面のような生活を送っているなかで、彩りをくれたのが木絵さんだった。彼女に出会えたことは奇跡なんだけど、彼女を失ってしまったらどういう人生が待っているのかも、光正はわかっている。強みじゃなくて、弱みの意味で、「木絵しかいない」と思ったんじゃないかなと解釈しました。
――地位も、お金も、何でも持っているように見えて、実は……。
一番大事なものがないんですよ、彼には。だから「彼女を逃したら二度とこんなふうに自分の内側に“色”が宿ることはないんじゃないかな?」 という、ラストチャンス感があるんです。
――この作品に参加して楽しかったエピソードを教えてください。
イタリアの映画祭(ウディネ・ファーイースト映画祭)に参加して、現地で上映を観たのですが、海外の人から見たら「この役者は普段どんな役者か」というイメージは関係なくて、良いか悪いかだけ。それが、僕らの基準であるべきだなと思いました。
――過去の作品で演じた役柄のイメージを引きずって見てしまうところがありますよね…。
やっぱり役者って、一度演じたことのあるような役は演じたくないんですよ。少し不安でも、新しいエッセンスを自分で抽出しながら役に挑みたいという想いが強くある。そういう意味でも、僕は“ここの球種”を投げたことがなかったので、非常に新鮮な気持ちで役に臨ませてもらいました。そして、こういう役をやるのは、これが最後だなと思いました。
――個性豊かな共演者がそろっていますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
皆さん非常に華やかな人たちなんですけど、自分の空間というか、ゾーンを持っている人たちだなと。役者さんは、そうでなきゃいけないと思うんですけど、僕自身はどちらかというと雰囲気で見せかけているだけで、実際はふにゃふにゃしているんです。なので、みなさんの作り出す世界をまぶしく見ていました。
――いろいろな映画の現場を経験されてきたと思いますが、今回のようなメジャーな作品との違いを感じた点はありましたか?
違いはやっぱりケータリングですね。(予算の差が)如実に出るんです。たとえば西村(喜廣)組の現場では、飲み物のボトルに「麦茶」って書いてあるんですけど、色が心なしかついてない(笑)。しかも、ミネラルウォーターでもなさそうな…。
――それはスゴイですね…。
『ヘルドライバー』って作品を撮っていたときだったんですけど、そのボトルも空になり、ちょうど雨が降ってきたので雨水を飲んだ思い出があります(笑)。今回のケータリングはすごく色とりどりで、まず、構えから違うというか、料理が置いてあるテーブルから違うんですよ。びっくりしました。
撮影/平岩 亨 取材・文/新田理恵 制作/iD inc.
雨水を飲んだ現場も…!? ケータリングの差に驚き
――斎藤さん演じる光正(みつまさ)は、“理想の王子様”的な男性ですが、演じられた感想は?
これまでもこういう役をよくやっていたイメージがあると言われるのですが、自分の経験のなかでは、実はほとんどないんですよ。殺すか、殺されるか、不貞に走るかみたいな三択でやってきた感じなので(笑)、すごく貴重な経験になるなとは思っていました。
――言われてみればそうですね…。では、これまでにない経験をするチャンスだったんですね。
いい機会をもらったとは思いました。少女マンガを映画で実写にするフォーマットがここ数年確立されつつあって、それがひとつの日本映画のジャンルになっていると思うんです。その方程式の中がどうなっているんだろう? ということは、外から見ているだけではわからないものもあるので。映画が完成して公開に至るまでの宣伝の打ち出し方、関わり方も含めて、自分が普段立ち入れない領域のお仕事なんじゃないかなと。貴重な経験をさせてもらっています。
――光正は、綾瀬はるかさん演じる“妄想”が趣味のOL・木絵と付き合い始めますが、木絵と一緒にいたいと思った彼の気持ちをどう分析しますか?
光正は決して余裕があるわけじゃなくて、諦めていたんですよね、すべてにおいて。(人の心が読めてしまうがゆえに)能面のような生活を送っているなかで、彩りをくれたのが木絵さんだった。彼女に出会えたことは奇跡なんだけど、彼女を失ってしまったらどういう人生が待っているのかも、光正はわかっている。強みじゃなくて、弱みの意味で、「木絵しかいない」と思ったんじゃないかなと解釈しました。
――地位も、お金も、何でも持っているように見えて、実は……。
一番大事なものがないんですよ、彼には。だから「彼女を逃したら二度とこんなふうに自分の内側に“色”が宿ることはないんじゃないかな?」 という、ラストチャンス感があるんです。
――この作品に参加して楽しかったエピソードを教えてください。
イタリアの映画祭(ウディネ・ファーイースト映画祭)に参加して、現地で上映を観たのですが、海外の人から見たら「この役者は普段どんな役者か」というイメージは関係なくて、良いか悪いかだけ。それが、僕らの基準であるべきだなと思いました。
――過去の作品で演じた役柄のイメージを引きずって見てしまうところがありますよね…。
やっぱり役者って、一度演じたことのあるような役は演じたくないんですよ。少し不安でも、新しいエッセンスを自分で抽出しながら役に挑みたいという想いが強くある。そういう意味でも、僕は“ここの球種”を投げたことがなかったので、非常に新鮮な気持ちで役に臨ませてもらいました。そして、こういう役をやるのは、これが最後だなと思いました。
――個性豊かな共演者がそろっていますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
皆さん非常に華やかな人たちなんですけど、自分の空間というか、ゾーンを持っている人たちだなと。役者さんは、そうでなきゃいけないと思うんですけど、僕自身はどちらかというと雰囲気で見せかけているだけで、実際はふにゃふにゃしているんです。なので、みなさんの作り出す世界をまぶしく見ていました。
――いろいろな映画の現場を経験されてきたと思いますが、今回のようなメジャーな作品との違いを感じた点はありましたか?
違いはやっぱりケータリングですね。(予算の差が)如実に出るんです。たとえば西村(喜廣)組の現場では、飲み物のボトルに「麦茶」って書いてあるんですけど、色が心なしかついてない(笑)。しかも、ミネラルウォーターでもなさそうな…。
――それはスゴイですね…。
『ヘルドライバー』って作品を撮っていたときだったんですけど、そのボトルも空になり、ちょうど雨が降ってきたので雨水を飲んだ思い出があります(笑)。今回のケータリングはすごく色とりどりで、まず、構えから違うというか、料理が置いてあるテーブルから違うんですよ。びっくりしました。