辛らつな言葉がダイレクトに届くSNS時代



――この映画にはSNS社会が投影されていると感じているそうですね。

人の本音って無責任ですよね。僕もそうですが、非常に無責任に、他人に対して乱雑な感想を持ったりする。僕らみたいな仕事をしている人間には、人の心の声というか、辛らつな言葉が少なからず届いてくるんです。こっちは名乗っているけど、向こうは匿名だし。やっぱり知らなくていいことのほうが多いです。



――相手にしなきゃいいとは思いつつも…?

そういう理論ではあるんですけど、やっぱり人間なので、そこに真実があったりするんですよ。トゲを感じるということは、何かに共感しているところがあるのかなと。

――人の心が読める光正と重なる部分がありますね。

(テレパスで)人の心の声を受け取ってしまう光正という役と、今この時代に自分が公人であるということが、非常に近いなと。原作はファンタジーに見えますけど、僕は到底ファンタジーには思えなかったんです。光正が背負っている十字架は、今僕らが抱えているものと非常に近いなと思います。



――この時代において、『高台家の人々』にはどんなメッセージ性があると感じますか?

とはいえ、そんな深い部分のアンチテーゼがどうとか言う作品ではないところが、僕はすごく好きです。後味も含めて、軽やかなエンターテインメントというのは、意外と個数がないんです。

――と、言いますと?

実は今日から大分に行ってくるのですが(※取材を行ったのは5月中旬)、別府のブルーバード劇場っていう老舗の映画館と連動して、移動映画館をやっていて。九州で地震があって間もないので、一度は延期を決めたんですけど、「風評被害で観光客が来ない」という現地の方々の声を聞いて、映画で何かできないかと思って行くことにしました。



――この状況だからこそエンターテインメントが求められる、と?

東日本大震災のときもそうでしたけど、モノ作りに携わる人たちの価値が問われるというか。シンプルなエンターテインメント、映画の娯楽性が問われる。そういう意味では、この映画はすごく軽やかで、ポジティブなエネルギーが強いので、きっと楽しんでいただけると思います。

「安堵する」ことが、この仕事におけるガンだと思う





――人の心が読める光正のように、斎藤さんの脳内が見えるとしたら、お仕事とプライベートの比率はどんな具合になっているのでしょうか?

僕らの仕事は、準備する仕事なので、プライベートの時間のほうが仕事にまつわる時間だったりするんです。準備をしておいて、仕事の時間にいかに「仕事」という意識をなくすかということ。「仕事しています!」となると、いつでも同じフォーマットになってしまうのでイヤなんです。もうちょっと水物だと思うし、正攻法があるようでないような仕事なので。



――撮影までに、どれだけ準備できるかどうか…?

「信用しない」ってことですかね、何かを。こうすればこうなるっていうものがないんです、スポーツと違って。だから、仕事で使う筋肉がどこなのかというのは、フタをあけてみないとわからなかったりします。この筋肉を使うんじゃないかな? と予測して、日常で鍛えるという感じですかね。間違った筋トレをしていることもあるんですけど。

――そして現場に行くと、一旦そういう準備は忘れる、と?

忘れなきゃいけないと思いますね。「これだけのものをやってきたんだ!」というのを背負って行って、良かった試しがないんです(笑)。受験勉強みたいに蓄積したものの答え合わせではないので。これが正解だよねっていうことを意識したくないなというのがあるんですかね。…自分は堅い人間だと思うんですよ、本質が。

――追い込み方が真面目ですよね。

真面目というか、臆病だし、弱いし、何かにすがりたいんだと思うんですよね。びびりなんです。だから、あえて不安なほうにもっていくというか、この仕事をする上で、安心し過ぎることにメリットを感じないんですよ。不安だけど、さっきも言ったように過去に経験があるものの二巡目は必要ないというか。安堵することが、この仕事のガンだと思います。



――なるほど…。ではプライベートにおける“準備”以外の時間について伺いたいのですが、今ハマっているものはありますか?

ハマらないんですよね…。ハマりたいですけど。うーん、なんだろう? 家でお風呂に入らない、とかですかね。

――えっ!?

銭湯とかプールに行って、風呂にまつわるガス代、水道代を使わないっていう。

――あえて?(笑)

あえて(笑)。すると、なんか僕の中で嬉しいんですよね。「めっちゃ久しぶりにお風呂沸かしてる」みたいな(笑)。

――ずっと沸かさないわけじゃなくて、たまに使うと嬉しいという…。

そうそう。「しばらく使ってなかったな。今月、ガス代ちょっと安いかも」みたいなところに、小さな喜びを感じています。



【プロフィール】
斎藤 工(さいとう・たくみ)/1981年8月22日生まれ。東京都出身。A型。高校時代から『MEN'S NON-NO』などでモデルとして活躍。2001年『時の香り〜リメンバー・ミー〜』のプロデューサーにスカウトされ、主演で俳優デビューを果たす。以降、出演作は、主演を務めた『春琴抄』(08)、『カフェ・ソウル』(09)をはじめ、『愛と誠』(12)、『虎影』(15)などの映画や、フジテレビ系ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(14)など多数。2012年にはショートムービー『サクライロ』で監督デビューも果たす。今年の公開作は『団地』(6月4日公開)、『全員片思い』(7月2日公開)、『シン・ゴジラ』(7月29日公開)、『種まく旅人〜夢のつぎ木〜』(秋公開)等、十作以上。

■映画『高台家の人々』
6月4日(土)全国ロードショー!
公式サイト:http://koudaike-movie.jp/

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