広島・前田健太【写真:編集部】

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前田獲得は「チームに貴重なチャンス」も「肘の故障の不安」指摘

 広島からポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャー移籍を希望している前田健太投手に対して、米国内での注目度がさらに高まっている。今オフ目玉の1人だったデビッド・プライス(ブルージェイズからFA)のレッドソックス加入が決まったことで、先発投手の市場が活発に動き出しそうだ。

 MLB公式サイトでは「プライスの契約がグリンキーや他の投手のいい前兆になる」と題した特集を掲載。プライスがレッドソックスと7年総額2億1700万ドル(約266億7000万円)の超大型契約を結んだことを受け、FA市場のもう1人の目玉であるザック・グリンキー、そして実績十分のジョニー・クエトと大物投手の現状を項目別に分析した後、それに続く3番目という破格の扱いで前田を取り上げている。

 記事では、まず前田の状況について説明。「マエダは現状では広島に所属する日本球界のスターであり、MLB移籍に向けてのポスティングはまだされていないが、おそらくポスティングは実現すると考えられている」としている。

 さらに「27歳のマエダの獲得は、FA市場で投手の補強を目指すチームにとって、全盛期の投手をチームに迎えることができるという貴重なチャンスとなるであろう」と獲得のメリットについて言及。プライスが30歳、グリンキーが32歳、クエトが来年2月に30歳になることを考えると、日本球界で確固たる地位を築いているにもかかわらず、まだ27歳という右腕の若さは魅力の1つとなっているようだ。

 さらに、日本球界で通算防御率2.39、WHIP(1イニングあたりのヒット+四死球)1.048といった優秀な成績を残していることも紹介。好投手であることを印象付けている。

 ただ、記事では日本人投手に共通する懸念材料も指摘。「近年、MLBに移籍したユウ・ダルビッシュやマサヒロ・タナカのように、マエダもMLBのレベルでも順調な滑りだしを見せると考えられる」としながら「移籍にともない肘の故障の不安が発生するかもしれない」と分析している。

争奪戦の中心はDバックス? グリンキーはナ・リーグ西地区の名門同士の一騎打ちに

 日本人投手は渡米後、肘の故障に見舞われるケースが多く、靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)で1年以上の離脱を余儀なくされる場合もある。ただ、米球界全体でも肘の手術増加は問題となっており、日本人投手に限った懸念材料ではないというのも事実だ。

 広島が前田のポスティング利用を容認すれば、複数球団による争奪戦になると予想されている。ただ、記事では「マエダの獲得にはダイヤモンドバックスが積極的な姿勢をみせており、デイヴ・スチュワートGMは前田の動向を注意深く観察している」と指摘。これまでも“本命”と見られてきたダイヤモンドバックスを中心に争奪戦が展開されることになりそうだ。

 また、プライスの契約が決まり、現在最も注目を浴びているグリンキーについては「ジャイアンツとドジャースのどちらかのチームが有力視されている」と現状を説明。すでにドジャースで圧倒的な成績を残していることを指摘しつつ「観客動員など収入面が好調なジャイアンツもグリンキー獲得に充分な予算を確保している」と、マネーゲームでは互角であると見ている。

 さらに、ダイヤモンドバックスのオファーを1度断ったと報じられたクエトは、レッズで実績を残していることから、ナ・リーグ球団との契約が有力と予想。グリンキーの契約が決まった後、争奪戦に敗れた球団が獲得に動くとして「予算があり、先発のランス・リンが(来季は)シーズン全休と報じられているカージナルスも移籍の有力候補」と予想している。

 その他、ホワイトソックスからFAとなったジェフ・サマージャについては、古巣カブスなどが獲得に興味を示していると伝えている。

 実績のある先発投手が市場に豊富な中、高い評価、そして注目を集めている前田。ポスティングによるメジャー移籍が認められるのを、MLB球団は今か今かと待っている。