全道中にテレビとラジオで生中継される決勝は今年も好勝負!

札幌第一が全道199チームの頂点に!

 1対1で迎えた8回裏、札幌第一は二死一、三塁のチャンスからエースで主将の8番・上出拓真(3年)が二遊間を抜ける決勝タイムリー。投げても北海道栄を3安打1失点(自責点0)に抑え、札幌第一が5度目の挑戦で初の全道チャンピオンに輝いた。

 「嬉しいです。打者一人一人の負けない気持ちで投げました。(8回のタイムリーは)直球が来たら振ると決めていた。芯で捕えたので抜けたと確信しました」とエースで主将はお立ち台で嬉しそうに話した。

1回からチャンスを作っていた札幌第一だったが、北海道栄のエース・金澤祐汰(2年)から得点に繋がる一本が打てない。さらに守備のミスで1回に失点。前日の準決勝で【スミ1完封】をやっていただけに、今度は逆にやられるのではないかと感じるもどかしい流れだった。

 それでも流れを完全に相手に渡さなかったのは、上出のピッチングに尽きる。1点を与えた直後の2回は三者三振。3回に初安打を浴びても、牽制で走者を刺した。バックも2回以降は無失策。ポジショニングも冴え、ピンチになってもエースを盛り立てる守備を見せた。

 そして6回裏。一死一、二塁で打席に立った上出に幸運が訪れる。1球目が相手のバッテリーミス(暴投)となり、二人の走者がそれぞれ進塁。さらに相手守備陣が極端なバックホームシフトを敷かなかったため、上出がショートゴロを放った間に三塁走者の銭目悠之介(2年)が同点のホームを踏んだ。

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優勝旗授与 上出拓真主将(札幌第一)

 結局攻撃した8イニング中7イニングで先頭打者が出塁したが、追いついてしまえば後攻めの利点もあり、もどかしさは消える。8回、上出の放った決勝打は低めの直球で打者にとっては難しいコースだった。もどかしさが残っていたならば、ヒットにはならなかったかもしれない。勝負のアヤと感じる一打であった。

 一方、敗れた北海道栄は上出の前の打者である7番・佐藤眞那人(1年)への二つの四球が悔やまれる。特に6回の同点になる前は追い込んでいただけに、もったいないと思える四球だった。ただ準決勝で温存でき、中3日と休養十分の条件を与えてもらった金澤のピッチングは見事。決勝に関しては、ほんの少しだけ勝ち運がなかっただけと言えるだろう。

 北海道栄の選手は、勝者インタビューが球場内に響く後ろで、ベンチで悔し涙に暮れていた。毎年見られる秋の北海道決勝の光景である。ただ渡辺伸一監督がすぐにミーティングをすると、選手の表情は引き締まった。今夏南北海道代表の北海も、昨秋は決勝で敗れている。この日の旭川での涙を来夏札幌円山で喜びに変えるべく練習を積んでほしい。

 さて、全道199チームの頂点に立った札幌第一。「もう一度守備を鍛えて、現時点での自分達の力を知りたい」と上出主将は出場が決まった秋の日本一決定戦である11月の明治神宮大会を見据えた。

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