明徳義塾vs高知商
2回表明徳義塾二死満塁から大会第3号グランドスラムの2番・西村 舜（左翼手・2年）
少し昔の表現を使えば「持ってる」の一言に尽きる。2回表・二死満塁から高知商先発・�盒� 大（2年・左投左打・170センチ67キロ・高知市立愛宕中出身）の真ん中低めに入ってくる113キロカーブを高々とレフトスタンドに運んだ明徳義塾2番・西村 舜（2年・左翼手・右投右打・170センチ63キロ・滋賀野洲ボーイズ出身）のことである。
青森山田（青森）では強肩強打で鳴らし、現在：富士重工に所属する4歳上の兄：西村 凌（捕手）譲りの勝負強さが持ち味の西村。夏の高知大会決勝戦・代打での大会初打席におけるインパクトはとりわけ強烈だった。
高知に5点差をひっくり返された5対6の場面。9回二死一・二塁で登場した西村は1ボール2ストライクと追い込まれながら、「外角高めの外し球だった」ハーフスピードのストレートを右中間へ。逆転三塁打は同時に明徳義塾を6年連続17度目の甲子園出場に導く決勝打となっている。
そして今回のグランドスラム。初回に先制こそならなかったが、2番・國澤 拓矢（2年・捕手・右投左打・169センチ73キロ・高知市立西部中出身）の右中間二塁打など一死一・三塁の好機を作り、連投の中野 恭聖（2年・右投右打・172センチ68キロ・えひめ西リトルシニア＜愛媛＞出身）攻略と、10年ぶり26度目の大会制覇への手ごたえをつかんでいた高知商にとっては、実に重い失点であった。
試合はこの貯金が最後まで活き、明徳義塾が4対1で勝利。3年連続18度目の大会制覇にも「ストレスのたまる試合だったわ」と開口一番の馬淵 史郎監督も、こと西村の話では「うまく打ってくれた。フリーバッティングでもよくホームランが出ていたからね」とえびす顔を見せる。
が、当の西村は全くホームランで天狗になる様子はない。「ホームランの後の打撃内容が悪かった。僕も含めてチーム内で修正していきたい」と語った後、さらに自らを戒めた。「この先があるので高飛車にならず、四国大会で頑張りたいです」。
2年連続秋の四国大会では準決勝で今治西（愛媛）の前に敗れている明徳義塾。「今年は優勝しないとアカン」指揮官の意思は、謙虚な「持っている男」にも十分伝わっている。
（文＝寺下 友徳）
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