初回の1点が勝負の分かれ目

3安打完封の上出拓真(札幌第一)

 札幌第一のエースで主将・上出拓真(2年)が駒大苫小牧打線を3安打に抑え完封。4年ぶりの決勝進出を果たした。

 144球を投じて完投した準々決勝の北照戦から中1日。上出自身は疲れは感じていなかった。立ち上がりこそはピンチを招いたが、3回以降はノーヒットピッチング。「直球が真ん中に集まってヒットにされた。コースをあらためて意識しました」と話すように、抜群の制球力と変化球を主体にするスタイルで駒大苫小牧打線を封じた。さらに味方守備陣の好プレーにも勇気づけられた。1回一死二塁の場面で駒大苫小牧の3番・若林楽人(2年)が放ったショートゴロで二塁走者の外石和也(2年)が三塁へ向かった。スタートが良く、打球を処理したショートの宮澤晃汰(1年)にとっては判断が難しいように思えたが、サード・岡優太(1年)の足元へ。『ここしかタッチアウトにできない』と言える見事な送球で外石をアウトにし、ピンチの芽を摘んだ。エースも「あれには助けられました」と満面の笑みを見せた。

 準決勝でも134球を投じ、蓄積疲労が心配される。だが残るは決勝のみ。「明日の1試合で終わるので全力で頑張りたい」とエースで主将は初優勝を掴み取る決意を語った。

 敗れた駒大苫小牧にとっては、1回の1点が最後まで重くのしかかった形だ。1回と2回のチャンスに計3回エンドランを仕掛けた佐々木孝介監督は、「(上出投手が)走られたくないというイメージがあったと思ったので、直球を多投してくるだろうと。それをしっかりと捕えてほしいなというのがありました」と意図を話した。ただ攻撃は生かせず、「それ以降変化球中心で投げてきて、それを叩けなかったのが敗因。1点の重みを選手にも感じてほしい」と悔しそうな表情を見せた。

 今大会初先発のエース・阿部 陽登(2年)は7回途中まで投げて7安打1失点と好投したが、その1失点のきっかけが初回先頭打者への四球だったことが悔やまれる。

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