【米国はこう見ている】岩隈久志の偉業を敵将&敵打者はどう見た? 「心理的に追い詰められた」
強力オリオールズ打線に偉業達成、強打者も脱帽「普通の1敗ではない」
日米通じて自身初のノーヒットノーランを達成したマリナーズの岩隈久志投手(34)について、敵将や敵打者からも称賛や脱帽するコメントが寄せられている。
日本人右腕は12日(日本時間13日)の本拠地オリオールズ戦で9回を投げ、7奪三振3四球で無失点。許したヒットはゼロで、チームを3−0の勝利に導いた。この日の試合について、相手側の地元紙「ボルティモア・サン」も特集記事を掲載。ア・リーグ東地区の強豪としては62年間の歴史で7度目の屈辱となったデータを紹介しており、2007年9月1日のレッドソックス戦でクレイ・バックホルツ投手に喫して以来の無安打無得点だったという。
これについて、強打者アダム・ジョーンズ外野手も記事の中で素直に負けを認めている。
「これは普通の1敗ではない。ノーヒッターの敗者側として歴史に名前を刻んだんだ。脱帽するしかない。イワクマは自分のピッチングをした。我々には強い当たりもあったが、相手の正面を突いたし、いい守備もあった。脱帽して、前に進もう。彼は多くのストライクを投げ込んだ。泣いても仕方がない」
相手先発投手は岩隈のノーヒットノーランに気付いていなかった!?
岩隈は打者29人に対し、初球ストライクは20回。オリオールズ打線も初球を狙ったというが、奏功しなかった。カウントを有利にして打者を次々と仕留めた。球数は116球だった。
同じく強打者のクリス・デービス内野手は「彼は本当にいいボールを投げていた。試合が終盤に進むに連れ、どんどん力強さを増していったね。スプリットは自由自在に動かしていた。2ストライクになると速球のスピードが上がった。ペースダウンしなかったね。もう、みんな見逃し続けるかと思ったよ。カウントを有利にして、どのバッターにも多くの球数を必要としなかった。何回四球があった? 3回か。儲け物だったのに」と白旗を上げている。
魔球スプリットについては「あれはいいものだ。ストライクかと思った瞬間に、落下していくんだ」とお手上げ状態だったようだ。
また、7回3失点とクオリティー・スタート(6回以上で自責3以内)のピッチングでゲームを作った相手先発の右腕ケビン・ガウスマンはノーヒットノーランに気付いていなかったという。
ショーウォルター監督「心理的に追い詰められ、彼に完璧な投球を許してしまった」
「何人か出塁していたから気が付かなかった。四球があったよね。一振りで試合を戻せたのに、それが大きかった。
降板して(スコアボードを)見上げると、もう8回か、まだヒット打ってないのか、という感じだった」
さらに名将バック・ショーウォルター監督は岩隈の良さについて制球力やスプリットを挙げ、「彼には失投がなかった。打者は2、3球で『おい、どうにかしないとまずいな』という状況に追い詰められる。そして、心理的に追い詰められ、彼に完璧な投球を許してしまった。打者がいろいろやろうとしすぎると、投手に有利に働くものだ」とコメントしている。
リーグ屈指の名将、そして並み居る強打者を屈服させた岩隈の偉業は意義深いものとなった。