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 昨シーズンで好調だったフランクフルト。選手の入れ替わりもあり、開幕に向けてしっかりと準備ができなかったようである。よって、現在の順位は低い。しかし、徐々に内容が好転してきているので、今後は期待が持てそうである。本日はドルトムントをホームに迎えての試合である。

 ギュンドアンとピスチェクの復帰はまだまだのようで、ドルトムントはこのメンバーが不動となりつつある。バイエルンが引き分けたこともあって、この試合で勝てば、ポイントで差をつけて首位に立つことができる。そんな位置づけの試合である。

 ■どこかで観た試合

 序盤は、ドルトムントのペースで試合が進んでいった。ボールを保持するドルトムントの攻撃に、フランクフルトは4-4-2で臨んだ。フランクフルトの4-4-2はライン間の距離感が狭く保たれていたので、なかなか機能しそうな雰囲気を醸し出していた。

 ベンダーのボトムチェンジを合図に、ドルトムントの攻撃は加速していった。 

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 もう一つのパターンが、SHのロイス、クバが中央に侵入することによって、相手の中盤の守備の基準点を狂わせる形である。この形では中央渋滞が起きそうだが、フンメルス、ヌリ・サヒンと狭いスペースでもパスを通すことができる選手がいるので、あまり問題にならない。

 また、相手の前線の選手がドルトムントのCBを捨てて、中盤のスペースを消しにきたとしよう。そうなれば、ドルトムントのCBは運ぶドリブルで中盤のマークをはがしにかかる。または、レバンドフスキにロングボールを放り込んだり、相手の裏にボールを蹴っ飛ばして、SBに飛び出させたりすることができる。

 このようなドルトムントの攻撃に、さらに素早い攻守の切り替えから導き出されるショートカウンターによって、ドルトムントはあっさりと先制点を取ることに成功する。得点者はムヒタリアン。香川、ゲッツェの後釜として地味な仕事に徹していたが、この試合では見事に得点という形で結果を出すことに成功した。

 ドルトムントの攻撃を眺めていると、相手の守備陣系が整わないうちに攻撃を仕掛けることと、相手の守備陣系が整っているときに攻撃を仕掛けることの両方を行うことで、試合のテンポ、リズムを一定にしない狙いがあるのかなと感じるた。ドルトムントの攻撃を加速させる秘密はバックパスからのダイレクト縦パスにありそうな予感である。

 このまま終われないフランクフルト。序盤はビルドアップからのドルトムントに正面衝突する場面が目立っていた。なので、徐々に相手の裏に放り込んで、ドルトムントの中盤の圧力を避けるようになっていった。なお、ドルトムントは高い位置からのプレッシングを基調としている。よって、全体のラインは高めに設定されているので、DFラインの裏は狙い目といえる。

 というわけで、放り込んでツートップが走りまくる、まれにショートパスで攻撃を仕掛けていくフランクフルトの攻撃に対して、ドルトムントは徐々に嫌な雰囲気になっていく。フランクフルトの放り込みはSHとFWのポジションチェンジ、SHの下りる動きでSBを釣りだして裏など執拗に行われた。

 このようなロングボールの繰り返しによって、ドルトムントのCBは仕事量が増していき、そうなれば、DFラインも下がっていくものである。そうなれば、全体の距離感が曖昧になり、プレッシングも連動しなくなっていく。このような繰り返しによるフランクフルトの攻撃によって、試合の流れは徐々にフランクフルトに傾いていく。

 そして、乾の仕掛けから同点ゴールが生まれる。フンメルスがDFラインを乱した形になり、最後はカドレツが押し込んでフランクフルトが同点ゴールを決める。カドレツとローゼンタールのとにかく走りまくり、競り合いも厭わない姿勢がドルトムントのCBコンビを苦しめたのは言うまでもない。

 後半の頭からフンメルス→ソクラティス。フンメルスはイエローをもらっていたこと&クリアーか繋ぐかの判断でピンチを招いたことによって、交代になったのだろう。なお、交代で出場したソクラティスは足が速いので、裏を取られても何とかなっていた。

 最後の部分を修正したドルトムントの前に、フランクフルトは自分たちの時間を維持することはできたのだけど、流れの中からフィニッシュに繋がらなくなってしまう。残念そこはソクラティス。そして、ドルトムントに反撃をくらい、最後はまたしてもムヒタリアン。ミドルシュートが炸裂し、ドルトムントがリードする展開となる。

 フランクフルトはコーナーキックから決定機を掴んでいくが、どうしてもゴールにシュートが飛ばず。ロングボールとショートパスを織り交ぜて自分たちの試合を作っていったが、最後の最後がどうにも崩せそうもない。ただし、ドルトムントに決定機を与えることなく試合を展開していった。よって、最後にはクロップに守備固めの采配をさせた。それでも、結果が出なければ意味が無いかもしれないが。

 というわけで、試合はそのまま終了。CLの決勝戦を思い出させるようなフランクフルトのドルトムント対策であったが、ロッベリーがいないので、最後を突き崩せなかったというところだろうか。ドルトムント対策でロングボールを相手のSBの裏に蹴り、CBとを引き出してのバトルを延々と繰り返すことで、ドルトムントにダメージを与えていくやり方は流行るかもしれない。

 ■独り言

 乾は元気だった。グロスクロイツに裏を取られて、SBの選手に怒られていたが。SBのスペースを確保したり、曖昧なポジショニングでボールを受けたりと、らしさを発揮していた。あとは、仕掛けの部分で安定的にパフォーマンスを発揮できれば、引き抜かれるレベルになるのではないかと思う。

 ムヒタリアンが結果を出したのが嬉しかった。レバンドフスキが少し元気ないように見えたのが気のせいだったらOK。ここで代表ウィークだが、みんな試合があるだろうで、どのような状態で帰ってくるのかが少し心配である。