J1のクラブとJFLのクラブの対戦。格上の柏レイソルに対し、横河武蔵野FCは「5−3−1−1」という守備的な布陣で戦い、スコア「1−0」で柏レイソルが勝利した試合でした。柏レイソルの得点を取った田中順也のゴールが、先日のチェルシー対モンテレイ戦のマタのゴールに似ていたなぁ、という事はさて置き、この試合で気になったのは両チームの決定力の低さでした。スコアは「1−0」でしたが、両チームが作ったチャンスは少なくありませんでした。

かつては、日本代表と言えば決定力不足が持病のような感じでしたが、最近ではあまり言われなくなりました。しかし、決定力不足の克服傾向は、主に欧州で活躍しているような一部のトップ選手たちには見られていても、まだまだ国内でプレーしている選手たちには見られていないように感じます。ちなみに、個人的に考えている決定力とは、得点の多い少ないではなく、また、シュート数に対する得点数の割合でもなく、いかに決定的な場面で得点を決められるのか、という事ですね。

この試合、柏レイソルには2点や3点を取って勝てる可能性がありましたし、また、横河武蔵野FCにも同点に追い付けるチャンスが2回もしくは3回ぐらいはありました。そして、試合結果を決定付けたのは田中順也の1得点でした。横河武蔵野FCに関しては、JFLのクラブだから・・・、と思うかもしれませんが、さりとてここまで勝ち残ってきたチームでもありますし、また、実際この試合でも柏レイソルとほぼ互角の戦いを見せた訳で、JFLのクラブだからと片付けてしまうのは違うように感じます。

では、その決定力不足の原因とは何であるのか? 1つには、シュートレンジの短さ。シュートレンジが短いために、シュートを撃つまでに1つ2つプレーの数を増やさなければならなくなり、それでチャンスを逸してしまう、という事。他にも、ミドルやロングのシュートを撃つためには大きなモーションが必要になり、それでチャンスを逸してしまう、という事もそうですね。アジアレベルの中においても、まだ、日本人選手のシュートレンジの短さ、というのは顕著で、ここは1つ解決しなければならない課題だと言えると思います。

おそらくは、意識の問題ではなくパワーやテクニックの問題で、ミドルレンジやロングレンジでも決められるパワーやテクニックに自信があるならば、日本人選手でもミドルレンジやロングレンジでのシュートが増えてくると思います。得点という事に対して、いかにゴール前で、いかにPA内で、という事も大切ですが、そこで勝負するのが厳しい場合もあるし、また、そこでの可能性を上げるためにも、つまり、ゴール前やPA内にスペースを作るためにも、ミドルレンジやロングレンジのシュートという事が必要になってきますよね。

シュートレンジが短いために、だからショートパスでアタッキングサードを崩す、という発想にも繋がってくるのだと思いますが、そろそろそれも限界に近づいているかなと感じます。もちろん、現在のバルセロナを最終地点とするならば、まだまだ先はあるとは思いますが、しかし、そこはあまりにも高い到達点であるように思います。それに、現在のバルセロナの選手であっても、パスだけではなくドリブルも長いレンジのシュートもある訳で、やはり少しショートパスからベクトルを変えないと、その目指すところのショートパスサッカーも行き詰ってしまうかなと思います。

そして、2つには、シュート感覚というのか、シュートに対する考え方というのか、あらゆる位置からのシュートを狙ったところへ蹴る、更には、GKの位置を瞬時に正確に把握して、そのGKが防げないであろうコースへ蹴る、その感覚や考え方の不足が日本人選手には多くあるような気がしています。ゴールの四隅を狙い、そこにあらゆる位置からのシュートを正確に蹴る、という事もそうですが、しかし、GKを外してしまえば何もゴールの四隅に蹴る必要は無くて、そのあたりの感覚や考え方の部分ですね。DFを外すところまでは考えていても、GKを外す事までは考えてシュートを撃っていないのではないか、そのように感じる事が多くあります。