2007年以降の「円高」傾向が変わる可能性

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14日に野田首相が衆議院を解散する意向を表明して以降、為替市場では円安基調が継続しています。

総選挙後に次期政権が日銀に金融緩和圧力を強めるとの思惑が拡がったことや、21日に発表された10月の貿易統計で、日本の貿易収支が同月としては過去最大の赤字となったことなどが背景にあるとみられます。

こうした円安の進行などを受けて、2011年10月以降、70円台という円高水準にある「200日移動平均線」が、あと十数銭で80円台となることなどから、市場では、これまでの円高傾向に変化が起き始めているとの見方が拡がっています。

移動平均線は、相場の基調が上下どちらに向かっているのかを判断するのに用いられており、中でも200日移動平均線は、中期的な相場の基調をつかむ手掛かりとして使われています。

実際に、これまでの200日移動平均線の推移(下図)をみると、日々の動きとは別に、為替相場の大きな方向性が確認できるほか、同移動平均線が一旦上向き(下向き)始めると、相当長く、大きくなっていることがわかります。

今年2月の日銀の金融緩和などをきっかけに、200日移動平均線は既に緩やかに上向き始めていましたが、足もとで再び円安基調が強まる中、同移動平均線が超円高水準とみられる70円台から、80円台をうかがう展開となっており、2007年以降の「円高」傾向が変わる可能性が注目されています。

なお、為替相場は政局や貿易収支など様々な要因の影響などから変動していますが、日々の動きが200日移動平均線を形作っていることに加え、移動平均線による基調の変化に着目して投資を行なう投資家が多いことなどを考えると、同移動平均線が示す変化は、注目すべき変化といえそうです。

(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。

)(2012年11月30日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。

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