「草食男子」は仕事もできない ――このところ「負け犬」や「おひとりさま」などの言葉が出てきて、おふたりのように女性同士でツルむことを嫌う女性が増えている気がしますが。

辛酸 あ〜、どうでしょうね。私も独身というだけで、例えば雑誌の取材を受けると〈自称・負け組の辛酸なめ子さん〉とか〈この年まで独身ということは何か異常があるんでしょうか〉とか、勝手に書かれることがあるんですよね。

小島 それはヒドイ。

辛酸 自分では惨めだと思ってないんですけど、優越感に浸るためにそういうレッテルを貼る人が増えてるのかな、とは思いますね。

小島 いるいる。独身の女性もレッテルを貼られるのはうんざり。「勝ってるのは私のほうよ!」とか言い返すと、レッテルを貼る人たちと同じ土俵に上がることになる。

辛酸 そうですね。

小島 だから「いいかげん勝ちとか負けって考え方はやめようよ」というメッセージをうまく出すために、あえて相手の論法に乗って「はい負けてます、でも楽しいです」「はいひとりです、でも気楽だもん」と、戦い方そのものを変えて自己主張している女性が増えているってことだと思う。

辛酸 その一方で「草食男子」も増えていますけど、草食男子という言葉に自分を勝手に当てはめて、そこに逃げているだけって気がしますけどね。

小島 これも“生まれながらの特権を競い合っている人”と同じですよね。そこにあるのは待ちの姿勢。

辛酸 自分から告白して断られて、傷つきたくない。

小島 そうそう。

辛酸 それがイヤなんてムシがいい話ですよね。

小島 一緒に仕事をしている男性を見ても“待ちの姿勢”の人は、仕事もあまりできないですもん。恥をかかなきゃ恋愛も仕事もできないから。恥をかくことを格好悪いと思って、なるべく恥をかかない効率的な方法を探そうと思ったら、言われた仕事を言われたとおりにやるしかない。それでは、一緒に何か作りたいとは思わないですよ。

辛酸 昔の恋愛ドラマとか見返したほうがいいですよね。武田鉄矢とか。

小島 ボクは死にましぇ〜んって(笑)。

辛酸 ハハハハハ。それに今、恋愛率も下がってるんですよね。

――国立社会保障・人口問題研究所が18歳以上35歳未満の未婚者約7000人を 調査したところ、「交際している異性はいない」と答えた男性が61・4%、女性は49・5%だそうです。

小島 お金はかかるし、そのうえ傷つくって面倒なんでしょうね。

辛酸 この不景気に「おごらなきゃいけない」とか。

小島 ワリカンでいい。

辛酸 私の周りには、貧乏男性が多いので、私が出してもいいぐらいの気持ちですけどね(笑)