今年は“齢の差結婚”が話題になった年だった。
 6月下旬には加藤茶(68)が社長秘書でモデル経験もある23年下の女性と、8月には堺正章(65)が22歳年下の一般女性と、さらに9月には、小林薫(60)が女優の小梅(38)と2年前に結婚していたことが発覚している。そんな、親子ほど年上の男性と結婚する女性たち。優しくて包容力のある男性を齢の差を超えて伴侶に選ぶ時代なのだが、今年は特に、東日本大震災を経た、女性のメンタリティーの変化を指摘する向きもある。
 「女性は自然の大災害や社会的パニックが起こると、卵巣ホルモンの働きが活発になると考えられています。自分の子孫を後世に確実に伝え残そうとする遺伝子本能なのでしょう」

 こう語るのは、動物人間学者の春江次郎氏である。男女とも晩婚化が進むなか、春江氏の指摘するように大震災以降、めでたくゴールインする“震災婚”カップルも増えている。
 春江氏が続ける。
 「想像を絶する巨大津波が街を飲み込む映像を毎日のようにテレビで見せられた独り身の女性たちは、『自分もこんな状況になったら』『誰のそばにいれば安心か』『どの男性なら自分を救ってくれるか』と考えます。ある公的調査によると、独身女性(18〜34歳)で恋人なしという人は57.6%もいる。つまり、『そばにいれば安心な男』や『命がけで守ってくれる男』が親兄弟以外2人に1人しかいないわけですから、結婚願望が急激に強まったと考えられます」

 また春江氏は「安心な男」「守ってくれる男」を求めるようになっただけではなく、あの巨大津波の映像によって人生観がある意味で刹那主義にマインド・チェンジしたようだという。
 「女性は過去を引きずって生きる男と違って、“今”と“将来”を見つめて生きる動物です。しかし、将来が不確かなことを大震災で強烈に知って、今を充実させ大切に生きようと考えるようになったのです」(同)

 そんなとき、幾多の苦難を乗り越え、激動の昭和を生きて抜いてきた独り身の60代男性(以下、60男)が近くにいたらどうだろうか。
 彼らは様々な分野で垢抜けしている。
 「60男は昭和中期の青年期に、音楽やファッション、いろいろな遊びのジャンルで若者文化を創り上げた、いわば行動派です。男らしくてユーモアのセンスもあります。何といっても、ざっくばらんで女性に思いきり優しい。こうした60男の良さを知った独身女性たちが、心と体の“用心棒”として、同じ屋根の下で暮らしたいと思うことは、とても自然なことだと思いますね」(同)

 まずは、過去に66歳の男性と交際していたバツイチのS子さん(34)の告白を聞こう。
 「とにかく、その男性は優しい。普段もだけど、エッチのときはさらに優しくなるの。1時間のエッチで、55分は私だけを気持ちよくさせてくれる。彼は5分もあれば十分な射精が得られるっていうのよ」
 さらにS子さんは感慨深げに語るのだ。
 「そんなに尽くしてくれる男性は初めてだったから嬉しかったわ。2年間付き合って、事情があって別れたけど、別れたくない男性のナンバーワンでした」

 逞しく、ユーモアがあってベッドでも満足させる。女性にとっては手放したくない存在だというのである。
 ちなみに、60〜69歳の男性のセックス現役率は69%。50代の男性とほぼ同じで、40代ともあまり変わらないという。
 「40〜50代というと背負うものも多く、精神的インポテンツの人も少なくありません。60代男性は勃起力の低下が多少認められますが、こちらは薬で改善できる。しかし、精神的インポテンツは薬での回復は難しい」(専門医)

 60男は子供時代を終戦直後という特異な時代を生きたことによって、他の世代と違ったいくつもの特徴を身につけて大人になったと、春江氏は指摘する。
 「娯楽が何もない時代、狭い家、子だくさんの部屋で親たちは夜ごとセックスをしました。その“音”と“声”は、子供たちのエロスに強く刷りこまれていった。このため、性の有り様とトキメキを子供心に刻みつけ、声を押し殺して悶える姿に性愛の真髄を感じ取ったに違いありません。したがって、60男はスケベでセックス好きです。女性を悦ばすスキルは、どの世代よりも勝っていると思いますね」(春江氏)

 60男には「性はワクワク、ドキドキするもの」という原風景がしっかり焼き付いているわけだ。