これまで、代表レベルではヨーロッパの中堅国とされながらも、国内のインフラ整備が最大の課題となっていたイギリス。国内1部リーグが原っぱで試合をしているなど、お世辞にもその環境はいいとは言えないものでした。WBC予選にも出場する今後、そうした環境整備の課題は、大きくイギリス球界にのしかかってくるはずです。

 しかし、そうした状況は来年以降、大きく変わることになります。同国における、野球とソフトボールの普及推進を目的に活動している「Baseball Softball UK(BSUK)」は、MLBやMLB選手会などと共同で、ロンドンから電車で50分ほどの学園都市ファーナムに、野球とソフトボールでの使用に対応した、専用グラウンドを建設する計画を立ち上げました。着工は来年2月で、2013年のシーズン開始に間に合わせるとのこと。

 このグラウンドは、ファーナム市内にある大規模公園、ファーナムパークの南側一帯に建設される予定です。グラウンドは全部で6面作られ、内訳は野球場が2面、ソフトボール場が4面となっています。いずれもマウンド、バックネット、ダグアウト、ブルペン(資金的余裕があれば、コンクリート製になる模様)、小規模な観客席を備え、ヨーロッパの標準的な設備が整えられることになります。ソフトボール場はスローピッチとファストピッチの両方に対応する他、リトルリーグの試合にも使用できるようになるとか。グラウンドには常に整備がなされ、最高の状態で野球に打ち込めることになります。もちろん、内外野総天然芝になるそう。

 今回のプロジェクトは、来年からイギリスの小中学校の体育の授業において、野球が必修化されることともかかわりがありそうです。せっかく、授業を通じて野球に触れる機会ができても、プレーするフィールドがなければ何の意味もありません。もちろん、シニアレベルにおいても、原っぱでプレーするのと、本格的な野球場でプレーするのとでは、全然成長の度合いが違うでしょう。その意味で、今回のこの建設計画には非常に大きな意味があります。まだ、細かい部分での修正や肉づけがされる予定だそうですが、クリスマスまでには方向性が固まる予定とか。一部、予算がぎりぎりなところがあり、場合によっては追加で融資を受けたり、寄付を募ったりという必要性があるかもしれません。

 今回の建設計画の詳細は、BSUKのサイトで詳しく紹介されています。Google Mapで建設予定地についての詳細が見られる他、Flickrでのイメージ動画も掲示されているので、具体的な内容を掴むためにも、ぜひ見てみてください。ホームページへのリンクはこちら