ダマされてはいけない…!

11日に行なわれたワールドカップアジア3次予選タジキスタン戦。日本代表は8-0で圧勝しました。ハーフナー・マイクの代表初ゴール、不調がささやかれていた香川真司の2ゴールなども飛び出し、上々の結果だったことは間違いありません。しかし、あまりの楽勝に拍子抜けする気持ちと、妙に紳士なタジキスタンの選手諸氏を見る中で、僕は逆に警戒感を強めています。ここで酔ってはいけないと。

もしタジキスタンの振る舞いが見せかけのものだったなら。いつでもどこでも暴れるような単純悪ではなく、ここぞというときまで本性を隠せる知能犯だとしたら。「笑顔の裏で舌を出す」という言葉もあるように、妙に腰の低い輩は気安く信じてはいけません。何かちょっと「タジキスたん」なんて可愛いイメージを国全体で醸し出していますが、「ウズベキスたん」「カザフスたん」が可愛いかと。「アフガニスたん」「トルクメニスたん」あたりまでくると、すごく怖いだろうと。「パキスたん」なんか、ちょっとした核ぐらい撃ってくるぞと。「たん」に気を許してはいけないのです。

僕も「腰は低いが目線は高い」とコメント欄で評される慇懃無礼な男。もし自分がタジキスタンの監督なら今回のような試合をしただろうと、「同類」として共鳴を覚えるのです。「日本さんには敵いませんよ。ヘッヘッヘッ…」「いやぁ、試合をさせていただけて感動ですなぁ」「おっと、我々のようなゴミが怪我でもさせたら大変だ」くらいは言うでしょう。それはすべて相手を油断させ、調子に乗らせるため。

タジキスタンに勝ち抜けの意志はありません。そもそもシリアの違反で繰り上がっただけで、勝ち負けになる段階のチームではないのです。その場合「首位いじめ」が最大のモチベーション。2連勝して当たり前と思っている居丈高な国を、1勝1分という形で凹ませてやるのが唯一の喜びとなるのです。何か仕掛けてくるなら彼らのホーム戦。先にアウェー戦を消化したあと、自分たちのホームで一変する態度とプレー。そして、のちに行なわれるウズベキスタンとのアウェー戦で今回の8-0を霧散させる0-20くらいの「たん」同士の助け合い。気がつけば日本はグループ2位に後退…この程度のシナリオは想定しておくべき。

ここまでの2試合、ウズベキスタンと北朝鮮に0-1という緊迫の試合を演じた連中が、あんな棒立ちのまま2試合を戦ってくれるはずがありません。まずは1-0で勝つこと。次戦に向けては、一度目標を下げて改めてピリピリとした気持ちでのぞみたいもの。間違ってもベンチで談笑するような緩いムードにはならないよう、手綱を引き締めていきたいものですね。

ということで、いかにタジキスタンが恐るべき連中か、11日の「ワールドカップアジア3次予選 日本VSタジキスタン戦」から察知していきましょう。



◆タジキスタン:「コイツは危険だな…。コイツは安全…コイツも安全…」

試合前に行なわれた植村花菜さんによる国歌独唱。満員の長居スタジアム。スタンドから響く「トイレー!」の歓声。トイレには女神がいるから、毎日キレイにしたら自分もキレイになれるよ…という名曲「トイレの神様」のことを、タジキスタンは知る由もないでしょう。ちょっと聞きかじって「あの人はトイレに詳しい人なんだ」くらいの認識がせいぜいのはず。

しかし、我々日本人もこの歌の裏側にある恐るべき思想を知らないという意味では同レベル。トイレをキレイにしたらべっぴんにしてくれる安直な女神。それは逆に、汚いままにしていると恐るべき祟りでブサイクにさせられるという意味でもあります。八百万の神が生活を制限する恐るべき「祟り思想」こそが、この歌の本質。表面だけではなく裏側まで目を向けないといけないというメッセージ。それはまさに、この日のタジキスタン戦のテーマそのものでした。

事前にタジキスタンの監督が振りまいた煙幕。妙に下から出てくる発言たちは、戦う前とは思えない弱気ぶり。これを額面通りに受け取っている人がいるなら、「詐欺師にご注意ください」と申し上げるしかありません。

↓タジキスタン監督の妙に弱気な発言の数々!
監督:「世界レベルのプレーを勉強したいという謙虚な気持ちできた。日本のレベルは知っているし、冷静に力は判断している」

監督:「日本と戦う上で攻撃の選手を入れるのは無駄。守りを強くした」

監督:「勝つ確率は100分の1か、200分の1か、1000分の1くらい」

監督:「ザッケローニ監督は憧れの存在。尊敬している。威嚇、牽制するつもりはない」

本音:「世界レベルのプレーを勉強したいという気持ちできた。日本のレベルは知っているよ。我々に世界レベルのプレーを教える気になっている、おこがましい連中であるということもね…クックックッ…」

本音:「攻撃の選手を入れるのは無駄。だって0-0にするつもりなんだからね…クックックッ…」

本音:「勝つ確率は1000分の1くらいだろう。それはゼロではない、という意味だがね…クックックッ…」

本音:「ザッケローニ監督を尊敬しているし、威嚇するつもりはないよ。次戦まで油断していてもらわなくてはね。日本ではこういう気持ちを恩返しと言うのだろう?クックックッ…」

しかし、これだけの豪快な三味線にもかかわらず、日本代表に油断はありませんでした。4-2-3-1の布陣。怪我人を欠きつつも、現時点でベストと言えるメンバー。昨年のワールドカップ、アジアカップを通じて実績を残してきた海千山千の男たちを並べた陣容には、まったく油断はありません。

もともと実力差がある中で油断もないのであれば、タジキスタンにはノーチャンス。ということでタジキスタンは、何とこの試合すべてを投じて三味線演奏会を開催することに方針転換。4-1-4-1と守備を意識した布陣を6-3-1もしくは6-4-0に変更し、日本の動きをじっと観察し始めます。これは一流の博徒が相手の人間性・癖を見抜くために行なう「見」という行為。タジキスタンは日本に好きなようにやらせることで、手の内を探りにきたのです。

そして自分たちの手の内は徹底的に隠すのも常道。ズルズルと下がるライン、まったくプレッシャーを掛けにこない選手たち、誰が動いてもまったく反応しない棒立ちのボウリングピン。これではタジキスタンの力量を図ることもできません。「工夫できない」のではなく「工夫しない」戦い。得意気に自分のカードをさらした日本を見て、タジキスタンはほくそ笑んでいることでしょう。

日本は相手に踊らされるまま猛攻を展開。前半11分にはハーフナー・マイクが代表初ゴール。前半19分には美しい崩しから岡崎がゴール。前半35分には駒野が代表初ゴールを決め、前半41分にはみんなが何度もお膳立てをしてあげた香川がようやくのゴール。前半だけで4-0のスコアは日本の勝利を確信させるもの。一流の博徒なら、ここで手仕舞いを図るレベルの「妙な」圧勝でした。

↓「駒野がゴールした」という現実に何故不信感を感じないのか!


首脳陣:「あれま、駒野が取ったよ」
首脳陣:「じゃ、3-4-3の右も4-2-3-1の右も駒野でいけるやん」
首脳陣:「ちょっと次、試してみっか。この相手なら多少ダメでも何とかなるやろ」

国際Aマッチ65試合で初得点、Jリーグでも年イチあるかないかの駒野弾。

ここまで「攻めさせられた」ことで、調子を崩さないか不安が募る…。


4点目の香川のゴールなどは、日本側のお膳立て以上にタジキスタン側のお膳立てが秀逸。本来なら香川の前でバイタルエリアをケアしているべき9番が、ボールを見るでもなくテクテク歩く大三味線。香川があれだけ長い距離を走る間、誰も寄せに行かないのは異常とも言える光景です。「カガワくんに取らせよう」「彼が点を取れば日本は酔うよね」「復調したと勘違いするよね」という声が聞こえてくるかのよう。そして、タジキスタンの思惑通り、日本は大盛り上がりとなってしまいます。

後半に入ってもこの流れは変わらず。開始早々の2分にハーフナー・マイクがヘッドで2点目。後半11分にはこの日の攻撃を仕切った中村憲剛がペナルティエリアに侵入し、巧みなトラップからサイドネットを突き刺して追加点。後半23分には香川が「狙いました」とうそぶいた、クロスが直接ゴールに吸い込まれる7点目。後半29分には右から左からクロスを送り、最後は岡崎がヘッドで叩き込み歴史的8点目。日本は「棒立ちの相手から大量得点ができる」という、危険な自信を身につけてしまったのです…。

↓香川のテンションも最高潮で、憲剛の首をへし折りそうなレベル!


調子に乗ってるというか、全体重が首に乗ってるな…。

ここで憲剛が怪我していたら相手の思うツボだったな…。

8点を奪われても「見」の姿勢を崩さなかったタジキスタンの本領は、この試合ではついに見ることができませんでした。試合後のインタビューでキャプテン長谷部は「この試合のことは忘れたほうがいい」「勝点3を取ったが、それ以上でも以下でもない」と語りましたが、この意識を全員に浸透させられなければ次のアウェー戦では思わぬ形で足元をすくわれかねないでしょう。次の試合は0-0から始まるということを忘れてはいけません。ホームで8点だからアウェーでも3点くらいは取れるだろうといった思い込みは捨て、まずは「1-0」を目指していきたいものですね。

↓タジキスタン監督は最後まで日本を刺激しないよう発言に気を配る!
監督:「昨日の会見で何故そんなに謙虚なのか問われたが、その理由をわかっていただけたと思う。これは冷静な自己評価、自己判断として現実を分析した結果である」

監督:「日本代表は先に対戦した2チームとは比べものにならないチームだった。ほぼベストメンバーで戦ってくれたことに感謝している」

監督:「(ドゥシャンベでは)ピッチ条件が変わることで多少は期待しているが、その差が急に縮まるとは思わない」

監督:「私のチームはラフプレーに走らない。そもそも我々は日本選手に怪我させるためにきたわけでもない。つまらない怪我をさせるのは申し訳ない。ただ、あまりにも日本の動きが速かったので、偶然なラフプレーがあったかもしれない」

本音:「昨日の会見での謙虚さ、ご理解いただけたでしょう。私どもはこの程度のチームなんですよ…えぇそりゃもう…日本さんとは比べようもない…クックックッ…」

本音:「ほぼベストメンバーで戦っていただいて感謝していますよ。おかげさまで、先の2チームよりどの程度強いのかよーくわかりましたからねぇ…クックックッ…」

本音:「ピッチ条件で急に差が縮まったりはしませんよ…。まぁ田んぼみたいな泥沼でも用意すりゃあ別でやしょうがね…クックックッ…」

本音:「日本の動きが速いもんで、偶然のラフプレーはあるかもしれませんねぇ…。偶然ってのはいつ何が起きるかわかりませんからねぇ…クックックッ…」


↓タジキスタン側ではきっと冷静に日本を分析している!

<予想されるタジキスタン側の分析内容>

GK川島 危険ではない
試合中あまりにヒマなので、自陣半分くらいのところでポツンと立っている場面が見受けられた。そこまで引っ張り出して長いの蹴りゃ、1点くらい取れそう

DF駒野 危険ではない

もう取らんやろ

DF今野 危険ではない
この試合、フィールドプレーヤーでただ一人シュートを撃たなかった。こっちは0-0でいいんだから、コイツは無視してOK

DF長友 危険
サイドから鋭いクロスをバンバン入れてくる。突破力もある。正直ついていけない。ただ、自分で撃てる場面をカガワに渡すなど、生ぬるい心のスキもある。とりあえず両サイドはコッチも守る気がないので、田んぼみたいな泥沼にして、ついでに釘でも巻いておこう

DF吉田 危険ではない
都合4回も決定機があったのに外しまくった。コイツに撃たせろ

MF遠藤 危険
次は出ないんじゃないかと期待。お願いだから「遠藤不在に備えた練習」で恒例のグダグダを見せてほしい

MF長谷部 危険ではない
油断をしない姿勢はなかなか厄介だが、多分チームメイトに与える影響は薄い。ミドルシュートはまず入らないので、撃ってくれたらラッキー

MF中村憲 危険
得点機をほとんど演出された、ヤバイ。コッチが1人倒れているのにプレーを止めやがらない、ヤバイ。動きが速そうなので、偶然のラフプレーが出てしまうかもしれない

MF細貝 危険ではない
グッと楽になった。できれば7番と代わってほしい

FW岡崎 危険
シュートめっちゃ上手いですやん…。できるだけ早い時間で11番に代わってほしい

FW藤本 危険ではない
先発してくれ!

FWハーフナー・マイク 危険
デカイだけでプレッシャーは大きい。とりあえず足元グズグズにして飛びにくくさせとこう。1点取っただけでスゴイ喜びようだったし、精神面から崩したい。インタビューでの「そうですねぇぇーぇー」は日本独自のコブシというやつらしい

FW李 危険ではない
危ない場面は作られたが、何故か入らないので助かる。密集でオーバーヘッドしてきたりとか、別の意味で危険ではある。先発希望

FW香川 危険
危険ではあるが、聞いてたほどではなかった。どうせ止められるわけではないしミス待ちでOK。調子悪いまま来てくれれば、みんながコイツにパス出す→外すの好循環もあるかも。2点目のアレが狙って蹴れるなら、どっちみちお手上げ

??槙野 危険?
後半13分、後半36分、後半45分、後半48分と何故かカメラに抜かれていた。ひょっとして、日本ではすごい期待されている選手なのか?そうは見えないが…。一応出てきたらマークしておこう

次戦が「タジタジキスタン戦」にならないよう、ゆめゆめ油断しませんように!